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クロエ・ジャオ監督『ノマドランド』広大なサウスダコタとノマドたち


<作品情報>

「スリー・ビルボード」のオスカー女優フランシス・マクドーマンドが主演を務め、アメリカ西部の路上に暮らす車上生活者たちの生き様を、大自然の映像美とともに描いたロードムービー。ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド 漂流する高齢労働者たち」を原作に、「ザ・ライダー」で高く評価された新鋭クロエ・ジャオ監督がメガホンをとった。ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。第77回ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞、第45回トロント国際映画祭でも最高賞の観客賞を受賞するなど高い評価を獲得して賞レースを席巻。第93回アカデミー賞では計6部門でノミネートされ、作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞した。

2020年製作/108分/G/アメリカ
原題:Nomadland
配給:ディズニー
劇場公開日:2021年3月26日

https://eiga.com/movie/93570/

<作品評価>

80点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

上村
フランシス・マクドーマンドを惜しみなく活かした作品で、しみじみと心に染み入ります。ロケーションの選び方、風景や人物の映し方が完璧で、この上なく叙情的で美しいのです。特に素晴らしいと思ったのは、普通のセリフで進めるドラマ部分と音楽と映像を駆使した詩的な部分の切り替えとテンポでした。皆哀しみを抱えたノマドの人々とフランシス・マクドーマンドの何か屹立しているような、でもどこかに亡き夫と街への愛情を隠しているような佇まいが最高でした。

クマガイ
なんとなく共感してしまいました。
一度でも破滅というか終わりを迎えると、安寧という日常が怖くなるものです。
安寧の先に待つのは破滅なのだから。
だからそこに逆行してでも、大自然という究極の自由に生きる。
ここまで見易いドキュメンタリー(?)は早々ないと思います。
また旅がしたくなりました。

吉原
2009年のリーマンショックで家を失い放浪の生活を選んだノマドたち。「ダンス・ウィズ・ウルヴス」でも描かれた広大なサウスダコタの風景が美しいことはもちろん、己の状況に屈することなく、他人と寄り添いながら強く生きる彼らの自由な生活に尊敬と共に、微かに羨ましさすら感じます。主演のフランシス・マクドーマンドは大女優としてのオーラを消し、親しみやすいが、どこか悲しみに満ちた「普通の人」を演じることで、そんな「普通の人」がいつ同じような状況に陥ってもおかしくないというメッセージを伝えることに成功していました。

<おわりに>

日雇いで生きるノマドと呼ばれる高齢労働者たちの悲哀をこの上なく詩的に描いています。広大な自然も見ものでしょう。

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