祐川尚素

介護事業経営のコンサルタントです(1998年~) シナジーワーク・プランニングセンター…

祐川尚素

介護事業経営のコンサルタントです(1998年~) シナジーワーク・プランニングセンター代表取締役 http://www.synergy-work.co.jp/

マガジン

  • 徒然なるままに

    文字通り、徒然なるままに書いたものです。

  • 介護事業経営コンサルタントの介護雑記

    介護事業経営コンサルタントを25年超やっておりますが、自分が入りたいと思う施設は本当に少ないです。施設の職員に聞いても自分の働いている施設に将来入りたいと答える職員はほとんどいないでしょう。  より善い介護施設を「如何に創るか」という課題に取り組む前に、日本の劣悪な介護施設の現状を分析し、その原因を構造的に把握することが先決問題だと思います。  介護施設の悲惨な現状の背景、原因等を構造的に把握するということは、マキャヴェリ の名言、「天国へ行く最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」に通じることだと思っています。

  • 介護施設について考える

    自分の両親、親族がお世話になっている介護施設。いつかは、自分もお世話になるかも知れない介護施設。  超高齢化社会に生きる者にとって、介護施設について考えておくことは大切なことだと思います。

  • 外国人労働が提起すること

    日本の少子高齢化、人口減少により生産年老人口が激減している中で、外国人労働者に期待がかけられています。この外国人労働者を通して世界の日本の立ち位置、日本の課題が透けて見えてくるのではないでしょうか?

  • 虐待論ー高齢者介護施設におけるー

    高齢者介護施設において何故虐待が起こるのでしょうか?  虐待は職員の教育不足の結果なのか、それとも、職員の倫理観の欠如によるものなのか?  abuse/虐待の概念整理、虐待の構造的理解、背景理解が必要と思われます。

最近の記事

コロナ関係の基本情報

 2022年10月から2023年3月までFacebookに書き込んだ文章を整理しておきたい。  2024年春になってもコロナ対策を名目に面会制限をしている介護施設があります。再度、コロナに関する基本情報を踏まえて、面会制限について検討してもらいたいと願っています。 2023.03.30 屋内でのマスクは個人の判断 政府が3月13日、屋内で原則着用としていたマスク着用を個人の判断に委ねることとし、5月8日には、感染症法上の位置づけを2類から5類に変更するという。  しかし、

    • コロナは続くよどこまでも!

       相変わらず、面会制限ですかぁ!   記事には、面会制限について、以下のように書かれていました。  介護施設の生政治、ただただ生きていることのみを求める「剥き出しの生」が止まりません!  基本的人権である、人と会うこと、面会をどのような法的な根拠で制限しているのでしょうか?  「命を守るため」には人権制限も止む無しということなのでしょう。  コロナ禍がまだまだ続いているということでしょうか?例外状態が継続中ですね。コロナ禍についてもう一度、沈思黙考してみる必要があると思

      • 「剥き出しの生」に抗して~贅沢は敵か!? 介護施設の課題Ⅳ-4

        1.超法規的な目的合理性の貫徹 介護施設で、なぜ人権が安易に抑圧されることがあるのでしょうか。介護施設で働く人たちに問題があるからではないでしょう。そこには、何らかの構造的な要因があるはずです。  國分功一郎(哲学者)さんは官僚制(bureaucracy)を、その語源から官僚支配(bureau: 事務所; cracy: 支配)と訳し直したうえで次のように指摘しています。  さらに、ハンナ・アーレント[1](Hannah Arendt 政治哲学者)の次の言葉を紹介して

        • 函館市・北斗市・七飯町が「人材の奪い合い防止奨励金制度」導入 ― 介護・保育領域で

           函館市・北斗市・七飯町が連携し、介護及び保育領域で、企業間・事業所間での「人材の奪い合い防止」に向けて奨励金を出すといいます。  具体的には・・・ 介護施設では 介護職として新たに就労した人には最大で20万円 就労後は年に10万円を3年間あわせて最大50万円を支給する 保育施設では 保育士などとして新たに就労した人には20万円を支給 3年、6年、9年と継続して勤務するごとに10万円ずつ、あわせて最大50万円を支給する  函館市・北斗市・七飯町のこの「報奨金」制

        コロナ関係の基本情報

        マガジン

        • 徒然なるままに
          17本
        • 介護施設について考える
          14本
        • 介護事業経営コンサルタントの介護雑記
          40本
        • 外国人労働が提起すること
          16本
        • 虐待論ー高齢者介護施設におけるー
          10本
        • 介護・人間関係論
          7本

        記事

          多様な働き方と労働基準法大改正

          1.働き方改革ではなく働かせ方改革 河合薫(健康社会学者)さんのこの記事はとても勉強になりました。  確かに、「働き方改革」とは「働かせ方改革」であり、「多様化する働き方」とは「使い捨て人材化」ということでなのでしょう。  この指摘はとても正鵠を射ていると思います。  実に、小気味いい文章!「そうだ!そうだ!」と頷いてしまいました。 2.40年に一度の労働基準法の改正 また、河合薫さんは、40年に一度の労働基準法改正につても、世界的な動向を踏まえて、解説してくれておりま

          多様な働き方と労働基準法大改正

          バイデン大統領の「外国人嫌悪(xenophobia)の国」発言

             バイデン大統領が5月1日、ワシントンでの演説で日本を「外国人嫌悪(xenophobic)の国」と呼んだということが多くのメディアで取り上げられていましたが、この件に関して、国際政治学者の六辻彰二さんの記事がとても参考になりました。 1.移民でも移民でないという姿勢 六辻彰二さんは、バイデン発言のうち、「日本が移民受け入れに消極的」という部分は否定の余地がないといいます。  日本には技能実習生、特定技能外国人など多くの方々が労働者として働いていますが、政府はの公式見

          バイデン大統領の「外国人嫌悪(xenophobia)の国」発言

          2024年 アジアの気候危機

           日経新聞が FINANCIAL TIMES (https://www.ft.com/)の記事を紹介しています。  この記事によりますと、国連の世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)はアジア地域に気候変動の深刻な影響が表れていると警告を発したとのこと。  なんか、今年も気候危機は確実に進行していくようで恐ろしいです。記事ではアジア各国の気候危機の現状と予測を紹介しています。 中国の広東省では豪雨による洪水で10万人以上

          2024年 アジアの気候危機

          未来より今でしょ!高齢者介護の時制-介護施設の課題Ⅳ-3

          1.コンサマトリー/インストゥルメンタル 大澤真幸(社会学者)さんはコンサマトリー(consummatory:即自充足的)という概念を紹介していますが、この「コンサマトリー」という概念は介護における「必要-目的-手段」・「ニーズ-自立-介護計画」思想を解析するために有効な概念だと思います。  コンサマトリーとは、それ自体で充足的な価値を持つという意味で、その反対語はインストゥルメンタル(instrumental)つまり、手段的、道具的ということです。  大澤真幸さんはコンサ

          未来より今でしょ!高齢者介護の時制-介護施設の課題Ⅳ-3

          国立大牟田病院で職員による性的虐待

           国立大牟田病院(福岡県大牟田市)で介護職員3人(男性)と看護師2人(男性)が、障がいのある入院患者11人に対して、繰返し「性的な虐待」をしたとされる事件で同病院は5月2日、謝罪会見を開いたといいます。  現在も外部の専門家でつくる第三者委員会で調査が続行中とのことですが、今のところ、虐待を受けた疑いがあった入院患者11人のうち6人については性的な虐待が認定され、1人は虐待の認定はされず、残る4人について現在も調査中とのことです。  虐待と認定された行為は、以下の行為とさ

          国立大牟田病院で職員による性的虐待

          「不要不急」思想の影響 介護施設の課題Ⅳ‐2

          1.不要不急という思想 國分功一郎(哲学者)さんはコロナ危機を生きるための新たな日常の指針として多くの国民に内面化された「不要不急」について考察しています。  同氏はコロナ禍によって社会に次のような傾向が強まってきたと危惧しています。  「不要不急」とは「どうしても必要というわけでもなく、急いでする必要もないこと」ですが、國分功一郎さんは、この「不要不急」概念の中核には「必要」の概念があり、その「必要」概念は「目的」概念と深く結びついているといいます。  そして、國分功

          「不要不急」思想の影響 介護施設の課題Ⅳ‐2

          外国人材の日本で働きたくない理由

            この記事はとても参考になりました。  株式会社マイナビグローバルの「日本在留外国人の日本での就労意欲・特定技能への意識」に関する調査についての記事です。 1.ベトナム人の日本離れ? この調査結果で気になるのはベトナム人の日本離れではないでしょうか。 「今後も日本で働きたい」と回答した人は在留外国人の平均で91%ですが、ベトナム人は85.9%と約5%下回っています。2022年の調査時から12.1ptの減少だといいいます。  ちなみに、インドネシア人は94.4%、ミャンマ

          外国人材の日本で働きたくない理由

          コロナ禍を振返る‐介護施設の課題 Ⅳ-1

           人は困難な時、非常時にこそ、その人柄がハッキリ見えてくるように思います。介護施設も同じでしょう。ここで、コロナ禍における介護施設のあり方を検証することによって、介護施設の課題を詳らかにできるのかもしれません。 1.面会制限・禁止は人権侵害 日本人の脆弱な人権意識に新型コロナのパンデミックがとどめを刺してしまったのではないかと、私は怖れています。パンデミック[1]という歴史的な災いにより、介護施設での人権軽視、人権無視という病が進行してしまったのではないでしょうか。

          コロナ禍を振返る‐介護施設の課題 Ⅳ-1

          ブリコラージュとしての自炊と介護

           実に面白い!  國分功一郎(哲学者)さんと、三浦哲哉(表象文化論)さんとの対談です。  三浦哲哉さんの『自炊者になるための26週』(朝日出版社)を題材に、二人の哲学者、評論家による自炊にまつわる対談なのですが、とても刺激的、魅力的な対談になっています。 1.味わうこと 國分さんがアガンベンの次のような考え紹介していますが、これは、「そうだったのかぁ!なるほど」と思いました。  語源的に知が味わうことと密接に結びついていたというのには、とても納得できます。  「知」、「

          ブリコラージュとしての自炊と介護

          気候変動の影響で屋外労働者が年86万人死亡!これはヤバいでしょう!

           2024年4月22日に発表された、国際労働機関(ILO)の報告書『気候変動に伴う職場の安全と健康の確保』によると、世界の労働者の70%以上が気候変動に関連したリスクに晒されており、毎年数十万人が死亡しているとのことです。  その中でも、大気汚染によって、屋外労働者が年間約86万人が死亡しているといいます。  また、特に貧困地域の労働者が気候変動による影響による危険に晒されているとも指摘されています。   資本主義は気候変動による危機を、技術(新産業)や空間(グローバルサウ

          気候変動の影響で屋外労働者が年86万人死亡!これはヤバいでしょう!

          介護事業者突然の倒産で戸惑う利用者!

           福井県の「デイサービスいしずえ」(2018年4月開業、定員20名、宿泊定員9名:福井市和田2)が、突如、宿泊の利用者の引き取りを親族らに求め、行き場をなくした利用者や親族らに動揺が広がっているといいます。   どうやら、「デイサービスいしずえ」を運営する「サンサン」(鯖江市幸町2)は訪問介護事業と通所介護事情、居宅介護支援事業を営んでいるようですが、現在、破産手続きを申請しており、実質的に運営不可能になってきているようです。 求められる利用者救済制度の確立  政府が介

          介護事業者突然の倒産で戸惑う利用者!

          ZENウェルネス運営の「アシステッドリビング宮前」に行政処分

          1.行政処分を受けた施設 川崎市は介護付き有料老人ホーム「アシステッドリビング宮前」(定員80名・川崎市宮前区水沢2-8-60)に対して6か月間、新規利用者の受入停止及び介護報酬の請求上限を7割に制限する、指定の一部の効力停止処分を行ったとのことです。 報道発表資料によると、処分の理由は以下のとおりです。 (1) 不正請求 ア  看護・介護職員の員数が基準を満たしていなかった期間について、本来であれば令和3年 11月~令和4年2月(計4か月間)に算定すべき「看護・介護職

          ZENウェルネス運営の「アシステッドリビング宮前」に行政処分