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鉄板の上で踊れ

 今日は父の日だったので実家に顔を出してきた。
  
 母の日に比べて父の日は存在感が薄いので家族の誰からも祝われないでいた父をほんの少し気の毒に思いながらプレゼントに焼酎を用意した。

 訪れてすぐにはいこれ父の日おめでとうと言って渡すと気を遣わないで良いのにと言いながらニコニコしていたのであげて良かったな思った。

 日曜日だったのでそのまま晩御飯を食べていきなさいと母が言うので甘えることにした。

 まずは食材の買い出しに私が車を出した。

 行きつけのスーパーに行くといつもよりお客さんが多くて混んでいた。

 父の日ならではの催しで、特設コーナーではネクタイやサングラスのような身に着けるものから、お酒やおつまみといった定番の贈り物が揃っていた。

 それを横目で眺めながら買い物に専念した。

 献立は母と私が共同で考えた。

 母が副菜を作るからあなたはメインを考えてと言われたので少し悩んで豚肉をかごに入れた。

 それから他に必要な食材を選んで会計をして店を出た。

 実家に戻るともう夕方だったのでさっそく料理に取り掛かる

 日頃はしないのだが服が汚れるという理由でエプロンを着けさせられた。

 まずはキャベツを千切りにする。

 それからボウルに小麦粉、昆布茶、揚げ玉、卵、水を入れて丁寧に混ぜ合わせる。

 そこにキャベツを加えてよく混ぜたら下拵え完了。

 勘のいい方ならもうわかると思うがメインの料理はお好み焼きにした。

 後はホットプレートで焼いていくだけなので母の副菜作りを手伝うことにした。

 頂き物の破竹があったのでこれを煮物にしていく。

 すでに下茹でをしてあったので油揚げと合わせて醤油で甘辛に味付けをする。

 アクは余りでないが薄味の方が食べる時に具合が良いので煮詰まらないように注意。

 味が染みるのは火を止めてからなので良い所で冷ましておく。

 次にサラダを作っていく。

 レタスを手で千切って流水で良く洗う。

 アスパラガスを根元は切り落として筋を取ってから茹でる。

 玉ねぎを薄くスライスして水にさらして辛味を抜く。

 プチトマトを良く洗って半分に切る。

 後はお皿に順序良く丁寧に並べればアスパラのサラダの出来上がりである。

 食べる時にドレッシングとしてレモンとオリーブオイルとコショウを混ぜ合わせたものをかける。

 副菜を作る作業は分担してやったのであっという間に出来た。

 それでは食べましょうと言う事になったので居間に家族が集合して父の日おめでとう!と言って乾杯した。

 父は私が持っていった焼酎を早速飲んでうん、これはイケルとご機嫌である。
 
 私はビールをグビリと飲みながらホットプレートが温まるのを待った。

 そのうちに良い感じになったので油を多めにしいて生地を流し込んで丸く成型していく。

 お好み焼きというと関西と広島で呼び方に論争があるが、今日作ったのは関西の方である。

 生地の上に広げた豚肉を並べてヒョイッとひっくり返す。
 
 それからフタをして蒸し焼きにしていく。

 しばらくしたら香ばしい匂いがしてくる。

 そうなったら食べ頃である。

 まずは本日の主役の父に一皿勧める。

 熱々の所にソースとマヨネーズを絞って鰹節と青のりを振る。

 ではお先でーすと上機嫌の父がハクリと口にすると、うんイケルというリアクションをした。

 ホットプレートで一度に焼けるのは二枚までなので順番に次々と焼いていった。

 最後に私の分を丁寧に焼き上げた。

 いただきますと言うと、もう頂いていますと母の声が聞こえてきた。

 ソースをたっぷし塗って鰹節がゆらゆら揺れているのをかじりつくと熱々で火傷しそうになる。

 出汁が良く効いており豚肉も香ばしくてなかなかの味である。

 うん、上出来じゃないと言うとそうだなと父が応えてくれた。

 副菜の煮物とサラダもモグモグと頂いた。

 久しぶりに母と台所に立ったが手際の良さではとても敵わないなと思った。

 私の料理の師匠なのでいつか超えていきたいと思っている。

 帰り際に父が今日はありがとうと言ってくれたので良かったと思う。

 さあ、明日は何を食べようかな。

 

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