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2017年8月3日(木) | 東北旅行記④

【 宮城(石巻、南三陸、気仙沼)、岩手(陸前高田) 】

今日から東北旅行の後半に入る。今まで訪れたことのない場所ばかり巡る。

8時半に、JR石巻線で石巻から前谷地駅に向かう電車に乗った。電車で北上し続けたいけれど、大震災の津波の影響で大きな被害を受けて電車は走っていない。電車の替わりにBRT(バス高速輸送システム)が走っていて、その出発地点が前谷地駅にある。
BRTが走るのは一般道だけでなく、元々あった線路の上をも走る。前谷地駅から南三陸の志津川駅まで気仙沼線BRTで向かった。そこで知人に南三陸町を案内してもらうことになっている。

その知人も今まで登場した知人全員と同じ団体で知り合ったけれど、一回しか会っていない。厚かましいと思いながらも連絡して案内をお願いすると、快く受けてもらえた。今回の隠れテーマが、以前会った人たちとの再会旅だった。

どこに連れていってもらうかはすべてお任せで、彼が見せたい場所に連れて行ってもらえる。まず、彼が住んでいる仮設住宅を見せてもらった。仮設住宅の大半の人は別の場所に移られているので、今も住んでいる人は多くない。
ちょうどお昼のいい時間になったので、さんさん商店街に向かった。彼がよくお店で、美味しいお昼を食べた。平日でもあったが、商店街には人が多かった。
彼が仕事としてサポートしているワイナリーにも案内してもらった。そこは、地域おこしのプロジェクトの一つだそう。草刈りの手を休めてもらい、いろいろ話を聞いた。地域おこしとして移ってきた若い人が多いことを知った。車移動の間に知人の彼から南三陸の復興状況を聞き、いろいろな思いが巡った。

「誰のための復興なのか。」

特定の人のためだけではないし、大多数のためだけでもない。その誰かによって、いろいろな思いが現地で起こっている。よく言われるが、復興には正解がないことを現場で感じた。正解がないなら自分たちの行動で答えを出そうとする人たちの話は、現場に行かないと聞けない話で、本当に貴重な体験ができた。

当初の予定では、南三陸を案内してもらった後別のバス停まで連れて行ってもらい、そこからは気仙沼線BRTで気仙沼まで向かう予定だった。さらに大船渡線BRTに乗り継いで、今日のゴールの陸前高田で降りる。
このルートを彼に話すと、陸前高田まで車で送ってくれることになった。彼はその日一日、私のために時間を作ってくれていたことをその時知った。感謝しかない。

私は旅行で東北に来ているのに、再会した人たちは誰もが信じられないくらいの優しさで迎えてくれる。東北の人たちの間口の広さに、間口が狭い京都人の私は恥ずかしくなった。
いつも東北に行くと優しさをもらえるから、また行きたいと思う。

彼自身、大震災でいろいろな経験をしている。その話を初めて聞いたとき、どういう言葉をかけていいか、言葉が全く出なかった。道中、観光にといろいろな場所にも連れていってくれた。
最後は彼もまだ陸前高田の奇跡の一本松を見ていないということで、一緒に見ることになった。その日はあいにくの空模様で、一本松の周りに立ち込める何とも言えない空気をお互い感じ、写真を撮ることができなかった。

一本松を一緒に見てそこで彼とは別れ、今日泊まる「ホテル山陽」に徒歩で向かった。夕食はホテルの都合でついていなかったので、コンビニでお弁当を買った。朝食はすごく美味しかったので、夕食も食べてみたかった。泊まった部屋も一人にしては広すぎた。ちなみにこのホテルには、俳優の中原史雄さんの絵画が展示されている。

明日からは、知り合いとは出会わない旅になる。どんな旅が待っているのか楽しみだ。

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