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おしながきと走り書き③

 疲れた。今月は職場で欠員が出て、それのフォローに入ってばかりだった。自分の業務をやりつつ他人のごちゃごちゃしたデスクを漁るのはかなり疲れる。入り乱れた配線からただひとつ正解のコンセントを探すような感じ。ていうか正解がわからない。まともがわからない。ない!正解がない!

 ていうことで退勤後に久しぶりに一人飲みに来た。本当は職場の帰り道にある水餃子屋さんに行くつもりだったのだが、いざ行ってみると改装中とかなんとかで開いてなかった。ふた月も前からやってんならGoogleマップにでも書いとけバカヤロー。ていうことで早速路頭に迷う。世間はフジロック開幕に湧いたり、ビッグモーターの騒動に湧いたり、自分の関係ないところで愉快だ。

 この辺はなんどか来ているから、ラーメン屋が数軒あるけれど全部既に訪れている。フロンティアスピリッツ旺盛な私にとって、同じ店は二度とない。たとえ美味しくとも美味しくなかろうとも。

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 高架下に串カツ屋がある。Googleマップでちらっと評価を見た限りだと「美味いが、出てくるのが遅い」とあった。別に時間には追われていないが、あまりにも遅いのはどうか。中には「串カツが出てくるまで30分かかった」とも。イマドキそんな串カツ屋あるかね。少し迷ったが、他に行きたいところもなかったので、意を決して入店。

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 提供は存外に早かった。串カツ10本盛り。着席して20分くらいすると、頼んだ全てのものが揃った。「最近1人飲みも飽きてきたな、そもそも私はお酒自体があんまり好きじゃないかもしれない、一人飲みっていうシチュエーションに憧れてるだけで実はそんなに…。」なんて思ってもいたが、いざアルコールを目の前にするとそんなことはどうでもよかった。気兼ねなく一人で飲める時間はこれからも大事にしたい。

 串カツは確かに美味い。提供も思ったより早い。しかしタレ用に出された皿は底が深く、串カツにちとディップしづらい、がまぁそんなことはどうでもいい。
 時折高架の上を走る電車の通過音が店を揺らす。いつもはこの駅を通過する電車に乗って家に帰っているが、いつもは見向きもしないこの駅で静かに酔っているこの状況はなんとも不思議だ。

 そういえば一人飲みをしたときは日記を書くんだった、と思い出した。
 カウンターにひとり、スマホに指を叩きつけて文をしたためる。空になったグラスについたこの雫が、テーブルに滴ったら、ぼちぼち帰ろうかな。
 


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