記事一覧
火星の写真家|ショートショート
昨日の夜発射された宇宙船は、3日前に到着していた。
ねじり、ねじり。今と明日と、2分前が入り混じる火星のじかんは、とらえどころがない。
ひんやりと冷たい扇状位ガラスの窓に頬をぐいと押し当て、熱った顔の熱をすこしでも逃そうとしているニイ宮は手の中の大きなキカイを見つめた。
船内はハワイアンタイムとかで、ゆったりとしたウクレレの音とハイビスカスの香りと、ゆらりと揺れる太陽が、ズンズンと気温をあげ
今日の私が船のへりにいる理由|ショートショート
ほんとうに、ほんとうに、急いでいる。
しかし、オールを操る力がみあたらない。
昨日の私ならできたろう。
今朝の私は、そこにいることが精一杯。
ずるずると船から降りようとするがそれもできない。
だから船のへりに摑まって、今日の水の流れを手ですくう。
そうか、これが今やるべきことか。
眠りの森の住人|エッセイ
苦手なもの、と聞いて1番に思うのは、睡眠に耐えることだと言いたい。
授業中、お昼すぎの会議、ドライブの助手席、寝てはいけない場所で眠らないようにすることを妄想するだけでもキツい。
とにかく眠さに対する抵抗力が極端に弱く、本当にこれで何度も人生を詰みそうになっている。
という今日も眠さとの戦いにまけそうであるので、もうちょ…明日、続きを…。。。
ねます。
人生初のことなんて、まだまだいっぱいあるので嬉しい|エッセイ
なんでも新しいことが好きだし、食べ物屋さんに行っても、冒険的な新作を注文して玉砕するようなタイプだったのに、ここいらへんの私はもうまったく、モスへ行ってモスバーガーを頼むような人間になってしまった。
モスバーガーは本当に美味しい。
絶対に必ずいつでも美味しい安心感。
私はそのぬるま湯にどっぷり浸かって、生活の周りを「いつものやつ。」で固めてしまっていた。
いつものやつ。は、間違いがない。
ど
ハッピー、ハッピー、ペンギン2|ショートストーリー
ハッピー、ハッピー、ペンギン1はこちら。
ただ座って、小さなペンギンを観る。
ペンギンの翼はフリッパーと呼ばれるらしいよ。などと、どこで調べたのかペンギンの小ネタを挟みながら、体を大きく揺らしてよちよちと歩くペンギンの様子を観ている夫を視る。
体の三分の一ほどの段差を、えいやっと飛んで登る姿は本当に愛らしい。
無事に台の上に登れたペンギンを祝福するかのように顔をほころばせた夫は、その笑顔の
ハッピー、ハッピー、ベイビーペンギン|ショートストーリ
「ペンギンが生まれたらしい。」
平日の昼過ぎに、大通の狸小路まで出かけることになったのは、夫が言い出したからだった。
フェアリーペンギンという世界一小さなペンギンの赤ちゃんが札幌の街中の水族館で生まれたと話題になったのは春頃だった。
夫は自分と1日違いで生まれた赤ちゃんペンギンに親近感を覚えたのか、水族館に行くことを楽しみにしているようだった。
16時すぎ、人もまばらな水族館のフェアリーペ
祈願上手な巫女の舞|#祈願上手 #毎週ショートショートnote
「まずは、両手を綺麗に洗います。清潔であることはとても重要です!」
巫女インストラクターの真剣な言葉をメモしながら、続きの言葉を待つ。
「服装も清潔さと純粋さをお伝えするため白をメインにコーディネートを組みましょう。足袋は新品がいいですね。」
浄化の塩、祈りの藁、お祓いの紙などを用意していざ、祈願に向けて舞台へ向かう。
巫女インストラクターから厳しい指示がくる。
「祈願上手の右から三人は
目指すところを見直すための贅沢な時間|エッセイ
昨日、今日と仕事から離れて怠惰な2日間を過ごしていた。
一日目は基本の家事を終えて、昼過ぎからなんだかしんどくなってきたので、布団でネトフリしながら、夢と現を行き来していた。
今日は、朝ちょこっとだけミーティングをして、あとは部屋掃除をして、結局最終的に自分はどうしたいんだろうというところを見つめなおしていた。
夜は貸切の岩盤浴で、瞑想聴きながら汗を流す。
結局今日ですぐには目指すところまでは
文学フリマでたいなあ!|エッセイ
みなさんの東京の文学フリマレポートを覗き見ながら思う。
行きたい!できれば出店したい!
でもいつものゆるゆるnote毎日+応募のものを書く、さらに文学フリマ用に本を作るですって?
できるかなー。
でもつくりたい!
こんなの作りたいってアイデアはぽこぽこ浮かぶのでうずうずしちゃう。
札幌も秋にある。
やりたいなあ!
ということで何に私は悩んでいるのか、細かく見てゆく。
悩んでいるポイント
草原インフォメーション|ショートショート|140文字小説
木も草も花も、われ先にと大きく体を広げて初夏の北海道を彩る。
「やっぱりこの土地は広すぎるわね。草原インフォメーションに頼んだ方がよかったかしら。」
話を聞きつけたそれは、ふわふわと彼女のそばに舞い降りてきた。
手のひらほどの小さな体に大きな羽。
こっそり草原の秘密がこぼれ落ちる。
途中になってた長編の続きをちょこっと更新!
書いててえらい。素敵。素晴らしい。
https://note.com/mitsu_48/n/n9691a9fa4d38
元カレの名前がイカつくなってるからビール飲む。 #山岳カルマ 毎週ショートショートnote
「俺、このマイク一本で天下とるわ!」
そういって私が借りていた荻窪の2LDマンションを飛び出していた元カレ「河口勝(カワグチ マサル)」を、次に見たのはあれから2年後、最近出会ったいい感じになってる彼とのデート終わりに、家で1人お風呂上がりのシメビールを煽ろうと準備して座ったテレビの前に映し出された深夜ローカル番組で始まったラップバトルみたいなやつだったけど、私の記憶していた彼より大きく、せり出
過激なイルカの思想 #文学トリマー |毎週ショートショートnote
「芸術とは、かくあるべし!」
モジャモジャ頭のセンセイは、唾を飛ばしながら黒板の前で叫んでいる。
センセイの情熱とは裏腹に、14時の力も乗っかった教室は、ゆるりと退屈が包む。
俺なんかもまだ人間1回目なので、ゲイジュツとか、ブンカクとかのことはよく知らないんだけど、このセンセイの話は退屈だなとは思う。
隣の席のイルカ2回、人間3回目のやつに言わせると、イルカの方がゲイジュツを理解してるらしい
満月が近づいております。|エッセイ
気持ちが荒ぶってきたなと思ったら、やっぱり満月が近づいていた。
今までだって満月は私の近くまで何度も来ていたけれど、それが満月だとは気づいていなかった。
月の動きに翻弄されるなんて、狼人間そのものだ。荒ぶるところなんかも本当に狼人間みたいなので、もう少し髪が伸びたらウルフカットにしよう。
しゅんとしても、喜んでも、荒ぶってもそれが私で全部いい。…と、思えるよう練習中なのだ。^_^