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小説『クリキャベ🥬』感想たち

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創作大賞2023 朝日新聞出版賞受賞作、そして2024年4月5日に発売した書籍『クリームイエローの海と春キャベツのある家』にいただいた感想記事たちをまとめました。たくさんの感想あ… もっと読む
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記事一覧

「クリキャベ」について話そ?/すまいるスパイス

「クリキャベ」について話そ?/すまいるスパイス

5月19日「すまいるスパイス3周年記念配信」
みなさん聴いていただけたでしょうか。

皆さんと顔を合わせての時間、とても幸せで今はだいぶロスってます。

私からは、配信の後半「推しについて話そ? LIVE ver.」について書かせてくださいね。

スペシャルゲストとして せやま南天 さんにお越しいただき、メンバーから色々な質問をいたしました。その一部を手短にご紹介します。

クリキャベの土台記事が

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闇を知るからこそ光を知る【クリキャベ読書感想文】

闇を知るからこそ光を知る【クリキャベ読書感想文】

先日、せやま南天さんの『クリームイエローの海と春キャベツのある家』(通称『クリキャベ』)を読了した。

読むのが遅い方(当社比)なので、ゆっくり時間をかけて読み進めようと思っていた。
しかし、新型コロナウイルスに感染したことで自由時間がめちゃくちゃ増え、結果的に一週間足らずで読み切ってしまった。

とても素晴らしい作品だったので、感想を述べたいと思う。

※ちょっとネタバレあるので、未読の方はひと

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【読書感想文】生活はつづく、クリームイエローの海と春キャベツのある家

【読書感想文】生活はつづく、クリームイエローの海と春キャベツのある家

こんにちは。イケダです。noteでは初めて読書感想文を書いています。よければお付き合いください。

noterさんなら一度は目にしたことがあるであろう、この本。いや、御本。言わずと知れた、昨年度の創作大賞受賞作品。

note投稿歴2年目ぺーぺーのわたしは、この作品がきっかけで創作大賞というものを知ったのだけれど、絶対に読もうと購入したものの、実はしばらく積読になっていた。

というのも、web版

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「生活」への温かなまなざし〜クリームイエローの海と春キャベツのある家

「生活」への温かなまなざし〜クリームイエローの海と春キャベツのある家

あるとき、「暮らし」と「生活」の似て非なる響きについて考えたことがある。

暮らしは、憧れや理想のライフスタイルのニュアンスを多分に含んでいる。
雑誌や書籍、YouTubeで描かれているような、すっきりと整い余裕が感じられるさま。

一方、生活はもっと地に足のついた、それどころか時折田んぼに片足を突っ込んだような、何とももどかしく精一杯に気を張りつめている感じがする。

どちからというと、私は現実

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『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を読んで

『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を読んで

自分で自分のことをうまく認めてあげられないと、なんでこうも苦しいのだろう。誰かに認めてほしい、自分の弱さも含めて受け止めてほしいと思うのに、それを曝け出すことはできなくて、また自分を責めてしまう。完璧に見える誰かのようにできないとダメに思えて、きっとその相手も完璧じゃないのに、比べてしまう。それは家事だけではなく、人生のいろいろな場所で「コンプレックス」として私たちが向き合い続けてきたものなのでは

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クリームイエローの海と春キャベツのある家 : 本の感想

クリームイエローの海と春キャベツのある家 : 本の感想

今日は、せやま南天さんの「クリームイエローの海と春キャベツのある家」の感想文です。

こちらの作品は、note主催の創作大賞2023の受賞作を、単行本用に改稿された本です。

裏面の帯には、noterさんの感想がビッシリと書かれています。noteを起点につくられた本というのがわかるので嬉しくなります。

本の内容を簡単にまとめてみます。

まとめすぎたっ。
内容は、ぜひ本を読んで確かめてください。

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クリーム色の休日。

クリーム色の休日。

休日なにもせず、寝巻きのまま見上げた時計は15時をさしていた。

ここのところ、どうも体がだるくて、たまった洗濯物を見てはため息をつく日が続いていた。「明日こそ早く起きてやろう」と思ってアラームを7時半にセットしたのに、二度寝して9:14。外は眩しかった。

ふらつく頭で1回目の洗濯をセットして、カーテンを開けた。ナナメ向かいのお家はもう、家族分の洗濯物がきれいに並んでいる。
「あぁ、ちゃんと生活

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ありのままでいることは難しい。だけど…(せやま南天さん『クリームイエローの海と春キャベツのある家』に触れて)

ありのままでいることは難しい。だけど…(せやま南天さん『クリームイエローの海と春キャベツのある家』に触れて)

「ありのまま」と聞くと、どんな状態を想像するだろう。
あるがまま、自分らしく、自由に、のびのびと……。
人によって異なるとは思うが、そんな感じのイメージだろうか。

私は最近、「ありのまま」というものにとても悩んでいる。
資格試験のために傾聴の練習(1対1での面談ロールプレイング)に参加しているのだが、
いつもフィードバックタイムに指摘されるのはこんなことだ。

「自己一致して話を聴いていない」

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洗濯物の波と、看護師の瞳と【「クリームイエローの海と春キャベツのある家」&「ナースの卯月に視えるもの」雑感を綴ります】

洗濯物の波と、看護師の瞳と【「クリームイエローの海と春キャベツのある家」&「ナースの卯月に視えるもの」雑感を綴ります】

ヘッダーがつぎはぎのようで💦お目汚しをまずはご容赦くださいませ。
せやま南天さん著『クリームイエローの海と春キャペツのある家』、秋谷りんこさん著『ナースの卯月に視えるもの』、御作二冊の拙い雑感を綴りたく思います。

以下、出版日逆順で、まずは秋谷りんこさん『ナースの卯月に視えるもの』。

裏表紙解説にも記されているように、主人公の卯月は、とある特別な眼を持っています。それゆえに引き起こされていく

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『クリームイエローの海と春キャベツのある家』せやま 南天

『クリームイエローの海と春キャベツのある家』せやま 南天

創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞受賞作で本作がデビュー作。

主人公は五年間勤めた大手商社を辞め、家事代行派遣会社に登録したばかりの永井津麦。

新しく担当する事になった織野家に出向き目にしたのは、床一面を覆いつくす洋服の山。
その光景は全体に薄っすら黄身がかったクリームイエローの海のよう。

5人の子どもを育てるシングルファーザーと津麦。
不協和音を奏でていた二人だったが、家事に対

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「日本よ、これがクリキャベだ!」の話

「日本よ、これがクリキャベだ!」の話

「私、父子家庭って事、言ってたっけ?」

ある日の朝。
梅原さんがそう切り出した。

「いえ、初耳です」
「貸してもらった本読んで……『あ、父子家庭の話』って思って。もう亡くなったんじゃけど」
「えっ……そうだったんですね」

「で、そこまでなら『ま、ない話じゃないか』って、読んでて……」
「はい」

「最後、餃子作ってたじゃろ?ウチのお父さんの得意料理だったんよ」
「ええっ?」
「今でも命日に餃

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最近読んだ本たち(2024年4月分)

最近読んだ本たち(2024年4月分)

4月は出会いの月とよく言われるけれど、ほんとうにそうで。いろいろな方面で新しいつながりができてよかったなー、としみじみしている。

月の前半は娘たちが春休み、または午前中授業ということで、限られた時間内で仕事に追われた。それでも、ちょっとは本を読む時間を確保できた。よし!

残るは「エクササイズをしたあと眠くなってしまう問題」だ。「筋トレしてから本読もうっと」などと思っていると、睡魔に襲われて読め

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キャベツの投稿とクリキャベと #書もつ

キャベツの投稿とクリキャベと #書もつ

先月発売された、創作大賞2023受賞作「クリームイエローの海と春キャベツのある家(せやま南天)」(以下、クリキャベ)を読みながら思い出した、せやまさんの投稿がある。

・・確か、あれはキャベツの話だった。

あらためて読み返してみると、なんとその投稿はクリキャベで描かれていた「家事」の話しで「母親」の話しだった。

小説家さんにも様々な方がいて、日常生活に近い視点で描く方もいれば、全く想像だにしな

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それでいいよと私の元にやってきた本

それでいいよと私の元にやってきた本

こんにちは、めげないやつ子です。

久しぶりに小説を読みました。

note主宰、創作大賞2023のお仕事小説部門で朝日新聞出版賞を受賞された作品です。

昨年から色んな出来事があった我が家。
息子のことも自分も、家族のことも、一つの答えが出たところでした。

暮らしが大切なんだと気付いた途端に “そうそう、それでいいんだよ…” と言わんばかりに、私の元にやってきた本です。

読み終えてから、ふわ

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