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見た映画の感想のやつ(17) 君とまた物語が始まるの

まえがき ── 再会

こにゃにゃちわ。ずっちゃんだぉ。
今回はかつて一度見たことのある映画をまた見てみようの回です。
このnote、いっぱい映画を見る人になって映画マニアを名乗ろうという気持ちで始めたんですけど、
何か最近「見た本数が多い人より1本を繰り返し見ている人の方が真の映画好きといえる」みたいな論調があるじゃないですか。
なにを〜!😠と思ったので今回はそういう回にしました。どうぞ。

桐島、部活辞めるってよ

バレー部のスター桐島が突然退部し姿を消したことで高校生活に大きな波紋が

かなり前に一度見たことがあったけど細かい所覚えてなかった。
高校という空間に漂うキッッッッショいものが全部詰まった名作でした。どんなゴア描写よりグロいまである。
その質感を醸せるってことはみんな芝居がうめ〜のですよね。
特に神木隆之介の陰キャ演技、素晴らしすぎるけど顔が良すぎて肌が綺麗すぎる。ああいう意外とガシガシ行けるオタクの肌と髪はもっとベッタベタであれ。
まあキショさは置いといても、主軸となる人物の外堀を埋めることで想像させられていく感じも素晴らしい。とても好きな映画です。

ミスト

息子とスーパー来たらいきなり霧が立ち込めて閉じ込められたし霧の中には何かいるっぽい

敢えて二度と見たくなかった映画をチョイスしてみた。つまんなかった訳ではなく、胸糞悪すぎという意味で。
二度目でもなお凄まじい恐怖と絶望。虫苦手太郎としては今まで見た中でも最高レベルに怖い映画です。
そしてこの作品の何が凄いかって、「後味の悪い映画」としてよく語られるけどエンディングだけじゃなくマジで全編ずっと救いようが無さすぎるということ。125分のうち希望があるシーンが恐らく20秒くらいしかない。
クソみたいな人間たちにどんどん最悪になるどうしようもない状況、「こんな世界は嫌だ」という大喜利の羅列みたいなストーリーが最後まで続くので、メンタルに余裕がある時か逆にどうにでもなってしまいたい時にしか見てはいけないです。
それはそれとして名作だとは思います。こんな思いしながら二度見るほどには。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました

評論家とオーナーと揉めて一流レストランクビになったけどフードトラック始めました

後味悪い話を見た後は良い話を見ようじゃないかということで。色々あってめちゃくちゃ落ち込んでいた時に見て心に残っていたので選びました。
おっさんとガキがかなり嫌いなんですけど、全然嫌じゃなく見れるので凄い。
まあご都合主義というか、7割くらいお前の責任でそうなった割に上手く行き過ぎだろという点は拭えないけれども、そんなのは野暮だと思えるほど良い映画です。
気の良い奴らと良い音楽、そしてめちゃくちゃ美味そうなメシがあればご都合主義だろうが物語は成り立つんですね。
そう、本当に美味そうなメシが沢山出てくるので、お腹空かせたい時に見たらいいと思います。お腹空かせたい時は映画とかじゃなくまず運動した方がいいと思います。

勝手にふるえてろ

中学の同級生に10年片思いしてるけど会社の同僚にも生まれてはじめて告白されて

人生でもかなり上位で刺さった映画です。
理想と現実に藻掻き苦しみながら生きる女の子の物語。
こういう捻じくれた精神の話と、こういう虚実の入り混じった演出が大好きなので、本当にストライクだな。
自意識と妄想を拗らせた人間の描写が上手すぎる。そして演技も上手すぎる。松岡茉優。凄すぎる。
惜しむらくは現実側の男がマジでキモすぎて無理な所ですが、そんな奴でもいいくらいに自分を見て愛してくれることって大きいものだよねっていう話なのかな。
かなり映画的な映画なので原作小説がどんな感じなのかも気になります。

ジェーン・ドウの解剖

俺たち検屍官親子、深夜に運ばれてきた遺体が何かヤバいぞ

いや〜〜もうアイディア賞すぎ。遺体を解剖していく中で謎が明かされつつ怖いことが次々起こるって構造、絶対色んなの作れるけどもう作っても「ジェーン・ドウじゃん」って言われるもんね。
その上でストーリーテリングもしっかりしすぎ。不可思議→不穏→恐怖→絶望のラインがめちゃくちゃ綺麗。
でもお父さん、息子の彼女を(恐らく怪異のしわざとはいえ)殺しちゃったことに対してリアクションが薄すぎ。そこだけがどうしても気になっちゃう。
他はベルの伏線回収で一気にゾワッとさせたりとか完璧だしダレずに90分ちょいで終わってくれるし、ジャンプスケア有りの怪異ホラーの中では抜群の傑作だと思います。

少年は残酷な弓を射る

何故か母親に懐かず反抗的な態度を見せ続ける息子はやがて

むかーーしに見て何か凄く心に残っていたので見た。
時系列を行ったり来たりしつつも難解すぎず「この延長線上に何か事件が起こった」ということをゆっくり解らせてくる構成が秀逸ですわね。
生意気なガキがマジで嫌いなのでもう吐きそうなくらい胸糞悪い映画だ。
でも最初に見た時はただのサイコパスだと思ってた気がするけど、改めて見てみると母親の気を惹きたい思いが歪んだ形で暴走した結果ということでもあるのかなと思いました。もちろんサイコはサイコだと思うけど。
あまりにも救いようがないお話でした。「葛城事件」のクソ親父と違ってお母さん全然ちゃんと頑張ってたんだもんさ。悲しい。
あと邦題がそのまますぎ!!!原題の「WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN」の方が絶対良い!!!

映画大好きポンポさん

映画プロデューサーポンポさんのもとで働くアシスタントの青年が映画作りへ没頭していく

挿入歌を歌う花譜さんのファンなのでそれ目当てで劇場公開時に見に行ったんですが、もうボロ泣きしました。今回見てまた泣きました。
暴論気味のテーマとちょっとばかしクサい所は多少目に付くものの、そんなものどうでもよくなるくらいに胸に響く、創作に対する愛と情熱と狂気の物語です。
映画作りを主軸に置く作品は数あるけれど、地味〜な“編集作業”というフェイズにスポットを当て、人間関係も生活も何もかもを切り捨ててこそ伝えたいことを伝えたい人へ伝えられる最高の創作になる、というテーマに紐付けるのは天晴としか言いようがない。
音楽も抜群に良いし、いちいち演出も凝ってるし、作中で主人公が撮る映画と今作の間で尺(90分が至高!!)やキャスティングのバランス(経験の浅い新人をメインに据えて周りをベテランで固めるというスタイル!!)をリンクさせるという小粋な仕掛けもあるし、
この映画自体がめちゃくちゃ情熱をもって作られていることが分かるのが本当に素晴らしいと思います。
生涯でも指折りの1本です。創作をする人間はみんな見てほしい。

俺ってセンス良いですね。良い映画しか無かった。
何か記憶よりつまんなくてガッカリみたいなことが全く無くて良かったです。
まだ繰り返し見たい映画は色々あるのでまたやるかもな。
ほいじゃねばいば〜い(神保マオ)。


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