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ブルースハープ

 買ったこともつい忘れていたのだが、引き出しの中からブルースハープが見つかった。

 もとより「ブルースハープ」という名称はホーナー社の製品名であって、実際には「10ホールズハーモニカ」という。フォークシンガーが首から下げていたり、ロック系でもマイクをくっつけて、ブルースを吹いたりしている……あれである。

 元来ハーモニカは子供時代から好きで、特に中学当時はポケットに忍ばせて、人のいない所で吹いていたものだ。別にカッコつけていたわけでもなく……実際に吹いていたのもポップスというよりも、唱歌の類いであった。
 だからと言って、別に女子に持てたわけでもないが……

 その後、サックスに興味を持ち、ハーモニカのことなど全く振り向きもしなかったのだが……後年、小説を書くようになってから、その登場人物にハーモニカを吹かせ、たぶんそれが呼び水となってブルースハープを購入したのだろう。

 ブルースハープでジャズのアドリブをしたら面白いかも……そう思っていたはずだ。
 ところが、ブルースハープでブルースなりジャズなりを演奏しようとすると、唱歌の時とは違ってかなり関門がある。そう。♭する音を「ベンド」という特殊な吹きかたで音を落すのだが、これが一筋縄ではゆかない。
 当初、かなり苦労したものだが……ここで、サックスを吹いていた経験が少し役に立った。そう。マウスピースを加え、単音を吹いても、くわえかたと息のちょっとした入れ方で、半音程度は簡単に調節できるのだ。
 これを応用すると、ハーモニカの「ベンド」もなんとかなる。

 まあ、そのまま練習を続けていれば……元来アドリブの基礎はそこそこ分かっているので、ブルースあたり吹けるようになっていたのだろうが、なんやかや取り紛れ、中途半端に終わってしまったらしい。

 さて、かれこれ随分時を経て見つかったブルースハープ……さっそく手にとってみたのだが……まずい! コツをすっかり失念していたのだ。
 唱歌の類いなら簡単に吹けるが……ブルースとなると、まともにブルーノートが出ない(;o;)

 いずれ暇を見て、一から始めてみるのも面白そうではあるが……

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