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【現代社会のリアル・闇・問題を書いた小説6選】

今回テーマにしたのは、社会派小説の中でも【現代社会のリアル・闇・問題】を取り上げた小説です。
これまで私が読んできた中で、特に印象に残った6選を紹介したいと思います。

■パレートの誤算/柚月裕子

生活保護担当のケースワーカーの新人職員が、生活保護の闇に迫るミステリー小説です。
生活保護受給者の現状も非常に細かく書かれており、弱者をターゲットにした貧困ビジネスという言葉もこの小説で初めて聞きました。
現代社会でも生活保護受給者はどんどん増えているらしいですが、支援が必要としている人が一人でも多く救われる社会であってほしいと思いました。

■護られなかった者たちへ/中山七里

東日本大震災と生活保護をテーマとした社会派ミステリー小説です。
震災によってさらに圧迫された生活保護受給者たち。
不正に生活保護を受給している人がいる一方で、本当に護られなければならない人たちが切り捨てられていく現実がありました。
福祉事務所で働く側の苦労も分からないわけではなく、職員の苦悩も知ることができました。

■神様を待っている/畑野智美

派遣社員で働く主人公は会社の業績悪化から派遣切りにあいます。
真面目に学業に励み、就職活動をしてきた女性が、ホームレスへと転落していく様子がリアルに描かれています。
女性の貧困問題を取り上げた社会派小説です。

■産む、産まない、産めない/甘糟りり子

【出産】がテーマの短編小説です。
「産みたい理由」「産めない理由」「産まない理由」は女性それぞれ。
自分が求める幸せは社会や周囲の人たちが決めるのではなく、自分自身が決めるものなんだと強く感じることができた作品でした。
女性はもちろん男性にもおすすめしたい1冊です。

■希望が死んだ夜に/天祢涼

現代社会が抱える闇を描いた社会派ミステリーです。
一人の女子中学生が同級生によって殺害されますが、彼女は殺害動機を一切語ろうとしません。
【子供の貧困問題】を取り上げつつ、ミステリー小説としても読み応えのある作品です。
生活保護を受けることに対して「恥ずかしい」と思う思春期の子供の気持ち…理解はできるがその考えを改めなければならないと思いました。

■ロスト・ケア/葉真中顕

日本の介護問題を取り上げた社会派ミステリー小説です。
今の現代社会でも大きな問題となっている介護。
介護を題材とした小説ってほとんど読んだことがなかったので新鮮でした。
高齢者を支える若者たちの減少、介護現場での人手不足、介護する側もされる側も苦しむという現実…。
読むのが辛く、犯人にも同情してしまいました。

ということで、今回は6作品選んでみました。
小説なのでもちろんフィクションではありますが、それを感じさせないほどリアルに物語が描かれています。
どの作品も考えさせられるものばかりです。
気になる作品がありましたら是非一度手にとって見てください。


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