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ラース・フォン・トリアー監督『ダンサー・イン・ザ・ダーク』トラウマ映画の決定版!


<作品情報>

「奇跡の海」のラース・フォン・トリアーが、アイスランドの歌手ビョークを主演に撮り上げた人間ドラマ。過酷な運命に翻弄されながらも、息子のためにすべてを投げ打つ主人公セルマの姿をミュージカルの手法を導入して描き、2000年・第53回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞。その歌声を披露しながらセルマ役を熱演したビュークも女優賞を受賞した。アメリカの片田舎。チェコ移民のセルマは息子ジーンと2人暮らし。つつましい暮らしだが、隣人たちの友情に包まれ、生きがいであるミュージカルを楽しむ幸せな日々。しかし彼女には悲しい秘密があった。セルマは遺伝性の病で視力を失いつつあり、手術を受けない限りジーンも同じ運命をたどることになる。2000年の公開時は日本でも興行収入24.2億円の大ヒットを記録。2021年12月、4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開。

2000年製作/140分/デンマーク
原題:Dancer in the Dark
配給:松竹
劇場公開日:2021年12月10日

<作品評価>

90点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

上村
「これは役者が演じてる映画なんだ…!」と自分に言い聞かせながら耐えました。こんなに辛い映画初めて見ました。
いわゆる娯楽作のつくりでは全くなく、主人公の視点以外はほとんど排除されているので、主人公以外の話すことは果たして本当であるのか分からないのが不安を更に煽ります。
そして本当にリアルに撮るのでフィクションだと思えなくてどんどん辛くなってきます。ミュージカルのシーンもあるのに不思議ですよね。
でもやっぱりミュージカルはスカッとする物語が好きです。完成度の高さは勿論認めるけどもう二度と観たくないです。

北林
私にとって敬意を表するには言葉が足りないほど、深く心に刻まれた作品です。大学3年生の頃、映画についてほとんど知識がなかった時期に、地元のGEOで偶然手に取ったのがこの映画でした。
なんとなく見て、なんとなくその日が終る予定でしたが、6年経ってもなお、いまだに私の人生に影響を与え続ける作品となりました。当時、夜中の2時に映画を見終えたこと、涙をこらえきれずに嗚咽したこと、その後、私が通っていた大学の教授である石井岳龍監督に、この映画を観た感想を話したこと、何年経っていても鮮明に覚えています。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は、私にとって映画の一つのゴール地点を示す作品であり、この世に必要な作品の中でも、真っ先に挙げたいものです。その深い感動と衝撃は、覚悟を決めてから観ることをお勧めします。この映画は、何度でも、観る者の心に深く訴えかける作品だと思います。

吉原
正直、初めて鑑賞した時は全くハマりませんでした。登場人物の言動が災いし、どんどん悪い方向へと進んでいく、誰も報われないミュージカルというものが受け入れられず、私自身の評価は芳しくなかったのですが、3年経って再鑑賞してみると、これが案外面白くてびっくりしました。
手持ちのカメラで撮ったような粗く暗い映像は、ミュージカルシーン、つまり主人公セルマの空想の世界に入ると、非常に鮮やかになります。歪みあっていたはずの人物さえも歌い出すなんとも奇妙なシーンの挿入により、本作の気持ち悪さはより引き立てられます。
本作を観るに際して重要なのは、過度に感情移入しないことかもしれません。私が3年前に初鑑賞した時の失敗点は、セルマに感情移入しようとしたにも関わらず、彼女の言動が全く理解できないものだったのでは思います。また感情移入できなかった自分を責める必要もありません。
暗く悲しい物語の中には、それとは正反対の素敵な表現がいくつも存在します。観客の一人一人が「闇」の中に何か光るものを見つけられたらと思います。

<おわりに>

 救いのない鬱映画として有名な作品です。これはフィクションだ…!と念じなければ観ていられなかったです。

<私たちについて>

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