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ステイホーム! 2020鑑賞映画~4月編

こんにちは、“映画おばけ” です。

普段は、企業様の広告コミュニケーションや、
プロモーションを企画したり、
サポートするお仕事をさせて頂いてます。

鑑賞した2020年鑑賞映画の中から、
ハイライトとなる作品を、
毎月気ままに備忘録&ご紹介。

4月はコロナ禍の外出自粛の影響もあり、
「新作×劇場鑑賞」ではなく
「新作<過去作×自宅鑑賞」
ステイホームラインナップになりますが、
皆さんの自粛のお供になる作品もあると思います。

『ビジランテ』

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2017年日本公開/125分/日本

あらすじ

閉鎖的な地方都市で、三兄弟の次男・二郎(鈴木浩介)は市議会議員を務め、三男・三郎(桐谷健太)はデリヘルで雇われ店長をしており、彼らは全く異なる世界で生きていた。ある日父親が他界し、行方をくらませていた長男・一郎(大森南朋)が30年ぶりに帰郷する。一郎は、遺産は自分のものだと主張するが……。(引用:シネマトゥデイ)

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『ビジランテ』の、ここを推したい
『SR サイタマノラッパー』『22年目の告白 -私が殺人犯です-』『AI崩壊』の入江悠監督作品。

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全編不穏、まさに血縁のダークサイド。権力と暴力で歪みまくり、鬱屈した地方都市を舞台に、家族・地元とゆう鎖(呪い)に縛られた三兄弟の物語。期待通り、血生臭く、モヤモヤとした余韻を残す胸糞映画でした。(もちろんめっちゃ褒めてます!)

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特に、物語を奔走する三男・三郎役の、桐谷健太と、チンピラ役のラッパー般若が好演。物語を、どんどんと面白く転がしてくれます。

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入江監督の地元、埼玉県深谷市が閉塞感と嫌だみたっぷりに、それでいて、美しく切り取られるのは、まさに清濁合わせた監督自身の「地元への眼差し」そのもののよう。

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コロナ禍の鬱屈した世の中で、さらに気分をサゲたい皆さんに、お勧めの一本です。(映画とかで意識的に気分を下げて、そこから上げていくというメンタルヘルスケアは、個人的にはアリだと思っています)


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『ホテル・ムンバイ』

2019年日本公開/123分/オーストラリア/アメリカ/インド

あらすじ

身重の妻と小さい娘がいるアルジュン(デヴ・パテル)は、インド・ムンバイの五つ星ホテル、タージマハルで、厳しいオベロイ料理長(アヌパム・カー)のもと給仕として働いていた。2008年11月26日、ホテルには生後間もない娘とシッターを同伴したアメリカ人建築家デヴィッド(アーミー・ハマー)や、ロシア人実業家のワシリー(ジェイソン・アイザックス)らが宿泊していた。(引用:シネマトゥデイ)

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『ホテル・ムンバイ』の、ここを推したい
2008年のインド・ムンバイ同時多発テロで占拠されたタージマハル・パレス・ホテルの人質脱出劇。

テロリストの少年達と人質による、見つかれば殺される、ホテル内の“地獄の隠れんぼ”が繰り広げられます。

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監督は、本作が長編デビューとなるオーストラリア出身のアンソニー・マラス。映画は実際の同時多発テロを描きながらも、周到に張り巡らされた劇映画としての仕掛けや、サスペンスやスリルを次々と生みだす演出と引き出しの多さに舌を巻きます。

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また映画は、観るに耐えないテロの暴力的側面だけでなく、あまりに若い、実行犯の少年らの内面や葛藤も垣間見える等、起きた出来事を善悪で単純化・矮小化しない真摯なつくり。

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「貧しさ、教養の無さ、純粋さ」が悪意に支配された時、世界に未曾有の悲劇が起きる。現代史を知る教材としても、お薦めの一作です。


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 『アンカット・ダイヤモンド』(NETFLIX

2020年日本配信/135分/アメリカ

あらすじ

ギャンブル中毒の宝石商ハワード(アダム・サンドラー)は、借金まみれで常に取り立て屋から監視されていた。そんなある日、ハワードはエチオピアで採掘されたブラックオパールの原石を手に入れる。ハワードはその石をオークションに出品して大儲けしようと考えていたが、店を訪れたNBA選手ケビン・ガーネットが異常なほどに興味を示し、仕方なく彼と取引することに。しかし事態はさらにハワードの望まぬ方向へと転がっていく…(映画ドットコム)

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『アンカット・ダイヤモンド』の、ここを推したい

『グッド・タイム』『神様なんかくそくらえ』のサフディ兄弟が、アダム・サンドラーとタッグを組んで、NETFLIXとA24が共同配給する、クライム・コメディ。(座組みの時点でかなり期待値が高まります)

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カイジも真っ青の、借金まみれのギャンブル狂、NYの宝石商ハワード。フラフラグラグラと、物語がどこに向かうのか読めない、観ていてウンザリしてくるこの鑑賞体験は、まさに主人公ハワードのダメさに振り回される、周囲の人間のそれ。

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まじでキモいし、びた一文信じられないクズ野郎なのに、なぜか憎めない…むしろ一切ブレない筋金入りの場当たり的生き様が、最早清々しくもあり。気がつけば、胡散臭さくサイコパスじみた笑顔をハワードが劇中で振りまくたびに、爆笑してました。(見てくださいこのイカレた笑顔)

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不思議な愛嬌と魅力を湛える、アダム・サンドラーのベストアクトは必見です。ノれる、ノれないが別れそうな作品ですが、個人的には大満足。ライムスター宇多丸師匠の言葉を借りるなら、まさに今作は「イライラエンターテイメント」と言えます。


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 『タイラー・レイク-命の奪還-』NETFLIX

2020年日本配信/116分/アメリカ

あらすじ

裏社会の住人や組織が絡む危険な仕事を請け負う傭兵(ようへい)のタイラー・レイク(クリス・ヘムズワース)に犯罪組織のボスから、ムンバイから誘拐された息子を、ギャングの支配下にある市街地から救ってほしいという依頼が届く。タイラーは一人で潜入し少年を奪還しようとするが、ギャングが二人の前に立ちはだかる。(シネマトゥデイ)

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『タイラー・レイク-命の奪還-』の、ここを推したい
『マイティ・ソー』シリーズのクリス・ヘムズワースを主演×『アベンジャーズ(IW・EG)』のルッソ兄弟製作のサバイバル・アクション。

アクションの「凄み」で思わず笑ってしまうほど、その練度、魅せ方、撮影アイデアがハンパじゃありません。特に今作の白眉は、中盤のワンカット長回しのシーン。観ていてアドレナリン出まくりです。

監督は、ハリウッドの気鋭のアクション・コーディネート専門会社「87eleven Action Design」でスタント・コーディネーターを務め、今作がデビュー作となるサム・ハーグレイブ。

ちなみに本編にも、タイラーの傭兵仲間Gとして出演してます。

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87elevenといえば、元々『マトリックス』3部作のスタント出身である、チャド・スタエルスキ(『ジョン・ウィック』シリーズ)、デヴィッド・リーチ(『アトミック・ブロンド』『デッドプール2』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』)が立ち上げた、超人アクション演出集団。

同門のハーグレイブ監督も『ジョン・ウィック』シリーズや、韓国映画『悪女/AKUJO』のような「一体これどうやって撮ってるんだ…」と、目を丸くする、異次元のカメラワークを今作で披露してくれています。本来であれば家でなく、劇場の大スクリーンで観たい一作。アガります。

なお、監督の兄貴筋にあたるスタエルスキ、リーチの二人は、現在製作が進む『マトリックス4』で、アクションの振付のコンセプトづくりや、創作のサポートを務めるとのこと。パワーアップ間違いない、シン・マトリックスにも、期待してしまいますね。


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『ハナレイ・ベイ』

2018年日本公開/97分/日本

あらすじ
シングルマザーのサチ(吉田羊)は、一人息子のタカシ(佐野玲於)がハワイ・カウアイ島のハナレイ・ベイでサーフィン中の事故でこの世を去ったことを知る。現地で息子と対面したサチは遺骨を手に日本に帰る前に、息子が亡くなった浜へ向かう。それから10年間、毎年息子の命日の時期にハナレイ・ベイに来るサチは、片脚の日本人サーファーのうわさを聞く。(シネマトゥデイ)

『ハナレイ・ベイ』の、ここを推したい
村上春樹の短編集「東京奇譚集」に収められた一編の映画化。心に抱えた深い喪失感を処理できずにいるサチが、どう折り合いをつけながら生きていくのか。抗えない現実を受け入れられない母の歳月…

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と、感情揺さぶられそうなテーマでありながらも、「映画」としては、あまり上手くいってない印象。

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物語的な推進力があるわけでなく。それでいて自然主義的な語り口に徹するわけでもなく…むしろ、これ見よがしの「良さげ」な雰囲気ばかりの演出が差し込まれるたび、辟易としてしまいます。(正直何がしたいのかよく分からず困惑してしまいました…)

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97分と決して長尺でないのに、散漫で冗長な印象なのが、なんとも残念。短編として語るべき物語ボリュームを、映画のフォーマットで水増しした結果、薄口で無駄に量がかさんでしまった感じかもしれません。

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ただ、これもハワイ/カウアイ島由来の“スローな雰囲気”として味わい、外出自粛の今、美しいロケーションと美しい吉田羊をぽーっと眺める観光映画として、家でのながら見には丁度いい緩さかもしれません。(うん、旅行に行きたい。)


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以上、4月鑑賞のハイライト作品でした。

個人的には、映画は劇場鑑賞派なので、一刻も早い事態の収束を願うばかりですが、コロナ以降のエンタメ産業を取り巻く環境は大きく変わらざるを得なくなりそうです。

そんなコロナ禍でも、
「A24」×「サフディ兄弟」×「アダム・サンドラー」
「87eleven」×「ルッソ兄弟」×「クリヘム」
といった、強力な座組みを事も無げに敷き、
良質な新作を提供しまくるNETFLIXの存在感は、
やはり際立っていますね。

エンタメも、次々とデジタルトランスフォーメーションされていく新時代 (ニューノーマル)に、着実に、向かいつつあります。

今回はここまで。


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