ロシア語一日一善(291)
レフ・トルストイ編著 八島雅彦訳注 東洋書店から
ロシア語一日一善(291)
Почти все наши расходы делаются для того, чтобы быть похожими на других.
Эмерсон
試訳
だいたいにおいて、私たちは他者に似せるために消費をしてしまうのである。
エマーソン
расходы делаются:「支出はなされる」と訳せるが、これでいいだろうか。делать は「する」「作る」で、この意味の受け身の意味でсяがついている、とも捉えられるし、単に делаться 「生じる」と解することも筋としてはありか。「ほとんどすべての私たちの支出は〜のために生じる」というのは「私たちは大体において〜のために支出をしている」と書き換えられる。ただ、「私たち」という主体を全面に出さないことによって「ついやってしまう」というニュアンスを読んでもいいかもしれない。訳文に反映させるならば「私たちは大体において〜のために支出をしてしまう」となるか。для того, чтобы быть похожими на других:похожий на… 「〜に似ている」
「欲望とは他者の欲望である」という言葉を残したのはラカンだったと思うが、お金というのはみんなが価値があるという思っているものであり、記号にすぎない。(札束や硬貨の物質それ自体にお金の価値があるわけではない)その「みんなが価値があると思っているもの」を消費するという行為は、他者と同じようなことをすることになる。逆に言うと自分オリジナルのものにはお金による価値がつきにくい。一番簡単に幸せになれるのは、世間が推奨してくることをお金を使ってするんじゃなくて、固有の価値観を築いてそれを自覚することなんじゃないかな。
ちょっとこの本を思い出した
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?