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豚骨ゆうたらここじゃった。

 昨日のお昼に少し時間が取れたので久しぶりに近所のラーメン屋に行ってきた。

 若い頃からの行きつけでとんこつラーメンがメインである。
 
 駐車場に車を停めて店内に入ろうとするとドアに張り紙がしてあった。

 何だろうと思って読んでみると何と6月いっぱいでお店を閉めるというお知らせだった。
 
 いきなりの告知にええっ!と驚いた。

 となると明日までだ…と事の重大さに気が付いて言葉が出なかった。
 
 とりあえず店内に入ってアルバイトのお姉さんにお店閉めるんですかと聞いたら、何とも言えない表情でそうなんですよ~と答えが返ってきた。

 さすがに理由までは教えてくれなかったがお店のいつものような活気はなかった。

 このラーメン屋は今から二十年くらい前にできたチェーン店でとんこつラーメンを武器に一時は大行列ができる人気店になっていた。

 その頃はラーメン屋自体が駅前に一軒しかない状況だったのでこのお店はヒットした。

 いつ行っても駐車場は一杯でお店の外には長い行列が出来ていたものである。

 昨日はしばらくぶりの訪問だったが店内は何だかガランとしていた。

 メニューを見ながらこれが最後の注文になるかなと思うと少し切なくなった。

 せっかくなのでとんこつラーメンの大盛り、煮卵追加と大ボリュームの一品を頼んだ。

 待っている間に色々な思い出がよみがえってきた。

 このお店は深夜営業もやっているので仕事で遅くなった夜にビールや餃子も頼んでささやかな一人宴会を楽しんだことや、当時お付き合いしていた女の子を連れていったらチェーンのラーメン屋さんなんてと言われたのでカチンときて盛大な口喧嘩をしたことなど良い事も悪い事も枚挙にいとまが無い。

 ああ懐かしいと思い出に浸っていたらー面が届いた。
 
 白濁した豚骨スープにチャーシュー、きくらげ、もやし、ねぎが乗っているシンプルなラーメンだ。

 その中で追加注文の煮卵がキラキラと輝いていた。

 スープをススッと飲むととんこつの甘くてしょっぱい味が口の中に広がる。

 うんうん、この味と思いながら細麺をズバッとすする。

 コシがある細めの麺とスープの相性がいい。

 合い間にチャーシューを可愛がって、もやしをショリショリ。

 ここら辺りで卓上に置いてあるコショウと紅しょうがを入れて味変をする。

 とんこつラーメンと紅しょうがの相性はさすがでこの組み合わせに気が付いた人は天才だと思う。

 ズルズルと麺をすすってスープは塩分過多になるので残した。
 
 帰る前に厨房のお兄さんにご馳走様でした、今日も美味しかったですと言うとありがとうございます!と明るい声が返ってきた。

 心の中でまた会えたらいいなと思いつつ支払いをしてお店を出た。

 ああ、これでまた一件馴染みのお店が無くなるのだなと思うと少し胸がクシュクシュした。

 そんな気持ちになりながらも夕方にはお腹が減る。

 なので昨日の晩御飯について少しだけ書き残したい。

 買い物に行かなかったのであるものご飯の日。

 食材の保管庫を見ると乾麺のうどんがあったのでこれをメインにする。

 お湯を沸かしている間に麺つゆを作る。

 鶏モモ肉を一口サイズに切り分ける。
 
 トマトを輪切りにする。

 油を敷かないフライパンに鶏肉を入れて炒める。

 軽く焦げ目がついたらトマトを入れてさらに炒める。

 そこにお酒と水を加えて煮込んでいく。
 
 味付けは鶏がらスープと塩を少々。

 これで鶏トマトつけめんのつゆの完成。

 副菜は一昨日作ったキュウリの中華漬けがあったのでそれを食べる。

 あとはつまみにちりめん山椒を用意した。

 ではうどんをゆでていく。

 グラグラに沸いたお湯でゆでる事八分。

 お湯を張った丼にうどんを入れて釜揚げうどんの出来上がり。

 うどんが伸びないうちに妻を呼んでいただきます。

 昨日のお酒はレモンサワー。

 少し濃い目に作って乾杯。

 チュッと飲むとレモンの酸っぱい味と炭酸の刺激が心地いい。

 連日の雨で湿気った気分が爽快になる。

 つまみにキュウリをポリポリ食べてお酒を飲む。

 ではうどんを食べよう。

 鶏トマトのつけだれにしっかり絡めて麺をすする。

 丁度いい塩加減と鶏肉の旨味とトマトの酸味を伴う美味しい味が三位一体になってなかなかイケル。

 これはいいかもと思って妻にこのタレどう?と聞くと美味しいよと答えてくれた。

 うどんの茹で加減もちょうどよくて小麦のモチモチした歯ごたえを存分に楽しむことが出来た。

 食事中に妻にあそこのラーメン屋さん明日で閉店だってさと言うとえ~そうなの残念と肩を落としていた。

 跡地が何になるのかまだわからないが飲食店だと嬉しいねと妻と話した。

 あの少し癖のあるとんこつラーメンがマボロシになるのはいかにも惜しい。

 たまたま昨日食べに行けたのは僥倖だった。

 二十年以上にわたる営業お疲れさまでした。

 大将の顔は忘れませんよ。

 いつか復活すると良いなぁ。

 

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