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ここ一番はお兄ちゃん。

 今日は兄の誕生日。

 去年も書いたような気がするが私とは年子の一つ違いである。

 いまだに実家暮らしなので私がたまに実家に顔を出すと出会う事がある。

 仕事の時間帯が違うのでチラッと会うことが多いがそれなりに仲はいい。

 兄は子どもの頃からマンガとアニメをこよなく愛しており幼かった私もずいぶん影響を受けた。
 
 小学生の頃はアニメの専門雑誌を兄弟でお金を出し合って買っていた。

 その頃はまだ萌えと言う文化はなくジブリアニメが流行り始めた頃だった。

 当然ガンダムやマクロスと言ったロボットアニメは男の子の必須履修科目だったのでよく観ていた。

 ガンダムと言えば当時はプラモデル、いわゆるガンプラの全盛期だった。

 私もお小遣いを貯めて駄菓子屋で一個三百円の量産型ザクを買ったものである。
 
 兄もそれなりにプラモは好きみたいだったがいつも主人公の機体を買いたがっていた。

 しかしガンプラは常に品不足でザクがあることもまれだった。

 一番残っていたのは武器セットのプラモでこれだけあってもどうしようもない代物だった。

 兄と一緒にプラモを作っている時間はいつもギスギスしていた。

 というのもその頃のプラモは接着剤が無いと作れないのだが、そのボンドの取り合いになるのである。

 私はしっかり接着したいのでボンドを塗りたくるのだがそれが兄にはもったいなく映るらしく、こらそんなにつけるなと小突かれたものだ。

 そんな小競り合いをしつつ組み上げたプラモの数は十体以上になる。

 塗装や目消しなどの専門的な事は一切知らなかったのでただ作るだけで満足していた。

 プラモ作りがひと段落すると今度はファミコンの時間である。

 宿題を終わらせないと遊ばせてもらえなかったので私は何はともあれその日の宿題は真っ先に片づけていた。

 ところがのんびり屋で勉強が苦手だった兄はなかなか重い腰をあげない。

 マンガを読んだり、おもちゃで遊んだりとだらだらしていた。

 私は一刻も早くゲームをしたいので兄ちゃんいい加減宿題しなよ~と懇願したことは数知れない。

 何だかんだで兄が宿題を終える頃には父が帰宅して晩御飯の時間になりファミコンはお預けと言うもどかしい事もよくあった。

 その頃は兄と小さなことでよくケンカしていた。

 その度に母に止めなさいと言われて頬っぺたを思いっきりつねられた。

 中学生になってからは思春期だったので学校で出会ってもお互いに無視していた。

 家でもあまり会話が無かったと思う。

 何となくお互いに折り合いがついたのは大人になってからである。

 私が結婚して家を出る時に親父とお袋は俺に任せとけと言われて、ああ兄はやっぱりお兄ちゃんなんだなとしみじみ思ったものだ。

 それ以来出会えば普通に話をする関係である。

 最近はお互いの不健康自慢に花が咲く。

 これもお互いが年を取った証拠だろう。

 頭にすっかり白いもの混じるようになった兄を見て、これからも元気でやってほしいと思う。

 そんなめでたい日に昨日の晩御飯の話を少し。

 昨日は倒れないようにあまり火を使わない方針で調理。

 鶏のヤゲン軟骨をレンジで加熱。

 その間にみょうがを刻む。

 軟骨に火が通ったらポン酢で和えてそこにみょうがと柚子胡椒を加えてよく混ぜる。

 これで軟骨ポン酢の出来上がり。

 次に厚揚げを半分に切ってトースターでこんがり焼く。

 焼きあがったらお皿にあけてその上に大根おろしとネギを散らして生醤油をチラリとかけたら雪竹虎の出来上がり。

 もう一品は残り物の鶏肉のソース炒めを卵で閉じてオムたまにした。

 ようし、これで晩御飯の完成。

 ほとんど火を使わなかったので体に負担が少ない。

 では妻を呼んでいただきます。

 昨日のお酒は安心安定のビール。

 オパシッとプルタブを起こしてグラスにテッテッテ。

 ギ乾杯してグラスをギュイーッ。

 オグオグオグとビールが喉を滑り落ちていく。
 
 その心地よい刺激に全細胞がフルエル。

 ムヒーッうめぇと思わず声が漏れる。

 二杯目を注ぎながら厚揚げから食べる。

 焼いた厚揚げにネギを散らしたのが竹虎、大根おろしを乗っけたのが雪虎。

 昨日はそれのハイブリットバージョン。

 大根の辛みとネギのショリショリした食感と厚揚げの香ばしさがたまらない。

 シンプルな料理だが江戸の昔から伝わっているだけのことはある。

 二本目のビールをエピシッとあけてグイィィッと飲む。

 お次は軟骨ポン酢だ。

 コリコリしたヤゲン軟骨にポン酢の酸味、みょうがの爽やかな香りが心地いい。

 仕上げに加えた柚子胡椒が全体を引き締めている。

 この料理はテレビで観て覚えたレシピを試してみたが大成功だった。

 これはつまみだなぁと思いながらちびちび食べた。

 それからオムたまも合い間につまみつつ三本目のビールでお酒は打ち止め。

 二人で食べて八分目の腹具合でご馳走様。

 お酒も控えめだったので丁度いい酔い加減。

 もうしばらくはレンジを多用して火を使う頻度を下げようと思った。

 さて、兄にお祝いの連絡をしようかな。
 
 お兄ちゃん、お誕生日おめでとう。

 不出来な弟ですがこれからもよろしくね。

 たまには飲みに行きませんか?

 おごってもらえたら嬉しいなぁ、テヘヘ。

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