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「美味しさ」だけではない「食のコンテンツ戦略」で集客・ファンづくりを提案します:都市づくり5.0ヒント



こんにちは noteメンバーシップ:ツギ・マチ・ラボ(次世代の都市・街づくりラボ)を運営する松岡です。今回は苦境の続く飲食店が連携して集客・ファンづくりをする方策について検討します。


内容:Ⅰ 食のコンテンツ化の必要性 / Ⅱ マチ食リーグの考え方 / Ⅲ マチ食リーグの効用


Ⅰ食のコンテンツ化の必要性

⑴ 「美味しさ」だけではない魅力づくり

コロナ禍を経て飲食業態を中心に都心商業が苦境に立たされています。

これまで会社帰りなど通勤の「ついで」に、立ち寄ってもらえる通過立地として、成立してきた飲食店や都心商業施設が、テレワークの浸透による通勤減で、「ワザワザ」行かなければならない目的立地になってしまったからです。

これからは外出するにも帰りが遅くなるにも「理由」が必要になるのです。

「ワザワザ外出」というのは非常に大きなハードルと言えます。

単に美味しい料理を準備してお客を待っているだけでは難しく、ワザワザ外出して足を向けてくれるお客を作っていく必要のある「創客・誘客の時代」になった認識すべきです。

これまで「オレの作る料理が一番」「ウチの店がNo. 1」などと個店思考の強かった飲食業界ですが、他店との連携が不可欠だと考えます。カフェカンパニー代表の楠本さんは、「一店舗だけ、或いは飲食店だけではなく、飲食業をアートやテクノロジーを含めた、都市のコンテンツとして考える必要がある」と指摘されました。


⑵ 街ぐるみでチームとして盛り上げる

個店を超えて街ぐるみで盛り上げる方策として、エリアマネジメント活動に期待が寄せられますが、集客力のある食関連イベントの開催が難しく、そもそもリアルに集客することそのものが懸念されて思うように活動できない状況です。

さらに活動原資も心許ないエリマネ団体が殆どというのが現状ではないでしょうか? オンライン上で個店を紹介する工夫も見られますが、各店の食材のこだわりや調理レシピなどを公開しても、似たり寄ったりで見分けもつかず、すぐにネタ切れになってしまいます。

何とかオンラインを活かして創客・誘客につながる「食のコンテンツ化」が図れないか?

そんな状況を踏まえて「マチ食リーグ」を提案します。複数の飲食店がチームを作り、チーム同士がリーグ戦方式で料理対決していくのです。


Ⅱ マチ食リーグの考え方

⑴ リーグ戦方式だから継続できる

マチ食リーグを始めるには、まずビル全体や通りで近接する複数の飲食店有志で「チーム」を結成します。あまり多過ぎても大変なので10店程度で1チームでしょうか。

各チーム例えば3人の料理人を代表として、キッチンスタジオなどで季節の食材やテーマをもとに料理対決するのです。

これをリーグ戦形式で繰り返しYou Tube配信を続けるわけです。「〇〇ビル飲食フロア」VS「〇〇横丁」という具合です。

トーナメント戦ではなくリーグ戦方式にすることで、プロ野球や Jリーグのように長期的・定期的に料理対決(=コンテンツ)を提供していくことが可能です。

6チームあればリーグ戦形式で30試合可能です。毎週配信しても半年以上コンテンツとして提供が可能になります。

1チーム10店から各対決に代表3人を選ぶ方式にすれば半年の間に1〜2度出場すれば良いだけで、個店の負担もそれほど重くないと考えます。


⑵ チーム・リーグだからファンができる

毎回住民の代表者が審査員になって勝者を決めていくのですが、このコンテンツの継続的な配信を通じて、ファン・コミュニティが育まれるのではないでしょうか? 

プロ野球や Jリーグなどが、プレイヤー個人としてだけでは支援者が見つからなくても、同好の士が集まってチームを作り、役割分担しながら戦いを繰り返すから、ファンが育まれます。

チーム同士が一定のルールの下に定期的にゲームを競うからリーグとして成立し、リーグになればスポンサーも獲得可能になります。

同様の構造を地域の飲食店連合で作っていくのです。


Ⅲ マチ食リーグの効用

⑴ リーグ戦をフックに個店誘客、そして

リーグ戦での奮闘・活躍をフックにして、個店の料理人にも目が向くようになるのではないでしょうか。その上であればレシピ公開やオンライン料理教室、料理人の個性や趣味の発信、さらにはファンミーテングも有効になり、個店への創客・誘客につながります。


さらにチーム・リーグ形式のメリットがあります。

料理対決に備えて、個店の枠を超えチーム共同での料理研究やレシピ開発が始まるかもしれません。

共同での人材教育を通じたチーム力強化の機運が高まることも考えられます。

飲食店だけでなくクリエイターや技術者など他分野の協力が得られればさらに魅力的です。チームとして申請すれば路上などの公共スペースを活用した共同イベントも開催しやすくなります。


⑵ リーグだから可能なこと

リーグとしてはより高次のビジョン提示が可能なります。産地と連携したテーマ食材キャンペーンはもちろんフードテックやフードロス問題、さらには地産地消やマイスター制度による飲食事業者のプレゼンス向上も想定できます。

リーグ単位であればメディアやキャラクターなど他のコンテンツ事業者とのコラボ交渉力も高まります。



実施に当たっては地元のキッチンスタジオの活用や調理具・食器・食材の持ち寄り、撮影も自前で行えば、動画編集程度(10万円?)の費用からスタートできそうです。

動画配信のチャンネル登録者数が3万人を超えると、ヒカキンのような月額1000万円超は無理でも、月額50万円程度(年額600万円)の広告料収入も想定可能です。

食材産地とのタイアップやスポンサーなどでもマネタイズが可能で、「食」に特化したエリアマネジメント方策になると考えます。


【都市づくりヒント:チーム&リーグ方式による食のコンテンツ化】


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