マナリ

小説を書いてます。良ければ読んでみてください。

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最近の記事

【短編小説】そんなに遠くないある夏の日に君に訊かれた「空を飛べたらって、思った事ない?」という質問について

あの日は、こんな風だった。 あの、忘れられない不思議な夏の日… 「カイトお!早く起きてえ!お母さん、もう出かけなきゃならないんだからあ!いつもの時間に起こしてあげられないわよお!」 うるせえ… ん?今、何時? んんん…まだ6時じゃねえかあ… あっそっかあ…かあちゃん、今日、広島のおばあちゃんとこ行くんだったな… 「カイト!聞こえてるのお?起きてるう?」 「うるせえなあ~…起きてるよ。何度も下から叫ぶなよお…」と呟くように言い返し、俺は起き上が

    • マナリです。いつもありがとうございます。次ですが、「トマト!」「プールの水は…」「海に風が吹くから」に続く高校生の夏の物語を上げます。マンガ、イラストを描いている方で主人公をビジュアル化していただける方はいませんか? ご検討いただけますと幸いです。物語は明日アップします。

      • 【小説】ひとつではない世界で(後)

        「みんな捨てて、逃げっちまえばいいんだよ。そこから」 「逃げる?」 「そう、逃げるんだ。自分を守るために。大体、アンタ、今勤めている美容室って、どうやって入ったんだい?」 「専門学校の募集案内を見てよ。」 「それまでに、その店は知ってた?」 「知らないわ。」 「ほら見た事か。じゃあ、元々その店には縁がなかったんだよ。別に何でもよかったんだ。」 「何でもよくはないわ。だって、私の夢を叶えるために…」 「そんなの、どこの店でもよかったんだろう?その店じゃなくても。」 「確かに、そ

        • 【小説】ひとつではない世界で(中)

          ※はじめにおことわり… 本作は前後編の二編で構成する予定でしたが、後編が長くなってしまったので、前・中・後編に編成し直します。お詫びするとともにお伝えいたしますので、何卒宜しくお願い致します。では、以下から中編がスタートです。 「手が…手が痒いの。」 「シャンプーのせい?」 「そう。」 「手を見せて。」 私は、ノラの前に両手を差し出した。 私の掌と指は、皮がむけてボロボロになっている。 「可哀そうね。痛い?」 「痛いわ。夜、眠れないぐらいに。」 「痛いのは、手だけではないわ

        【短編小説】そんなに遠くないある夏の日に君に訊かれた「空を飛べたらって、思った事ない?」という質問について

        • マナリです。いつもありがとうございます。次ですが、「トマト!」「プールの水は…」「海に風が吹くから」に続く高校生の夏の物語を上げます。マンガ、イラストを描いている方で主人公をビジュアル化していただける方はいませんか? ご検討いただけますと幸いです。物語は明日アップします。

        • 【小説】ひとつではない世界で(後)

        • 【小説】ひとつではない世界で(中)

          【小説】ひとつではない世界で(前)

          ■ 夜明けの新宿副都心辺り。 どこからか、バカみたいに早くからやっている朝の情報番組のお天気コーナーで、今日何度目かの「この秋初めての本格的な冷え込み」という説明をしている声が聞こえる。 夜が明けた。 新宿のビルをオレンジ色に輝かせる。 道路では、カラスがアスファルトに降り立ち、ゴミを漁っている。 自転車で走る人、散歩をする人、走る人。朝が来たばかりなのに、もう通りには人が行き交う。 バスが走る。トラックも、タクシーも。 さっきまで酔っ払っていた人が、タクシーを拾

          【小説】ひとつではない世界で(前)

          アテ書きについて、たくさんのスキをいただき、ありがとうございました。ご意見等ありましたら、教えていただけるとありがたいです。次ですが、ヒューマンストーリーなのですが、ちょっとファンタジーチックなものを上げます。また宜しければお読みください。宜しくお願い致します。

          アテ書きについて、たくさんのスキをいただき、ありがとうございました。ご意見等ありましたら、教えていただけるとありがたいです。次ですが、ヒューマンストーリーなのですが、ちょっとファンタジーチックなものを上げます。また宜しければお読みください。宜しくお願い致します。

          アテ書きの件ですが、「通じる その後(最終話)」のコメント欄に書いておきます。本作を読んでいただいた中で、そんな情報は要らない方がいる場合の事を考えての事です。ご了承の上、お楽しみいただける方はご参照ください。宜しくお願い致します。

          アテ書きの件ですが、「通じる その後(最終話)」のコメント欄に書いておきます。本作を読んでいただいた中で、そんな情報は要らない方がいる場合の事を考えての事です。ご了承の上、お楽しみいただける方はご参照ください。宜しくお願い致します。

          マナリです。「通じるその後」をいくつかのマガジンで掲載していただいた事を感謝申しあげます。私はどのストーリーでも大体「アテ書き」しております。「通じるその後」では熊谷と三沢さん、笠松、そしてヒロ兄を俳優さんでアテております。ご希望が多いようなら呟いてみる事にします。

          マナリです。「通じるその後」をいくつかのマガジンで掲載していただいた事を感謝申しあげます。私はどのストーリーでも大体「アテ書き」しております。「通じるその後」では熊谷と三沢さん、笠松、そしてヒロ兄を俳優さんでアテております。ご希望が多いようなら呟いてみる事にします。

          【4回連載小説】通じる その後(最終話)

          ■ トイレで、何度も顔を洗った。 ようやく涙が止まった頃、僕はトイレを出た。 理美を見ると、長椅子に崩れるように横になり、僕のジャケットを肩までかぶり、ぐっすりと寝ていた。 よっぽど疲れたのだな。 それはよく分かった。 理美が横になったので、僕は隣の長椅子に腰かけた。 座ってすぐに気がついた。 腹が減った。 そう言えば、昨日夜中に帰った時に買ってきた焼きそばを食べていない。 昨日は昼も、デスクでコンビニで買った卵サンドを食べたきりだった。 腹が減った。 1階の外来受付のロ

          【4回連載小説】通じる その後(最終話)

          【4回連載小説】通じる その後(3)

          ■ 最初、理美が出てきたのが、分からなかった。何故なら僕は、出入り口に背を向けて、長い廊下を歩いていたからだ。 「まささん?」理美が僕を呼ぶ声で、僕は振り向いたんだ。 理美が僕を見つけた。僕は理美に駆け寄った。 「どうだい、ナオちゃんの容態は?」 「うん、点滴で入れてる薬が効いて、熱は下がってきてる。そして、熱の原因が分かったの。」 「ええ、そりゃよかった。で、原因は何だった?」 「私も全く気付いていなかったんだけど、あの子、先天的に鼻の奥に穴が開いてたのよ。そこは薄い皮膜が

          【4回連載小説】通じる その後(3)

          【4回連載小説】通じる その後(2)

          ■ 11月になった。 結局、10月は理美さんとも直海ちゃんとも直接会えないまま過ぎた。 11月は、直海ちゃんの誕生月だという。 理美さんの強い要望で、直海ちゃんの誕生日は、浦安の夢の国で過ごす事にしているのだが、まだ、休めるのか、どうか、正直、ハッキリしていない。 仕事は、どんどん最悪の結果を招く事が現実的になってきている。 うちの営業局には、5部あるのだが、年末年始の特別企画の売上が、僕のいる三部がダントツでビリなのだ。 これには、佐伯部長も流石に機嫌が悪く、いつも朝早

          【4回連載小説】通じる その後(2)

          【4回連載小説】通じる その後(1)

          ■ 僕は、三沢さんと娘さんの直海ちゃんと、約束通りに映画を観に行った。 僕らの街には映画館がないので、僕が利用しているカーシェアの車で、近くのショッピングモールの映画館へ行き、ジブリ映画を観た。 朝イチの回で映画を観たので、映画館を出たら、お昼時だった。 僕らは、巨大なショッピングモールのフードコートで食事をする事にした。 たくさんの席は、どれも埋まっていたので、三沢さんとベビーカーの直海ちゃん、そして僕で、手分けして席を探した。 僕は、もうじき席を立ちそうな家族連れ

          【4回連載小説】通じる その後(1)

          マナリです。いつもありがとうございます。今日から4回に分けて、「通じる」の続編「通じる その後」をアップしていきます。「通じる」をお読みいただいた方は勿論、そうでない方にもお楽しみいただければと存じます。何卒宜しくお願い致します。

          マナリです。いつもありがとうございます。今日から4回に分けて、「通じる」の続編「通じる その後」をアップしていきます。「通じる」をお読みいただいた方は勿論、そうでない方にもお楽しみいただければと存じます。何卒宜しくお願い致します。

          【10回連載小説】タケルとスミカ最終話(10)

          【電車で多摩川を越える】 「こんな午後早い時間に、帰る方の電車に乗るの、あんまないから、ビックリだね、空いてて。」 「でも、これ、各停だぜ。空いててもいいんじゃねえか?」 「別に、急いで帰る必要ないじゃん。」 「まあ、そうだけど。」 「もう、多摩川越えるよ。」 「意外に早えよな。多摩川まで。」 「だよねえ。多摩川越えたら、もううちらの駅だもんね。」 「座って、ゆっくり多摩川越えんの、スゲエ、久し振りな感じがする。」 「そうだねえ。いつもなら、川越える時、大体つり革もって、スマ

          【10回連載小説】タケルとスミカ最終話(10)

          【10回連載小説】タケルとスミカ(9)

          「タケル、食べながらでいいんだけど、ちょっと、聞いて欲しい事がある。」 「何だよ?聞くだけ?」 「そう、聞くだけでいい。あのね、私のカテキョーのバイト先で一緒で、この大学の子が二人いるって、前に話したじゃん。」 「ああ、聞いた事あるな。二人とも文系だろう?」 「そう、ユミちゃんとミクちゃんって言うんだけど。二人がね、タケルがカッコいいって言ってんだよ。」 「カッコいいって?ヤバいじゃん。二人とも、可愛いんかなあ?」 「ユミちゃんは、美人だけどケバい。ミクちゃんは、どこにでもい

          【10回連載小説】タケルとスミカ(9)

          【10回連載小説】タケルとスミカ(8)

          【タケルとスミカ①】 「遅いよお。どんだけ、人を待たせるのよ!」 「ええ、だって、スミカ、第一って言ってたぜ。だから、第一で待ってたんだよ。」 「第一?私が第一って言ったって?そんな訳ないじゃん。私、第二のスーラータン麵が食べたかったんだもん。それに、私、口頭では言ってないよ。メールで言ったじゃん。」 「だから、そのメールで!第一って、言ってるよお。」 「ええ?見てみる。あっ、ホントだ。でもねえ、その後に、スーラータン麺食べたいって、書いてるじゃん。第一は、中華、やってないよ

          【10回連載小説】タケルとスミカ(8)