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第3回未来社会meetup「草の根からのGovTech」を開催しました

「政治史の話から入ってもいいでしょうか?」

そんな一言から始まった第3回未来社会meetup。取り上げたテーマは新しい行政の形、「草の根からのGovTech」でした。「電子政府」なんて言葉は一昔前から使われてきた少し手垢のついたワードになりつつありますが、最近になってようやくその実態が伴いつつあります。

今回のmeetupでは、「行政が自分自身を変革しようとしている絵姿」と「行政の受益者たる市民・国民が自分たちの手で行政をより良くアップデートしようという挑戦」について取り上げました。

第1部:Keynote Speech

今回、講演いただいた「徐東輝さん」(以下、とんふぃさん)は、本業の弁護士としてのお仕事に加え、ご自身でNPO法人Mielkaを立ち上げ、その代表理事を務められております。ズバリ今回の講演のテーマは「Poli Tech」。「有権者の意思決定をより楽に,もっと合理的に」をミッションとしているMielkaさんの取り組みを紹介いただき、最新のPoli Tech、GovTech事情についてもわかりやすく解説いただきました。

とんふぃさんが自己紹介に続き取り上げたのは数々の政治史の偉人たち。プラトンに始まり、アリストテレスにルソー、ホッブズなどなど彼らの政治観をとんふぃさんの言葉で1つ1つ紐解いていきます。僕が印象的だったのはそのパートの結びの言葉でした。

「偉人たちは皆、政治の理解にはすごく一生懸命努力をしなくてはならず、そんな努力をできない市民たちはそんなに賢くないと思っている。でも、今の時代にそんな前提ないですよね?インターネットでいつでも情報にアクセスできるし、市民が努力して政治的なリテラシーを持たないといけないって前提がないんです。だから僕らの活動は『市民に権力を渡すことを怖れた偉大なる先人への挑戦』なんです。」

そして、その「挑戦」の1つこそ、続いて説明のあった「JAPAN CHOICE」です。とんふぃさんが代表を務めるNPO法人Mielkaが運営しているJAPAN CHOICEは、2017年の衆議院総選挙時にリリースされ、当時インターネットやSNSを中心に話題となりました。

「有権者の意思決定をより楽に,もっと合理的に」を合言葉に作成をし、「投票に行かないわけではないが,選挙報道による情報過多,ワイドショー的情報が多すぎて,冷静に考える時間的余裕 や精神的余裕がない人」をターゲットとしたと語る、とんふぃさん。各選挙区の立候補者や街頭演説のスケジュールに加え、今回の衆議院選挙で争点となった政策について各党スタンスを解説するなど、かなり充実したコンテンツです。

「確かにJAPAN CHOICEはある程度の役割を果たしたと思いますが、衆議院選挙自体が突然始まったので、正直やりたいことの10%ぐらいしかできなかった。Mielkaでは今、Mielkaラボというプロジェクトに取り組んでいる。その他にも、政治家の発言を蓄積していって、チャットボットみたいなものも作ってみたい。もっと人々の意思決定を楽に合理的にしていけたらなと思っている。」

最後にとんふぃさんより各国のGovTech、PoliTechの事例を共有いただき、講演パートは終了しました。ここでは、紹介いただいた事例の中からいくつかを取り上げたいと思います。

NPR−Fact Check
・大統領選挙の公開討論会を全てスクリプト中継 を専門家によるFact Check付きで閲覧可能。

they work for you
・イギリスの選挙サイト。議員実績から各議案への投票状況,議案の議論まで全てを可視化を行う。

Parteispenden in Deutschland
・ドイツにおける年間5万€以上の献金を行う企業と献金先政党のつながりを可視化。 時期によって分類するため,政治的圧力とその圧力対象が 明確に検証できる

第2部:Workshop

今回のWorkshopでは、「行政に対する自分たちの疑問から出発し、自分たちが何をできるのかを考える」ということをゴールにおき、公共における課題を様々なテクノロジーを使って解決するようなアイデアを考えてもらいました。

そもそもGovTechについていろんな解釈があるとは思いますが、今回は以下のように整理をしてみました。

簡単な趣旨説明のあと、参加者にまず行ったもらったのは「GovTech事例のインプット」です。今回のワークショップは自分の疑問や不満をきっかけにサービスを作ってもらうので、そのアイデア発想の種となるような既存のGovTechサービスをインストールしてもらいます。

そして、そのあと自分の経験の中から「行政の使いにくい」と思ったところを洗い出して行きます。

「サイトがみづらい」
「税金の問い合わせがどこにしたらいいか分からない・・・」
「データを扱える人材がいない」などなど

日頃自分が感じていた不満やこれって変えられそうじゃない?という点を探して行きます。

そして、自分たちで出した「行政の使いにくい点」を解決するようなアイデアを既存のGovTech事例も発想のきっかけにしながら考えて行きます。

それぞれアイデアの方向性が決まったら、いよいよ「プロトタイピング」です!今回のテーマは「草の根からのGovTech」ということで、実際に自分たちができることから変えていこう、という思いが込められています。

今回は、アイデアの完成品を作るのではなく、どういう風にアイデアなのか聞いている人が想像できるレベルでサイトを作ったり、サービスの流れをスキット(劇)で表現したりする「ラピッド・プロトタイピング」という手法を用いました。

いろんなGovTechサービスをそれぞれの班が考え出しましたが、例えば「政府が出す、政策についての(わかりにくい)ポンチ絵について「ボケて」のようにシニカルに表現して、改善をうながそう」というものや、「行政に対するお悩み相談チャットボット」などがあり、楽しい笑い声と共に第3回のイベントを終えることができました。

まとめ

今回は、いままでのイベントとは少し方向を変えて、「自分の周りの課題は何か、それに対して自分は何ができるのか」という部分にフォーカスを当てて、やってみましたが、結果的にすごく納得感のあるアイデアが多くでており、聞いていて「こういう解決策ってアリだなあ」と思えたりしました。今後もこういったミクロな視点での解決策も考えて行きたいと思います!

次回はガラッとテーマを変えて「移動」をテーマにしました。ぜひ遊びに来てください!

第4回mokuba「消える移動、生まれる移動」

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