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万愚節

poor man's roseという二人組のバンド。二年前ぐらいかな、コロナの時代になってから知ったので生で観たことはない。チェックしてみたら2022年の4月のプレイリストに「寂春」という曲を選んでいた。拙いような青くさいもどかしさも魅力的だと感じさせるような、未完の可能性に満ちたとでもいうべきお嬢さんたち。世間が落ち着いたらぜひ観てみたいな、と思っていた。活動拠点が福岡らしいので、東京ではごくたまにしか機会が得られなそうではありましたが。
そんな感じで何となく心にとめていたんだけれど、解散します、という呟きが流れてきたのが本日20時。びっくり。本日というのは3月31日。なので、エイプリル・フールってことではないんだな。観るまえに解散か。残念だが、彼女たち、それぞれの未来に幸あれ、と祈念しておこう。可能性が枝分かれして二倍になったのだと考えればいい。そんなことを思う。

そう言えば、エイプリル・フールの発祥はどこなんだろうね。名称からして英語圏だろうなと思いつつ検索してみたら、不明だそうな。いろいろな説があちこちに書かれている。日本にカタカナ英語で定着しているのは、英語圏から流れ込んできたからってことなだけかな。ふむ。
どこからやってきたかすらわからんのに、あちらこちらに広まっているってことは、みんな嘘が好きだってことだろうか。にもかかわらず、普段は嘘をつけずに我慢してるから、こんな日を作ったってことかしら。
フランス語では4月の魚(poisson d'avril)と呼ぶことは、大林宣彦作品で、というか、当時の音楽好きなら高橋幸宏絡みで知っているという人が少なくないかもしれない。斯く申す私もその口だ。どんな映画だったかはすっかり忘れてしまっているし、ユキヒロのそのアルバムは、サントラだから当然とも言えるが、インスト中心で物足りない気がした記憶があるのみ。あとで暫くぶりに聴いてみるかな。
ちなみに、イタリア語でも同じように4月の魚(pesce d'aprile)って言い方をするみたい。スペイン語やポルトガル語にはない表現のようだ。なぜこの二カ国だけなのか。興味深いな。
April Fools’ DayにはAll Fools’ Dayという別称もあり、そちらを訳したであろう「万愚節」という語は字面も響きも、堅苦しいようでいながらじんわり間抜けな感じがしてなかなかいいな。これからはこちらを使おう。

さて、みなさんは4月1日には嘘をついてみるのだろうか。私はと言えば、殊更この日に嘘をつくという習慣はない。というか、普段から出鱈目なことをわあわあ吐きまくっているから敢えて嘘をつく必要性がないのかもね。考えてみれば、歌詞だって文章だって嘘だらけだしなあ。まあ、それが創作というものなわけですが。むしろ、この一日ぐらいは何一つ嘘に相当することは口にしないようにしようと試みるぐらいがちょうどいいかもしれませんな。
「今日は一切嘘は申しません!」なんて言うと、落語の世界では大家さんに「おまえのそれがまず嘘だからね」と突っ込まれますけどね。


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