□□□とボードゲーム(0.5)〜バウハウスとアブストラクトゲーム
前回の記事はこちら。
なかなか第1回になりませんが、もしかするとずっと行かないかも知れません。
今回も刻んでしまいましたが、ほぼ第1回にしてもいいかも。
Josef Hartwigさん
とにもかくにも〈抽象芸術〉についてあれこれ文献や検索をしつつ、ボードゲームを絡めつつ記事を書くという無謀に挑んでおります。
正直、書き始める当初これという核心もありませんでした。
で、ふと思いつきで調べると見つかりました。
Bauhaus Chess(バウハウスチェス)です。
と、そのまえにバウバウスについて。
Wikipediaの項目には、運営に係わった人物がならんでいます。
有名どころでは、カンディンスキーやパウル・クレー、モンドリアンはおります。
しかし、このなかに含まれていない人物がバウハウス・チェスを作りました。
その名は、Josef Hartwig(ヨーゼフ・ハートヴィッヒ)さん。
Hartwigさんは、1921年から1925年まで、バウハウスの教師そして彫刻部門の長として努めていました。
Bauhaus Chess=世界初のアブストラクトゲーム?
Hartwigさんはバウハウスに在籍している1922年から1924年に、バウハウスチェスのデザインを構築していました。
つまり、2024年はバウハウスチェス100周年と言っても過言ではありません(まあ、去年も一昨年も100周年といってもよかったね)。
現在流通しているのはモデルXVIと呼ばれているものです。
16回モデルチェンジをしているのか、あるいは1セットで駒16個あるから、なのかは知りませんけど(調べろって話ですが)。
一方、その前のモデルはどうなっているかと。
Youtubeに、初期バウハウスチェス(モデルI)の映像があります。
モデルIをみると、まだ普段見かけるチェスピースの面影が残っていますし、それぞれの駒の下部には台座がついています。
一方モデルXVIは、(クィーンを除いて)立方体のみ(切断部分含む)で構成されています。
それぞれの駒の違いは、駒の動きからイメージされている、とみることもできます。
モデルIだと、6種類の駒は、それぞれの普段の駒のかたちを模しています。
例えば、ナイトは小さな立方体をつなぎ合わせて駒の動きを表現していますが、「馬の頭」の形状を模しています。
モデルXVIのナイトは、以下の図のように2×2×2のチェッカー立方体を組み合わせて、そこから2個除去した位置がナイトの動きの始点と終点をあらわしています。
モデルXVIは、ルークをベースにして、
X:重ねる (キング、クィーン)
V:削る (ビショップ、ナイト)
I:拡縮する (ポーン)
と、残りの駒を表現しています(私案なのでVとIは入れ替わってもOK)。
モデルXVIの表記は、駒の変形をあらわしている、とみることもできます。
モデルXVIは、収納に優れている(基本、ルークと同じサイズ。ポーンはルークの$${\frac{1}{\sqrt{2}}}$$倍サイズ)ほかに、キングとクィーンをのぞいて、六面どの面を上に向けるかを無視できるポイントもあります。
現在、チェスはアブストラクトゲームと扱われつつも、妙な言い回しの条件がついています。
上の引用をふまえると、バウハウスチェスモデルXVIは、抽象化されていない複数の駒をただ1つの駒(ルーク)を元にして表現しているので、抽象化しているといえるのではと考えます。
抽象化でないものを抽象化を達成したという意味では、バウハウスチェスは世界初のアブストラクトゲームである、と言うべきです。
アブストラクトゲームの反対のゲーム
前回の記事で、Wikipedia(スペイン語版)ではアブストラクトゲームの対義として「テーマゲーム」という項目を設けていることを書きました。
そして、多数の言語のWikipediaでもアブストラクトゲームの説明として「テーマがない」を取り上げています。
今回、バウハウスチェスのモデルIとモデルXVIを取り上げましたが、ふと気付きました。
アブストラクトの反対はテーマ
ではなくて、
アレゴリー(寓意)じゃない?
チェスは戦争をテーマにしているゲームではあるが、兵士や騎士などを寓意した駒で表現しています。
そう考えると、バウハウスチェスの場合、戦争というテーマがなくなった(あるいは反転した)というわけではありません。
依然テーマは残っているのです。
アブストラクトゲームの反対は何かと問われればアレゴリーゲームではないか、と仮説立ててみます。
締め
ということで、バウハウスチェスに触れつつ、アブストラクトゲームについてもちょっと考えてみました。
仮にバウハウスチェスを世界初のアブストラクトゲームだということにすると、アブストラクトゲームも100周年になります。
そんな都合良いわけがないですが。
ちゃんと美術の話題も突っ込まねばと思いますが、目下及び腰でございます。
なんとかせねばね。
では。
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