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水路に小魚はつながった

昨日あんなことを書いたにもかかわらず書ける
ので書いている 夜中に居場所脇に積んである
雑多なものが崩れてきた と 今書いていると
テレビから聞き慣れた言葉がCMで流れた 長年
勤めて来たところのCMだった もういちいち何も
思わなくなった OBみたいな意識はない 何が
崩れたかというと手製の ガラス瓶に組み込んだ
スピーカーユニットがとろんと落ちたことによって
本 小物入れ 別のスピーカー 釣り竿と竿ケ
ース ストックしてあるボールペンなど それで
何だか気が高ぶってしまい 翌日の歯医者の
ことなども気がかりで あまりよく眠れなかった
顔に小さい扇風機を手にもってずっと当てていた

ここのところ午後ずっと寝ていてたので 水場
に行くのは二週ぶりだった というよりゴールデン
ウイーク明けに近くのY電気にエアコンを買いに
入って以来の外出だ 半袖と悩んだが長袖に
して 丁度好みの花の合間なのかあまり目を
留める花もなかったが桜の葉の下にみずみずしく
葉の長い下草がつんつん立っていて所々ムラサキ
ツメクサのネギ坊主みたいな花玉が点描と同じ手法で
紫さして 涼し気なところを見て取ったとその草が
尽きるところに昼咲の薄い桃色の月見草が
風にゆらゆらというより引き抜かれそうななびき
方をしていた はかなげではあるがちぎれたりは
せず 花びらも取れることがない 終わる時には
萎んで終わる それで次々 秋先まで咲く

いつもの水路が駄目ならあそこ そこも駄目なら
あっち と三か所ほどあたりを付けて いつもの
なじみの水路を覗いてみると 相変わらず水は
透いているが小魚の群れが見える それで対岸
に回り 広場からの流れ込みを覗き込むとひと時
凍死したような水路に生き物が戻っていた と
いってもそれほど濃い魚影ではなく 魚籠を入れた
がほぼ反応がなく 岸辺に寄ってくる小魚の群れ
は何の魚なのか しばらく様子をじっと見ていた
蝦や底魚 ヨシノボリとかカマツカのような斑系
の魚が見え めだかより小さい細いのは何なの
かわからない 時折雑魚とはいっても四五センチ
ほどの群れがかかると背びれに黒い印のついた
あれは多分新子のタナゴ 極まれに混ざっている
ように見え ああ一応 この水路に小魚はつなが
ったらしい

透いているので水に沈んだ土嚢のような物が
見える こういう袋の中に何か潜んでいる と
水に手を差し入れたら冷たい 三月ごろの水
の暖かさは何だったのか ぼっと引っこ抜くと
枯草の中に何かカサカサしているものが 川虫
みたいなものかとみれば図鑑と同じ形をした
小さいヤゴだった 水生昆虫に興味はないので
水に返してやり 捕れた魚を素手で触らないた
めの小さな目の細かい網で小魚の群れをかるた
みたいに払ったら ニ三匹網に残ったのはクチボソ
の稚魚だった と目の端にヘリで何だか波打つ
動きが見えて あ 滅多に見ないドジョウだった
掬えまい と思いつつヘリに網を当てたらあっさり
と泥鰌掬えてしまい ぜひ水槽に連れて帰りたい
確保 魚籠が不調なので餌を落として魚すくい
をしばらくやったが 全く餌にも寄ってこない
水が冷たいから食い気がないのか多分 釣りに
しても駄目だろうと水際でシャバシャバしていた
ら額から汗 オックスフォード地のシャツに下着
から滲みだした汗が水分を移らせにきている

あそこに見えている電話ボックスが幽霊話の
ある奴だと日当たりに白めいた空のガラス箱
を見はしたが写真には撮らず 矢竹の切れ端を
探すにも新竹が青くやはり竹拾いは冬か などと
静かに納得し 次の水場もその次の水場もまばら
にしか人がいない 年によって魚の現れ方も
変わるのをここに何年 通ってか覚え 今年は
あまりよくなさそうだけれど細く魚影は見え隠れ
する 自由そうで羨ましい というほどでもなく考え
が無さそうと莫迦にしたものでもない

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