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再会に願いを込めて。

 今日は七夕。

 肝心の空模様は朝のうちは晴れ間が出るくらいのお天気だったがお昼前から一転して重い雲が垂れこめてきた。

 うーん、いやな感じと思っているとポツポツと雨が降ってきた。

 それからあっという間に土砂降りに変わりついさっきまで激しい雨が降っていた。

 ニュースでは今夜は災害クラスの大雨になる恐れがありますとしきりに言っている。

 そうなると七夕をゆっくり楽しもうという余裕はなかなか生まれない。

 今、短冊に願い事を書くならばこの雨が止みますようにと記したい。

 子どもの頃は願い事を書く笹を裏山に祖父と一緒に採りに行っていた。

 急斜面に生えている当年物の細くて高さのある笹を鉈で刈り取る。

 それを二人で持って帰るのだが地面に落ちている笹は大変すべりやすい。

 靴はスニーカーではなくズックだったのでグリップ力は皆無である。
  
 ええか、転ぶなよという祖父の言葉がフリになったのか私はツルリとすっ転んで斜面を転げ落ちた。

 あっ!と思った時には体の自由が利かずにゴロンゴロンと地球が回った。

 そして五メートルくらい滑落して竹に引っかかってようやく止まった。

 祖父が血相を変えて飛ぶようにこっちに来ているのが分かった。

 どこか痛いか?と聞かれたので肘がちょっとと答えた。

 よく見ると笹で切ったのが細長い切り傷がスパっと入っていた。

 綺麗に切れたのか血はあまり出ていなかった。

 私は爺ちゃんごめん、迷惑かけてと言うとバカ、お前が謝らんでもええと頭をポンポンしてくれた。

 笹を使って簡単に肘を止血してもらって今度は慎重に竹藪をこえて家に戻った。

 それからすぐに傷口を赤チンで消毒してもらってカットバンをベタベタと貼られた。

 名誉の負傷を乗り越えて手に入れた笹はその年の七夕で大変役に立った。

 あれは一歩間違えたら大けがだったよなと思い織姫様のご加護があったのかなと思うようにした。

 晩御飯は定番のそうめんとちらし寿司だったが切り傷がヒリヒリしてあまり食べた記憶が無い。

 腕の傷は今でもうっすら残っている。

 おっちょこちょいでドンくさい自分の象徴のような傷なのでむしろ愛着すらある。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯のお話しを少し。

 まずはスーパーで鶏むね肉を購入した。
 
 それからお酒と野菜を追加。
 
 セルフレジでピピッと会計をして帰宅。

 手洗いとうがいをガラガラ。

 それから鶏肉の仕込みをする。

 皮を剝いで砂糖と塩をたっぷり刷り込む。

 肉がしっとりするまでの間に他の調理。

 お米を二合研いで炊飯器のスイッチをポン。

 枝豆のニンニク醤油漬けが残っていたので房から一粒ずつ取り出す。

 玉ねぎをみじん切り。

 卵を三個割って軽くかき混ぜておく。

 ご飯が炊けるまでの間に副菜をもう一品。

 キュウリを細く切ってごま油で炒める。

 全体がクタッとしたら取り出して熱いうちに醤油、酢、ごま油、唐辛子を合わせた調味料に漬け込む。

 後は粗熱が取れたら少し冷蔵庫で冷やせばキュウリの南蛮漬けの出来上がり。

 次は鶏肉を料理していく。

 砂糖と塩を洗い流してキッチンペーパーでよく拭く。

 それをラップでぴっちり包んで沸騰直前のお湯につける。

 五分加熱したら火を止めてフタをして余熱調理。

 ご飯が炊けたらフライパンに油を敷いてチンチンに熱くなったら卵を入れる。

 まだ半熟の時にご飯をガコンと投入。

 玉ねぎも同じタイミングで入れる。

 鍋を煽りながら全体に卵をコーティングしていく。

 味付けは軽く塩コショウ。

 そこに房から取り出した枝豆を加える。

 にんにく醤油ダレもジャッと入れる。

 香ばしい香りがして食欲をそそる。

 これでにんにく枝豆チャーハンの完成。

 最後に鶏を取り出してラップを剥がして薄く切り分ける。

 工程をかなりショートカットした鶏ハムの一丁上がり。

 おぅし、こんなもんでしょと思いつつ妻を呼ぶ。

 お米好きの妻はわぁいチャーハンだと喜んでいた。

 ではではと乾杯をする。

 昨日のお酒はレモンサワー。

 もちろん氷たっぷしの夏仕様。
 
 乾杯してグビビビッと力強く飲む。

 ウヒーァッ、たまらんと声が漏れる。

 いつだって口開けのお酒は格別である。

 ではまずキュウリから食べる。

 熱を加えているので食感がシャキシャキして楽しい。

 唐辛子がいいアクセントになっておりピリッとする。

 もう少し漬けたらよかったかもと思ったが十分いい塩梅だった。

 お次は鶏ハムを食べる。

 シンプルに砂糖と塩を摺り込んだだけだが良いお味だった。

 なによりパサつきがちな胸肉がとてもジューシーになるのでたまらない。

 つまみにももってこいだったのでモリモリ食べた。

 それから昨日の本命のチャーハンを攻める。

 レンゲを掴んでグワッとすくってアグリと食べる。
 
 にんにく醤油の香ばしさと枝豆のプチプチした食感が最初にやってくる。

 そこに卵チャーハンが追いかけてくるので不味いはずがない。

 チャーハンは十分お酒のつまみになるのでチビリチビリと大切に食べた。

 一人一合のチャーハンはさすがに量が多くて食べきったらお腹がパンパンになった。

 鶏ハムが少し残ったのでいずれ何かに使いたい。

 お酒はまあまあのレモンサワー三杯。

 片づけをして早めに床に就いたらバタンキューだった。

 ただいま雨は小康状態。

 願わくばこのまま晴れて織姫と彦星の逢瀬をそっと応援したい。

 実はわりとロマンチストな私。

 ここはテルテル坊主の出番かしら。

 とっぴんぱらりのぷぅ。

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