～ショックをうけた歌～

私が幼いころに、『ポンキッキ』という子ども番組があった。

今もあるのだろうか。わからない。わが家には、テレビもなければ新聞もないし、子どももいないからだ。

いや、テレビはあるけれど、接続しなくなって久しいので、ただの家具、というか、インテリア、というか、まあそんなものになっている。

ともかく今、『ポンキッキ』がやっているのかいないのかが私にはわからない、ということだけ頭に入れていただいて、さて、話をはじめよう。

『ポンキッキ』の詳しい内容は忘れてしまったが、おもしろい歌がたくさん歌われていたのを覚えている。

『およげ　たいやきくん』はあまりにも有名だし、『いっぽんでもニンジン』や『パタパタママ』など、聞いたことがある方は多いだろう。

残念なことに題名は忘れてしまったのだが、そしてこれが合っているかもわからないのだが、
♪　１月　いちばん寒い月　２月　いちばん雪が降る　♪
のように、月ごとに、”なにがいちばんか”を歌う歌があった。

私は６月生まれ。姉は３月生まれ。まだ幼かった私たちは、自分の生まれた月がどういったふうに紹介されるのか、とても楽しみにテレビの前に座ったものだった。

春生まれの姉は、たしか”いちばん花が咲く”。
きれいなイメージで、いいじゃないか。私はチロリと横目で姉を見た。

さあ６月は！？

私は、あのときのショックを忘れることができない。

♪　だーからいちばんっ　だっかっらいちばんっ　つーまーらーなーいーつきっ　いちばんロック　♪

書いていて曲名を思い出した。『いちばんロック』だ。

なにしろ６月は、いちばん雨が降って、祝日が一回もなくて、だからいちばんつまらない月、なのだと。

姉がチラリとこちらを向いて、
ーーかわいそうに……。
といった視線をおくったのだって忘れられない。

ーー子ども番組でしょ？　これ。こんないじわるな歌、つくっていいの？

子どもだった私は長らくそう思い、でも人気番組だったため無視することはできず、そしてガチャピンよりはムックが好きで、なんでもできちゃう手を持つママがいるのかー、ピンポンパンとセットで見れるし、なんだかんだいいつつも楽しいテレビだったのかなあ、という結論に至る。