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ジャズと結婚

傾いたプレハブの部室が学生時代の主な居場所
で 講義の合間に顔を出すと先輩たちが煙草
を吸いながら歓談していて 多分最下級生だっ
たのでその話をなんとなく聞いているとき 古い
ラジカセでかかっていたあまりジャズっぽくない
くぐもった音で聞いた曲が一度聞いただけで妙
に頭に焼き付いて その曲がオスカーピーター
ソンのケークウォークという曲だとわかったのは
それから40年近く後の事だった ジャズの曲を
何曲も知っているがほとんど曲名を知らない
曲とメロディが一致するのは20曲もないかと
思う

当時よく聞いた言葉に 二拍三連 というのが
あって 確か 二拍の中に三つの音を入れる
と言った意味だったと思うが 音符で考えずに
リズムとして体で覚えればどうという事のない
ものながら 何故か異常に二拍三連にこだわっ
ている先輩がいて 表の二拍三連とか裏の二拍
三連とか 挙句三拍四連とか言いだす不思議な
人だった リズムの成り立ちを頭で考えたから
変なこだわりが生まれたのかもしれないと今
思えた 私はいまだに譜面が読めないのでその
ようなこだわりはない 大瀧詠一の君は天然色
でベタに二拍三連が出てくる

ブルーノート東京 私が学生の頃にはなかった
ジャズスポット 当時は六本木と新宿のピット
イン というライブハウスがジャズの聖地のよう
になっていて 新宿の昼の部の方へはたまに
見に行ったりした 六本木の方は年に一度 部
の定期演奏会ということで 貸し切りでステージ
を踏んだりした 三年の時に 当時の一年の
親が子のライブを見に来たのを見て何かとても
複雑な気持ちになったことを覚えている ロック
ジャズって親子であいあいみたいな音楽だった
っけか ぎりぎり楽器は不良のアイテムみたいな
空気がわずかに残っていた時代だが 親を見て
完全に時代が切り替わったと感じた で ブルー
ノート すっかりジャズの 大人の社交場みたい
な場所のようで 少しのお酒に食事で一万は
軽くいって そこにライブをプラスすると四五万
くらいの料金だろうか ジャズ研の先輩のFB
を見てとても気軽に行けるものではないと思った
ついたコメントを読んでいると誰もがワンフード
で慎ましくしているというのでそれで何とかなっ
てしまうのか 店の意図と著しく乖離している
オーディエンスだなどと感じたがそもそもジャズが
おしゃれという認識自体どうもかなり誤解があ
るような気もする ドレスコードなどあるのだろ
うか ジャケットに革靴だとか 80年代前半
のジャズ研の部員たちは皆地味なくすんだ色
のいでたちでキャンパスで明らかに浮いていた

音楽と付かず離れずで暮らしてきた ジャズと
よりを戻したのはここ数年 退職してからのこと
だった 静かなピアノトリオか何かで小銭が
稼げないかと考えたのだけれどとてもとてもそ
んなレベルの腕ではないことを思い知って き
まぐれながら少しずつ練習を続けている そんな
ふうにこれからも音楽を身近にやっていくのだと
思う それはこちらが思えばそうなることで 結
婚生活については相手があるのでこの先どうな
るか知れない

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