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『劇場版ウルトラマンルーブ セレクト!絆のクリスタル』の感想・カツミとグルーブとトレギア


劇場版ウルトラマンルーブを観てきました。

TVシリーズ「ウルトラマンR/B(ルーブ)」の劇場版で、この時期にやるしっかりしたウルトラ映画はこれで四年目。

半年の放送と、三か月置いての映画。このルーティンが身体に馴染んで来て、オーブ以降、単体作品としての放送を再開してから結構立つんだなと感慨深く思ったり。

さておき、今回の劇場版。面白かったです。

公開前はやたらと絆を連呼し内容のイマイチ伝わってこない雰囲気や、新合体ウルトラマンのグルーブさんがフルCG?ということで観てみるまでどう転ぶか分からないなぁと感じていた本作ですが、主人公の一人である湊カツミに焦点を当て、R/Bの最後を飾る物語として相応しいものになっていたのではないかな、と思います。

・湊カツミの苦悩

「キミはウルトラマンか、湊カツミか……?」

まずもって、この映画の主人公は湊カツミでした。

TVシリーズにおいてカツミは、行方不明の母の代わりに父や弟の力になろう、と自分の事を後回しにする、家族思いの責任感の強い青年でした。

けれど、物語終盤の母の帰還以降、カツミが背負い込んでいた責任は一つ一つ無くなっていく。母はいるし、父の仕事も順調。妹は進路を定めて勉強し、弟にも留学の話が来ている。

そんな中、湊カツミは自分だけが何の夢も目標も持っていない事を自覚し始める。家族のため。あるいはウルトラマンとして綾香市を護ること。誰かのために体を張っていたカツミには、自分がしたいことが分からない。

TVシリーズにおいては語られなかった、カツミという人間の行く末。

湊カツミは、ウルトラマンなのか? それとも湊カツミという一人の人間なのか? 一人の人間だというなら、一体何を求めて生きていくのか?

映画において彼はひとまずの答えらしきものを導き出すが、それがたった一つの正解なのかどうか、彼自身にもハッキリとはしていない。

それでも彼は歩むことを決め、弟や家族、そしてあやか市から離れていく決意を固める。一つの街の一つの家族に焦点を当てたウルトラマンR/Bは、この別離によって幕を引く。だがその別離の裏には、いくら離れても切れることのない家族の絆が描かれている。

永遠に続いていくサザエさん一家的な家族でなく、それぞれが自分の夢の為に進んでいく家族として締めくくられたのがとても嬉しく、R/Bのラストとして納得と満足を得ることが出来ました。

・ウルトラマングルーブのCG

ところで、気になるのは今回登場の新ウルトラマンであるグルーブの活躍だ。予告などでも描かれている通り、グルーブの活躍シーンは全てCGで描かれている。「えー、スーツじゃないの? 大丈夫?」なんて思っていた人もいるだろうし、実際自分もその1人であった。

実際に見た感想はどうか。まぁどうしても実物のスーツに比べると質量感が薄いし動きも若干硬いけど、硬いけど……いやそれどころじゃないぞこれは!

CGのウルトラマングルーブVSトレギアのシーンは、見どころ万点だった。っていうかミニチュアとの合成がすさまじかった。地上で実写スーツで戦っているジードVSスネークダークネスのところへ飛来してきて、ビルに激突・破壊して飛び去る二体のシーンなんか、「えっまじすごい」と思ったものだ。

空中でスピーディーに飛び回りながらがしがし殴り合うウルトラマンたちの光景は、たしかにウルトラマンならこれくらいやってのけるハズだという納得感と共に、迫力のあるアクションシーンを提供してくれていた。単純にパワーのある絵なのだ。

まぁ勿論、そうは言ってもCGだけでは重みが足りないもの事実で、だからこそ地上のジードやスネークダークネスの戦いがアクセントとなっていた。実写スーツ+ミニチュアセット+CGアクションの3点がめまぐるしく混じり合っていたからこそ物凄くワクワクしたし、楽しいシーンだった。

あとグルーブは滅茶苦茶イケメンなので見てるだけで楽しい。玩具はやっぱりカツ兄が独占してるけど、今回の主役はカツ兄なので違和感がないぞ!

グルーブをオールCGで描いたのは、多分今後のウルトラシリーズにも大きく影響を与えるというか、そういうのももっと使っていくぞという意思表示、なのかもしれない。願わくば、今回の映画みたいにミニチュアセットと上手く合わせて実写スーツも併用していってくれると嬉しいな、と思う次第ですね。

・ウルトラマントレギア

宇宙迷惑クソ野郎。平成最後のカーンデジファー。

根暗引きこもりオタクのデザインした怪獣を実体化して暴れ回らせる物凄く迷惑な愉快犯、ウルトラマントレギア。ギラルスさん! キングオブモンスさん! カイザーギラレス13世さん! 三つのオタクの力、お借りします!!

このトレギアがま~~腹の立つ良いキャラクターで、紳士然とした雰囲気とイケボで善人面して近づいて来たかと思うと、あの手この手で絶望させて楽しもうとする、真正のクソ野郎です。

その絶望のさせかたの性格悪さが最っっ高でして、相手に間違った選択をさせようとすること、一つの手段で出来るだけ多くの(質のいい)絶望を産み出そうとするところ、都合が悪くなれば帰ろうとするし、嫌いな展開になると露骨に機嫌悪くなるところが特に魅力的に映りましたね。

常に余裕をもって相手の上位に立ちたいという感覚が透けて見えていて、だから相手が本気になっても同じ土俵に立とうとはしない。ただ自分の楽しみが阻害されるのは気分悪いし好きじゃない。紳士的でセクシーですらある雰囲気の中にある、ある種幼稚な、けれどそれだけに悪質な精神が、ウルトラマンの敵・アンチウルトラマンとしてよく際立っていたと感じます。

ところで、映画本編ではトレギアさん「ウルトラマン」って自称してたっけ? カラータイマーを封印したようなデザインが気に掛かりますが、彼の素性について今回は語られなかったので、気になるところですね。

でもお前ホントマジでニュージェネウルトラマンに一発ずつ殴られてこい。

なんとなくだけど、ゼロを見たら「用事を思い出したよ」とか言ってそそくさ退散しそうな雰囲気がありますよね、こいつ。好きです。

・まとめ

いつものウルトラマンR/Bでもあり、湊カツミの物語でもあり、色々な意味で今後のウルトラマンへの展望を見せつけたのかな? という作品でした。面白かったです。また来年も湊兄妹に会いたい。

ぶっちゃけまだまだ語りたい部分はありますが、そうは言っても完全ネタバレになるとあれだし、この辺にしておきます。

ともかく!! TVシリーズ観てたなら絶対みようね!!


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