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大きなつづらと小さなつづら

今日も仕事中の私のデスクにそっと寄ってくる。

自分の父親と同じくらいか、少し歳の行っているかもしれない支店長が紙袋を下げて。

「大きいのと、小さいの、どっちがいい」

それを聞いた私は「舌切り雀の話みたいで、迷っちゃいますね」と笑った。

支店長は「何それ、その話知らないわ」なんて言っていた。これ結構有名な話だと思ったんだけどな?

私は一番年下なので、向かいに座っている一つ上の先輩に箱2つ入った紙袋を差し出す。

そしたら先輩は「小さいので」と言っていたのでやっぱり舌切り雀の話って有名なんじゃない?

一応業務時間中だったので、お礼を言いながら二人して冷蔵庫に仕舞った。

先輩がその時、「大体大きい箱の方が単価も高いし、いくつも入ってるって相場が決まってんだよ」と笑っていた。

それでも結局私たちはお互いの箱の大きさ、外観しかわからない。

私は冷蔵庫に仕舞う前にも、家に帰ってから一つ食べた時にも箱を開けたから何個入っていたかも、いただいたものの値段を調べれば相場がわかる。

自分の分だけだから、もしかしたら先輩の箱は確かに私のよりも小さかったかもしれないけど、舌切り雀のような結果だったかもしれない。

それはわからないけど。

結局のところ幸せだったから、私のつづら選びは成功だったということにしよう。










(Photo by hiyorimibiyori、Thanks!)


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