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【旅blog】ベトナム統一鉄道の旅 8

8月15日(6日目)
そう、旅の最終日です。

今夜20時頃の飛行機で帰国する。

この日、ハノイには朝の7時頃に到着した為、出国まで時間が余っていた。

ハノイは栄えていたが、高層ビルの多いホーチミンとは違って、昔ながらの建物を残したまま栄えているイメージだった。

当然、観光客も多い。

しかし、何故かフエのように
冒険心をくすぐるような
ワクワクさせるものはなかった。

町が原因なのか気持ちが原因なのか。
気持ちの方が強い気がします。

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自分探しの旅に出たわけでもなく、現実逃避がしたかったわけでもないのですが、やはり旅の最終日とは寂しいものです。

私はいつものように朝食でベトナムコーヒーを飲んでフォーを食べた。それから有名な劇を鑑賞し、教会へ行き、昼はまたフォーを食べた。

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14時頃になった。

魂が抜けたように町を歩いていると、角を曲がったところで日本人男性と出くわした。

この時、私はとびきりの笑顔だったに違いない。そう、フエで出会ったお洒落男子、のちのマスターと再会したのだ。

彼は言う。

「おおおおッ!フエの!てか、この町、なんもねぇな。」

2人の意見は一致し、大きな池のある上野公園のような場所でヤンキー座りをしてふてくされていた。

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広場ではおじさんとおばさんが手を取り合って社交ダンスの練習をしている。

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無言でその光景を眺めていると
私たちの頭上から声がした。

「ハノイでこんなふてくされてる日本人を見るの初めてですよ。あはは。」

見上げると同い年くらいの日本人男性がいた。

話を聞くと旅行会社の人で、
日本で就職したはずがベトナムに
飛ばされてきたらしい。

「ハノイなんもないっすわ。」
私たちが言う。

「なら、ハロン湾クルーズどうですか?」

一気に私と彼は惹かれた。

「明日の朝発なんですけど。」

今夜帰る私は諦めた。

お洒落男子はお金がないからと
私に金を貸してくれと言い出した。

彼も私と同じくそ野郎で安心した。

私はお金がないことを告げると、
彼は迷いながらもクレジット決済で
クルーズ参加を決めた。

「今夜帰られる方も、空港まで車で1時間くらいかかりますので、私の旅行会社まで来てくれれば無料送迎バスに乗車できるように手配しますよ。」

「え!?いいんですか?」
この旅は最後までついてる。

「17時頃にオフィスまで来て下さい。」

それからお洒落男子が言う。

「なら、俺も見送りにいくわ。」

3人はその場で別れた。

私は17時まで何をしていたかあまり覚えていない。多分あてもなくハノイの町をただただふらついていたのだと思う。

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旅行会社のオフィスに着くとお洒落男子もいた。ここでは、音楽の話をしたのを覚えている。

彼はYMOが好きらしい。でも、このベトナムの旅に合う別のアーティストの曲があると言って…

彼はその音楽をそっと私に教えてくれた。

その瞬間、オフィスのドアが開いて
空港行きのバスの到着が告げられた。


私は思った。


"彼とは、また会いたいな。一期一会なんかにしたくない。"


オフィスを出て、他の乗客たちと
小型バスに乗り込む。

座席から窓の外に目をやると
彼は笑顔でこちらを見ていた。

少し聞こえづらかったけど、
確かに聞こえた。


「東京でも会おうな!」


バスがゆっくりと動き出すと彼は後方に流れていき、後ろを振り返ると大きく手を振る姿が見えた。


私は、嬉しくてにやけそうになるのを堪えて、空港へ向かう途中、彼が教えてくれた音楽を忘れないようにメモ帳に書き残した。


EVISBEATS ”いい時間”


今でもこの曲を聴くと、
ベトナムで過ごした素晴らしい日々が
昨日のことのように浮かんでくる。

グッバイ、ベトナム。


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「ベトナム統一鉄道の旅」おわり


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