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舞台 「日本の歴史」

三谷幸喜さんの作・演出です。配信を見ました。ほんとに軽い気持ちで。軽い気持ちで見たんです。なのに、第1幕のおわりにも公演のおわりにも号泣しているという、予想外の自分。それからしばらく「アイエヌジーエー 因果 アイエヌジーエー 因果♪」って口ずさんでる(笑)この作品の音楽、中毒性がすごい。月並みな言い方だけど、よかったです。

何がよかったって、まずシルビア姐さんの歌!フィフティシェイズで何度も聴いていたけど、ときにしっとり、ときにジャジーに、ときにロックに歌いあげるシルビア姐さんがかっこいい。お姿が卑弥呼だったり織田信長だったりするんだけど、ぎゅーんと胸を掴まれて、好き!!!シルビア姐さんのインスタで卑弥呼の姿を見たとき、桃太郎って思ってました(笑)日本の歴史だし。ごめんなさい。配信見て卑弥呼だと知りました。ちなみに私のお気に入りは藤原不比等パートでロックを歌う卑弥呼です。

そしてエマちゃんの歌もとても気持ちいい。好き。そしてかわいい。好き。エマちゃんの平清盛、めっちゃかわいい。「平清盛だぁ~!」ってニコニコで歌うエマちゃん、もう虜です。三谷さんが賛否両論あるヘアスタイルって言ってたけど、すごくキュートだったなぁ。
秋元さんも貴一さんも新納さんも瀬戸くんも香取さんもみんな歌がうまくって、どの歌も聴きやすかったです。

第1幕のさいごに泣いたのは明らかにさいごのコーラスがきっかけ。主メロの曲に1章で歌ってきた曲が重なっていく。その歌ってきた曲は新納さんは藤原不比等の曲、瀬戸くんは明智っちの曲と演者と縁のある曲で。それがぶ厚いコーラスになって押し寄せてくるから、圧倒されました。すごい。この作品はテーマである「因果」を始め、中毒性の高いメロディと歌詞の曲が多いのも魅力的で。「INGA」と同じくらい「あけちっち!あけちっち!あけちっ!」もそう、中毒性高い。音楽監督の荻野さん(piano)、すごい。

あけちっち!あけちっち!は瀬戸くんが演じた明智光秀のときの楽曲。キンカン被った瀬戸くん。かわいかったな(笑)明智光秀パートのさいごにみんなキンカン被って、「あけちっち!あけちっち!」って囁きながら舞台を横切っていくのもかわいかったな。瀬戸くんといえば、平清盛パートの黒髪おかっぱもキュートだったなぁ。シルビア姐さんも美人さんでドキドキしました。シルビア姐さん、黒髪ストレートにしてみないかな。

構成はテキサスに移住してきた家族とその家に雇われた小作人の歴史と1700年近い日本の古代からの歴史を交互にみせていくというもの。三谷さんも幕間のコーナーで話していたけどテーマは「INGA(因果)」。人種、出身、人の思惑、歴史も身の回りも起こっていること全てに因果関係があって、つながっているということ、日本の歴史というより人間の歴史のような気がしました。実際に学ぶ歴史は語り継がれる中で修正されたりもするから、因果関係がどうなってるのかはっきり分からないところもあるけれど、歴史で起こったことはやっぱり何かの因果があるのは間違いないんですよね。
テキサスのシュミット家の歴史の話では、小作人からの脱却、雇い主への憎悪、メキシコの血を持つという部分を中心とした一家の栄華と衰退(因果)、そしてまた新しい歴史が作られていくというふうにまとめられていました。最初は日本の歴史を観るはずなのに、メキシコ??って思ったんだけど、うまく織り交ぜられて分かりやすかったと思います。

そして公演中何度も出てくる「あなたが悩んでいることはいつか誰かがなやんだ悩み」。弥生時代の卑弥呼が乗り越えた悩みを平安時代の藤原不比等が同じ悩みを抱えていたところとかおもしろかったし、これだけ長い歴史の中で確かにそうだよなぁと思ったり。そう思うと今悩んでいることも乗り越えられそうな気がして、頑張って生きようと思いました。

劇中、サンチョス(メキシコ人)に刺されたジョセフ(富豪)が「唐突だな。これからおもしろくなるのに。」と言いながら絶命していくシーンのあとの明智光秀パートで織田信長が同じセリフを言ってはけていくのは、もしかしてジョセフが織田信長、サンチョスが明智光秀なのかな?そしてジョセフから助けを求められたけど見殺しにして逃げるトーニョは秀吉ってこと?うまくみせているし、おもしろい。

ただ第2幕でおわりに進むにつれて、周囲から信頼される実直な相楽総三が幕末の政で殺されてしまったもとどりの(もとどり姿のエマちゃんかわいかった)話とか世界大戦で相手を殺したくなくて、言葉は伝わらないけど音楽やリズムでコミュニケーションをとろうとして結果的に撃たれてしまったシュミット家のジュニアの話(結末がなんとなく分かったから早送りしました。これも新井白石のパートと重なってるね)とか、苦しくなってしまったのも正直なところ。日本にとっても世界大戦はおおきなできごとではあったんだけど、敢えてシュミット家の歴史としたのはそれだけで十分伝わるということなんだと思います。
7人のキャストで60人以上の人を演じるのはやっぱり大変だっただろうと思います。早着替えとか特に。個人的には天使の格好をした中井貴一さんがかわいくてついつい見てしまいました。ときには女帝、ときには卑弥呼の弟、ときにはヨボヨボの弁護士と七変化していて、そして歌もうまくて。シュミット家では途中で刺されて死んじゃうし、カンパニーの基をしっかり支える役割の主演だったと思います。

そう!配信だったから、公演直前は貴一さんが国立劇場中劇場のエントランスから劇場の扉を開けるまでエスコートしてくれる動画があって、中劇場に行ったときのことを思い出したし(観やすくて好き)、モニター前の人も劇場に入る高揚感を味わってほしいというシスカンの心意気が伝わって嬉しかったです。確か、斗真くんのハンドウ警部のときもそうだったよね。
それから幕間に三谷さんの軽快なトークがあって、ブレヒト幕の裏側とか舞台袖から裏を案内してくれて、とても貴重な体験をさせていただきました。思ったよりも舞台裏って広いんだなぁ。すぐはまなかさんに置き換えてしまうので、スマ落のRa Hamanakaのことや犬神家の盆のことに思いを馳せてしまった私です。


ともかく楽しかったし、胸いっぱいになったし、「人生で大事なとこは人生で大事じゃない」とか胸に残る言葉も音楽もたくさんありました。
ギリギリまで観るのを迷ったけど、観てよかったです。
早く劇場に行きたい!!楽しかった!!

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