見出し画像

【これが本当のノンフィクション】アバンティーズ著「1/4の風景」を読みました


はじめに
私が大好きで尊敬する、アバンティーズさんの初めての著書、「1/4の風景」を読みました。自分なりに丁寧に読み、感想をメモがわりに共有したいと思います。印象に残った言葉をいくつか引用しているので、内容をほんの少しでも知りたくないという方はお戻りください。彼らについて知らない人のためにも、初めに簡単なプロフィールを記載しておきます。必要のない方は、以下の目次から今回本編となる本の感想まで飛んでください。

※形式的に敬称を略している部分もあります。


アバンティーズ

UUUM所属のYouTuberグループ。上の動画のサムネイルより、メンバーは左からリクヲエイジそらツリメの4人。全員が1996年生まれの埼玉県出身で、エイジとツリメは保育園から、そらは小学校から、リクヲは中学校からの同級生である。

中学生の時から動画投稿を開始し、2021年でグループ結成10周年となる。動画のジャンルは主にやってみた・実験系、ドッキリだが、踊ってみたなども人気である。

その活動領域は動画投稿のみならず多岐にわたる。ドラマ・映画制作、楽曲制作、EP発売、ライブツアー開催、そして2021年3月1日には今回取り上げる著書「1/4の風景」を発売した。

2019年1月1日、メンバーのエイジが旅行先のサイパンで事故に遭い急逝。同年2月には当時の心境をありのまま吐露した「アバンティーズのすべて」を公開し、現在は3人で活動を続けている。



ここから本編。「1/4の風景」を読み終えて。


まずはじめに、

私はアバンティーズのファンである。

この本はメンバーおよび関係者のインタビューによって構成されており、それぞれの率直な想いがそのまま綴られている。

正直、ファンにとっては大変ヘビーな本だったように思う。お菓子をつまみながらだらだら読んで時には笑って、というような本ではない。私自身、本の発売を知って楽しみにしていた反面、どこか読むのが怖い気持ちもあった。しかし、読みきった上で真っ先に感じたのは、不思議とあたたかい気持ちだった。

エイジさんのことがあり、その中で必死に駆け抜けてきた彼らの想いが知れたからだと思う。彼らが私たちファンに見せてくれていたのは、いつだって前向きな姿だけだった。

2019年8月に投稿された、

「RedLine」

という曲がある。

メンバーカラーの赤を髪色として纏っていたエイジさんに向けての曲だ。

RedLine 超えた先目指せ。俺たちはまだ、歩みを止めない。

赤髪の天才と呼ばれた彼を超える。彼がいなくても前に進み続ける。そんな強いメッセージがこの曲にはあった。もしかしたら、無理にでも前へ前へ進もうとしていたのかもしれない。

2019年は、1月1日に事故があったのにも関わらず、コンスタントに動画を投稿していた。いつガソリンがきれてもおかしくない、だけどそんな様子はファンには見せずに、彼らなりに全力で走り続けていた。

この本でも、エイジさんがいなくなってからの想いについてはかなり書かれている。2020年8月のインタビューで、ツリメさんはこう述べている。

3人で活動を始めてから、めちゃくちゃ印象に残ってる動画ってある?と聞かれたら、そこまでのものはない気がしますね。

アバンティーズの動画といえば、好きな動画といえば、と私が真っ先に思い出すのは、どうしても4人の時の動画ばかりだった。

企画や編集の大部分を担っていたエイジさんの影響はかなり大きい。私が彼ら3人を遠くから見てきて思うに、エイジさんが築いてきたスタイルになるべく寄せようともがいていたときがあったように思う。

だけど、何か違う。

時には厳しい意見もあっただろう。3人のアバンティーズを見るのは辛い、もう昔とは違う。きっと本にある言葉だけでは計り知れない苦悩や葛藤があったと思う。3人は3人らしく新たなスタイルを築くべきなのか、そもそもアバンティーズらしさとは何なのか。

2020年の7月ごろから動画投稿のペースがだんだん落ち、本にもあるが、3人にとってかなり苦しい時期だった。
同日のインタビューで、そらさんはこう述べている。

素直な言い方をすると......今、アバンティーズの活動に限界を感じていて。

もう10年近く活動を続けてきたアバンティーズが、彼ららしさと葛藤しながらまた新しい動画を作ること。それはきっとかなり難しいことなのだと思う。

この本の中には、’活動休止’ ’やめる’などのワードが何度か登場する。

アバンティーズの動画投稿が止まっていたとき、’やめる’はないだろうと勝手に思っていた。ずっと走り続けてきたぶん今苦しいに違いないと思っていたし、休むことでそれぞれがまたアバンティーズとしてゆっくりでも歩めるなら、何年でも休めばいいとすら思っていた。いちファンとして、ただの他人であっても、彼らの縁は切っても切れないもののように見えていたからだ。

幼馴染、親友、兄弟、家族、どれもしっくりこないがどれも当てはまっているように見える。この本の中でも、お互いの関係性を形容できる言葉はないと書かれているように、彼らの間には不思議な結びつきがある。

アバンティーズという場所

同時期のインタビューにて、ファンのことをどう思っているかという質問で、リクヲさんはこう答えている。

「動画」が好きで観てくれるというより、「その人」が好きで、その人が作る動画がおもしろいから観てくれている人が多いのかな?と思います。

まさにその通りだ。少なくとも私は、アバンティーズの活動はもちろん、人として好きだからファンとして応援している。

エイジさんの存在が、彼らにとってどうだったのかはこの本からでもよくわかる。独特なセンスと才能を持っていたエイジさんを超える、ファンにはその影ばかりが見えてるのではないか、そんなふうに葛藤したのかもしれない。

しかし私は、エイジさんだけが才能を持った人だと思ったことはない。

「その人」が好き、というのは4人ともが好きということだ。それぞれがそれぞれの特徴もいいところも持っていて、違うところがあるからこそ、お互いの良さを引き出し合えていたのだと思う。

関係者インタビューでの、クリエイティブディレクターの鈴木健太さんの言葉が的を射ていると感じた。

どの集団にいてもなんとなく中心になるタイプの人が4人集まっているイメージです。

アバンティーズを近くで見てきた方がそう言うのだから、きっと間違いないのだろう。私も、そう思う。みんな違う輝き方を持った人たちで、似ていないのに何故か引き寄せられて、お互いの考えていることがよくわかるほどに息がぴったりで、たとえプロセスが異なっても目指す場所は結局似ていて。

この本の中で、彼らの地元である埼玉に帰ってロケをしているパートがある。そこでは、インタビュアーの人も感じ取るほど全員がリラックスした様子を見せていたと書かれている。その’自然体でいられる安心感’のようなものが、彼らにとっての’アバンティーズという場所’なのではないかと思う。

いい意味でも悪い意味でも、個人として活動しても結局はここに帰結する。小さな町で幼馴染として出会ったことがルーツであるからには、やはり切っても切れない縁がそこにはある。


アバンティーズから離れたい

ここからはもう引用を控えるが(特に読んで欲しい部分なので)、’このままYoutubeをやり続けるのが苦しい’というような気持ちも露わになる。純粋に楽しむことをいちばん大切にしてきた彼らだからこそ、Youtubeの在り方とも向き合わなければならなかっただろう。

動画上ではそんなふうに見せてこなかったから、動画投稿がなかったあの期間どう思って過ごしていたのか、ファンは知らない。この本はちょうどその期間に取材が行われているので、彼らの正直な気持ちがびっしり語られている。

苦しいのは、うまくいかないから。うまくいかないのは、単純に3人だから。だったら、一旦休止しようか。いっそもう、やめようか。

私が勝手にやめないだろうと思っていても、彼らからすればそれを視野に入れるほどに辛い時期を過ごしていた。

この本にあることの何もかもが、ノンフィクションだ。エイジさんのことも、彼らの葛藤も、4人が幼馴染として出会ったということも。

私たちファンは所詮ただの他人に過ぎない。いつだって勝手に楽しんで、勝手に懐古して、4人が好きだったと言いたいなら言って、それでも構わない。

だけどこの本にあることは、日本のどこかで、確実に存在している。今も懸命に生きている。大切な人がいなくなって、その穴を埋めなくちゃならない。べらぼうに時間があるわけじゃない。忙しないYoutubeの世界でやってくにはずっと休んではいられない。生活が、かかっている。

何者でもない17歳の私が受け止めるには、重すぎる現実だった。

立ち止まっていたアバンティーズをリアルタイムで見ていて、この本にあるようなことを肌で感じ取っていたから、辛くて、苦しくて、私もアバンティーズから一瞬だけ離れたくなってしまった。

一度目を背けたくなった、と言う方が正しいかもしれない。

それと同時に、私だったら離れようと思えば簡単に離れられるのだということにも気づいてしまった。

本人たちはそうはいかない。私みたいに呑気に過ごしてなんかいられない。アバンティーズ、というある種運命のような強い結びつきのなかで、ダイレクトにその事実と正面から向き合っている。

この本を読んで真っ先にあたたかい気持ちになれたのは、その答え合わせができたから。私があの時辛くて苦しいと感じていた比にもならないくらい大きな壁と戦っていたことを、本という形で伝えてくれたから。

無力で何もない私でも、同じ気持ちになれた気がしただけで嬉しかった。

生き方が商売道具

これは、私が購入した本にサインとして書かれていた言葉だ。同じようなことが本の中にも書かれている。

嘘を吐かずに生きてきたからこそ、生き方が自分たちの強みだと言える。
生きていれば、こうして本となって誰かの支えになるかもしれない。
この本に、全ての想いが詰まっている。

こういうところが、アバンティーズの好きなところだとつくづく思う。

私自身、アバンティーズに支えられて生きてきた。私が彼らを支えることはできないけれど、少なくとも正直な気持ちで、彼らと向き合いたい。ずっとここにいることだけしか約束できないけれど、4人も、3人も、愛す。

私の人生においてもアバンティーズは切っても切れない存在のように思えるから、たとえ一方通行でも、同じ歩幅で追い続けようと思う。



最後に
長くなりましたがここまで読んでくださりありがとうございました。
気になった方はぜひ本を読んで欲しいので、私が思うに肝となる部分の紹介は避けています。また、もう既に本を読まれた上でここまで読んでくださった方、もし私の感想で不快にさせてしまっていたらすみません。たとえノンフィクションであっても、細かな解釈の仕方は自由だと考えております。素敵な本であることに変わりはないので、この本を一緒に愛していけたらと思います。

アバンティーズさんへ、まずは素敵な本をありがとうございました。
私の、知りたかった核心に触れられたような気がしています。そらさんの「First things」を聴いた時にも同じような気持ちになりましたが、3人のそのままの言葉をインタビューという形で見れたことが一番嬉しいです。これからも応援しております。






この記事が参加している募集

読書感想文

この記事がいいなって思ったらスキお願いします!サポートもしていただけたら泣いて喜びます😭今後の活動に必ず還元します🔥