春川謡

読書記録/物書き

春川謡

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最近の記事

アナウンス

通勤電車で流れるアナウンス 「次は○○駅に停まります、○○駅の次は、△△駅に停まります。」 続いて流れる英語のアナウンスと出口や乗り換えの電車を女性の声が知らせる。 新卒で入社した会社に勤めて2年目に入った。ほぼ毎日乗っているのと、停車駅が少ないのでもうアナウンスは耳にたこができるほど聞いた。暗唱は難しいけれど。 今日ふと、聴き馴染みのある声を聴きたくなり、iPhoneを取り出して検索欄に打ち込む。 ”スーパー北斗 アナウンス” 穏やかで柔らかい男性の声が、you

    • 感触

      このnoteを読んでくださっている皆様、「眉毛」の感触ってご存知ですか? 私はパッと出てこない。毎日化粧で描いているはずなのになぜなのか?しかも私はペンシルタイプのもので描いているのに、なおさらなんでわからないのか疑問に思う。 その疑問を解明しようと思う。 理由① ペンシルで描いているのに、感触がわからないのはペンを持つときに力を入れる、と言うか意識を向けるポイントが少しでもズレると対象の感触が手に伝わらないから。これは実際にこのnoteを書く時の下書きで白い紙にペンで

      • ”作品が生き続ける”の意味

        前回は2ヶ月ほど、今回は1ヶ月ほどnoteの更新間隔が空いた。 私がnote上でうんともすんとも言わない間にも、”スキ”を付けてくださる方がいらっしゃった。その”スキ”をいただくタイミングは、大体「あ〜かなり更新空いちゃったな、もうやめようかな」と思った頃が多い。まるで狙ったかのようであり、『やめるもんじゃないよ』と言われているようだった。 その”スキ”の中には、私が自分は書かないものの、読む専門になって”スキ”を付けた方がお返しでしてくださるものもあれば、全くはじめまし

        • 別れ

          またこの季節が来たことを知る。 カレンダーの日付と、夏の暑さで。 15年前と、4年前のことだが、あの時の喪失感と、別れの瞬間は今でも覚えている。 「本当の別れは、忘れること」という言葉がある。 だから私たちはまだ本当に別れていない。 たとえ目を合わせることも、話すことが出来なくとも。

        アナウンス

          吸い込みたい空気

          伸びた前髪の毛先から香ってくる匂いで衝動に駆られた。 「これ好きな匂いだ、なんだっけ」 記憶から必死に手繰って出た答えは 国際線の化粧品や服が売っている免税店の辺りの匂いだ。 私はこの香りがとても好きで、できることなら肺いっぱいに吸い込みたい。 だけどこのご時世なので、海外に行くことはおろか肺いっぱいに換気の難しい空港内の空気を吸い込むことは控えた方がいいだろうと思う。 この香りをたくさん吸い込んだのは、2019年2月に乗り換えで降り立った香港国際空港だった。

          吸い込みたい空気

          ハンドル、不意に思い出したこと

          運転、だいぶ手慣れてきた。 学生の頃に取った免許は、腐れることなく活躍している。 取りたての頃は、帰省や母親が私のもとを訪れたときに母親の車を運転するだけでほぼペーパードライバーだった。運転するたびにドキドキして、助手席の母親が口煩く注意してきた。卒業旅行の時は友人と順番で運転して、友達の命を預かっていることに大変緊張したことを覚えている。 会社に入って、こんなに結構な頻度で運転することになるとは思っていなかった。 提出した書類に不備があれば取引先まで出向き、営業に頼

          ハンドル、不意に思い出したこと

          僕は絵が描けない。

          絵を描くのが苦手だ。 目で見たものをそのままに紙に表しているはずなのに、視線を描き落とした紙から対象に上げると全く違う。質感も、色もそもそもの構図が崩れているような気がした。 小学生の頃に初めて絵を描くことが苦手かもしれないとは気づいていたが、中学生の頃に、要因のいくつかに気づいた。 「見えたものそのままに描けばいいんだよ」とよく言われたもので、実際私もその通りにやっているつもりが全く上手くいかない。 絵というのは奥深いもので、全然違う色をベースに塗ることで本当に目に

          僕は絵が描けない。

          wave to ②

          手を挙げる動作だけで、互いの間柄が親しいことを知ることができる。 それは、通勤バスでの出来事。 バスがとても混んでいて、運転手さんの傍に立ち職場へと揺られていた。 天気も良く、バスの窓ガラスは広く開けていて目いっぱいに景色が飛び込んできた。 向かいから私が乗ったものと同じデザインのバスが目に飛び込んでくる。向かってくる運転手さんの顔がハッキリとわかるくらいの迫力。 その瞬間に、私の傍でハンドルを操作していた運転手さんと、だんだんと近づいてくる運転手さんの両者が呼吸を

          wave to ②

          日記をつけてる話。

          「面白日記」 私のiPhoneのメモのフォルダ名である。 「日記」といっても日記帳を用意しなければいけないわけでもないし、毎日事細かにつけているわけでも、自分に起こったことや感情・反省を書いているわけでもない。 面白いことに出会ったとき、自分の「??」に引っかかったことを書いている。 例えば、通勤・通学で毎日同じような時間に家を出て、同じ車両に乗れば同じ人に会う。大体公共交通機関での顔ぶれも決まってくる。 そうすると、だんだんと親近感が湧いてきて1人1人に対して興味

          日記をつけてる話。

          机を買った話。

          社会人になったら机とかいらないよね〜、と引越しを機に処分してしまった。 実際こうして社会人になってこうしてnoteを定期的に更新するという趣味ができると思っていなかったし、資格試験とか自分の興味のある勉強をすることと机の重要性がイコールになっていなかった。 机がなくてもご飯を食べるテーブルでやればええやろ〜と呑気に構えていた。 しかし、机への欲求は約1年ほど前に現れ始めた。 資格試験の勉強を始めたちょうど1年前。 床に座ってご飯を食べるテーブルで勉強していたが、まず

          机を買った話。

          名前の由来の話。

          長らく更新が途絶えておりました。お久しぶりです。 突然ですが、今日は私がnoteで名乗っている名前の由来をお話しします。 そういえばお話ししたことがなかったな、と思いまして。 ”謡”という名前には、歌を歌うように文章が書けたらいいなという私の希望を込めました。 私の本名には一文字もかすらない、文章を書くために自分で付けた名前。 そしてこの名前が付いて、文章を書くようになってから色々な発見ができるようになった。 本当になりたかった名前ではないけれど。 「春川謡」

          名前の由来の話。

          ある幸福な一瞬

          朝の白くぼやけた光が差し込む台所 母が私のことをおぶって ”重くなったなあ” と笑った。 音もなく、静かな朝の一場面。 母からすると何の気のない行為だったのかもしれない。 だけど、当時まだ小学6年生だった私にとっては「その日一日、無敵になったような気がする」ほどに私の胸を温め、愛されていることを感じさせる行為だったのだ。 元々、私の家族は接触をあまり好まない。 私が忘れてしまっただけかもしれないが、手を繋いでもらった記憶も、抱っこもおんぶの記憶もほぼない。 微か

          ある幸福な一瞬

          泣きながらご飯を食べた話、の考察。

          先日「めちゃくちゃに泣きながらご飯を食べた話」を投稿した。 それから数日後、友人が「泣きながら飯食う話、よかったよ」と連絡をくれた。 そしてなぜご飯を食べたら泣くのか?を考察した。 私は『絶望するくらい悲しいのに食べることによって生きている、と実感する。その落差に感情がついていかなくて泣くのではないか』と見立てた。 友人は「現実を受け止められないくらい悲しいのに、食べるという欲求を満たすことで”安心感”が生まれるから気が緩んで泣くのではないか」と見立てた。 同じよう

          泣きながらご飯を食べた話、の考察。

          Twitterを消してた話。

          4月中旬の午後、Twitterのあるアカウントを削除した。 理由は対人関係。友人からLINEの返事が来なくなった。 ”そんな理由?”と思われても仕方ないことはわかっているが、これが結構辛かった。 私のLINEには返信がないけど、Twitterで他の人には返事をしているし遊びに出かけている様子が嫌でも見えてしまう。 自分が何か悪い発言をしてしまったのだろうか、思い当たる節がないわけでもないことが余計に辛かった。 時折友人から返ってくる返信は明るい感じだったことも相まっ

          Twitterを消してた話。

          愛が溢れたら

          今、とても愛に溢れていると思う。 月に一度、全人類を大事にしたいような慈愛に満ちた私が現れる。 自分と一緒にいる時間を楽しいと思ってくれているであろう、友人。慣れない環境にやってきて頑張っている姿がとても好印象な、新しい仲間。いつも連携してくれて私の小さな質問に答えてくれる、上司・先輩。見目が私の好みで、お近づきになれたらいいな、なんて思う人。 それぞれへの想いを分析する。 ・友人に対しては、ずっと一緒にいたいと思っているしこれからもっと楽しい時間を共有したいと思って

          愛が溢れたら

          めちゃくちゃに泣きながらご飯を食べた話。

          泣きながらご飯を食べたことがある人は生きていけるというnoteに出会い、スキをさせていただいた。以下がその記事である。 以前付き合っていた人と別れ話になった時、何故か最後に食事をすることになった。選んだのは何度か二人で訪れたびっくりドンキーだった。 ただいつもと一つだけ違ったのは一度も二人で訪れたことのない店舗だった。あの人なりに気を遣ったのか、たまたまその店舗が目に入っただけなのかは今となっては知る由もないが。 『最後だから、笑って楽しく食事がしたい』と伝えて始まった

          めちゃくちゃに泣きながらご飯を食べた話。