ケントが苦手なものは、なんでしょう?
どうでも良いカミングアウトをされることがしばしばある。
「おれって、たまごキャラじゃん」
と友人に言われたのは、高校生の頃。
100%純粋な気持ちで、
「・・・いや、知らんがな」
と思わせてもらえた、淡い初体験の記憶が懐かしい。
4月は、どうもこの、どうでも良いカミングアウトに出くわす確率が高い。
「私、最初にダメだと思ったら、もう、ずっとダメなのよ」
「・・・いや、知らんがな」
とは、納税の義務を果たす程度の大人にはなったので、直接口に出すことはないが、
「いや、何その危険が危ない的な、頭痛が痛い的な表現?
最初がドモホルンリンクルなら、ずっとドモホルンリンクルみたいな?
あっ、でもドモホルンリンクルは30代からだから・・・。
あっ、最初に買った車がトヨタなら、ずっとトヨタみたいな? 違う? じゃあ・・・」
みたいなことは、ずっと思っているし。
イソップ物語の『王様の耳はロバの耳』に出てくる、唯一王様の耳がロバの耳であると知る、美容師や、
RGのあるあるみたいに、
「・・・いや、知らんがな」
と、めちゃくちゃ人に言いたくなる。
(超脱線するが、
「えっ、これなんの耳なん?」
と美容師は徹底的に野生動物の耳だけを調べ上げ、
「ロバや! 絶対あれはロバや!
王様の耳はロバや!
うわぁ、めっちゃ言いたい。
絶対、あの耳ロバやん!
なあっ! あれ、ロバやんな!
なあっ!
あっ、誰も王様の耳を知らへんのか・・・」
と、言いたい気持ちが溢れて、
反町隆史の「ポイズン」のような状態になったのだろうか?
・・・気になるところだ)
「だんだん好きになってきた! ・・・かも」
先日、息子はそう言って、茄子とトマトのパスタを食べていた。
好き嫌いが多いわけではないが、幼いため味覚が敏感なのか、同じ料理の、同じ素材のトマトでもナスでも、挽肉でも、体調や眠たさや気分によっても合う合わないがあるのだと思う。
お腹が空けば、娘と息子はとりあえず口に入れる。
ダメだとわかっていても、とりあえず、一度は受け入れ、
無理ならお帰りいただく。
「さっきのは、ぐにゃぐにゃだけど、コレは硬いから」
と、娘は口元を赤く染めながら、茄子を頬張る。
ぐにゃぐにゃの茄子がダメでも。
油身の多い固まった挽肉がダメでも。
酸味の強いトマトがダメでも。
芯の残った絶妙な茄子があるかもしれないし、
パラパラのさっぱりとした挽肉があるかもしれないし、
甘いトマトがあるかもしれないし、
なんなら、粉チーズが全てを解決してくれるかもしれない。
最初がダメでフォークを置いてしまったら、その後の旨さには出会えない。
口元を汚しながらでも。
お皿に戻すことがあったとしても。
自分が、「ここは、美味しい」と思える部分を見つけてみる。
『好きな物を、好きな時に、好きな量』【自分で選択することが出来る機会】が多くなると、
突然、『好きな物を、好きな時に、好きな量』自分で選択することが出来ない場面に出くわした時、
楽しみ方を、忘れてしまう。
なーんてことがあるんだろうな、
なーんて思いながら僕はパスタを頬張っていると、
「パパ」
と口元を赤く染めた娘が、突然、耳打ちをする。
「・・・ケントはね、芽キャベツが嫌いなの」
・・・いや、知らんがな。
・・・・・・。
・・・・・・パウパトロール、ご存知?
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