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ヤン坊,マー坊と日本人

職場の敷地内で冬ぐらいからずーっと続いている工事。工事会社のお兄さん、おじさんたちは地面を掘って土管みたいなものを埋めては土を戻して、という作業を延々と繰り返している。同僚は「音がうるさい」と文句を言っているけれど、私には騒音よりもっと別なことに迷惑している。

原因は工事で使われている小型ショベルカー。これスグレものでねショベル機能だけじゃなくって、土管もつりあげて体はちっちゃいけど性能はもうばっちしなんですよ、いやいやそうじゃなくってそのメーカーがヤンマーってのが問題なんだってば。

へ、ヤンマーになにか文句でも?っていう人は幸いなり。

私はヤンマーってロゴを見ただけで頭の中で自動的に「ヤン坊マー坊の唄」のスイッチが入っちゃう人なのだ。

天気予報のコマーシャルで流れていた「ぼくのなまえはヤン坊、ぼくのなまえはマー坊、二人合わせてヤンマーだ♪」っていうあの歌ですよ。

避けようとしてもササッとどこからか現れるショベルカー。一度ロゴが目に入ったら歌の自動再生スイッチがオン!最後のフレーズ、「動かす力だヤンマーディーゼル」まできっちりと歌い上げてようやくフィニッシュときた。これが一日何回もあるんだから疲れる、疲れる。

とどうでもいいことを書いたついでにもう一つ。
私の仕事場には土とか植物を運ぶ手押し車もいろんなタイプのものがそろっている。猫車みたいなのあり、枯葉を集める檻みたいなのがかぶさっているものまでホントにいろいろ。

そしてその数ある中のひとつになぜか「日本人」と呼ばれる手押し車があるのだ。はじめてその名前を聞いた時には私のことを言っているのかと勘違いしたくらい。そして何度かしてようやくそれが手押し車を意味するのだど知った。

職場の「日本人」

わが職場だけで通用する呼び名かと思いきや、これはれっきとした正式名称だった。

なんでもたくさん載せられるし、安定感も抜群。載せる部分を外してパカッと傾けることもできる。なんの文句もないけれど、どうしてこれを日本人って呼ぶの?と周りの人に聞いてみたけれど誰も知らない。ググってみたらこう書かれていた。

ドイツ語では大型の工事用手押し車を俗にKipp-Japaner(日本人)と呼ぶ。語源は不明。

Wikipedia

これはあくまで私の推論だけれどドイツ人の発想に日本人=風呂好きというのが根底にあるのだと思う。というのも、ものを載せる部分をドイツ語ではWanne(たらいとか桶とかの意味)と言う。そして浴槽はBadewanne。きっとたっぷりとした手押し車の容量が浴槽を連想させて、風呂とくれば日本人だろうという発想に最終的に行き着いたんじゃなかろうか。

今でこそドイツの住宅でバスタブ付きというのは当たり前になったけれどシャワーだけで十分という人はいまだに多い。毎日のように風呂に入る習慣というのは珍しくて、温泉や銭湯文化のある国という発想から日本人に結びついたのではないかと思うのだ。

実はこの手押し車が「日本人」とわかってからは使うのにちょっと抵抗があった。「日本人」って名のマイバスタブを押して歩く日本人ってなんかギャグみたい。でもよく考えればコイツは唯一の日本人同僚ではないですか。これからはヤン坊、マー坊みたく、力を合わせて日本人同士仲良くタッグをくむことにしようかな。


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