私はヤングケアラーとして生まれた。⑥

祖父母の介護が始まって6年がすぎ
小学生だった私は中学生になった。

多感になった私は今まで両親に対して
気づかなかったことに気づき始めた。
それは、前回言及した介護が必要な祖母に対しての不誠実さや
言葉が悪くなるが、世間体を気にした行き過ぎた外面の良さである。

私の住む地域では
町内会主催でお祭りなどが定期的に行われていた。
父は町内会の役員なので必ず参加する。
母も婦人会に入っていたため、お祭りなどで提供する料理などの準備に
参加していた。
私も母に手伝って欲しいと言われ、
めんどくさいなと思いながらも参加した。

作業中は大人の会話が聞こえてくる。
その中で聞こえてくるのは私の家の介護事情である。
「小豆さんの家は家族でお祭りに協力して、おじいさんとおばあさんの介護もしながらお子さんのこともしてるんですよね〜。すごいですよね!」と
近所の人が母や父に話す。
そうすると、満面の笑みで自慢げに答えている。

私はこの会話が嫌いでしょうがなかった。
いかにも家族で仲良く過ごしている風に答えるからだ。
実際は両親は祖母を疎んじていたし、
介護の面倒な部分は私に押し付けていた。
そして、それを十分にこなせなければ
しつけという名目で、毎日のように暴力と罵声が浴びせられた。
時にはご飯抜きもあった。

私は家の中で常に両親の顔色を伺いながら
日々を送るようになっていた。
誰にも相談できなかった。

入退院を繰り返す祖父
苛烈になる祖母の認知症
それに満足に対応せず子供にあたる両親
こんな家庭環境では日々ストレスが溜まっていく

そして中学3年になった私はついに限界を迎えた。



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