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都会人が食ったことのない食べ物の実態を田舎者の俺が教えてやる。


最近ね、ときどき思うんですよ。

あー蜂の子食いてーなーって。


いきなり何言ってんだとお思いでしょうが、実際食いたいんだからしょうがないんですよコレが。
奇食アピールに走る中二病患者とかアクセス稼ぎのユーチューバーなんぞと一緒にしてもらっちゃ困る。こちとら実際に蜂の子を食った経験があって、その上で美味いと思ったからまた食いたいと言っとるんです。子どもの頃に食ったきりとはいえ、味覚の鋭敏な頃に美味いと思ったんだからまず美味いことに間違いはない。


そこまで考えて、ふと思ったことがありまして。



私、生まれも育ちも九州地方の山の果て、粗にして野にしてヘタすりゃ卑の田舎者にてございます。


そんなカッペの自分がこれまで口にしてきたブツの中には、実は都会人の常識では思いもよらないオブジェクトも潜んでいたのではなかろうかと。


ド田舎目線でいっても明らかにエキセントリックなブツも食ってきたけど、ふつうに食ってきたブツも実はおかしかったんじゃないかと。
おかしいつったら言い過ぎにせよ、多くの人がなにそれ知らない的なオブジェクトも存在するんじゃないかと。


そういうオブジェクトどもを都会人の皆様方に紹介するっていうのは、実は自分が思っている以上に興味を惹く話なんじゃなかろうかと。




そういうわけで、今回はこのオブジェクトどもを紹介したいと思います。
六頭のうち二頭をひとつのコンビにまとめた、都合五頭立てでお送りいたします。


①川エビ
②イタドリの新芽
③ムベの実
④猪&鹿
⑤蜂の子

一応言っときますと、画像は一切ありません。
グロ画像で皆様のSAN値を傷つけないための配慮、というのもありますが、画像を探して貼っつけるのが記事を書くより重労働なんでね。
ここは一つ、読み手も書き手もいたわったってコトにしといてくださいよ旦那。


毎度の長いヨタ話もいい加減にして、そろそろ始めてまいりましょう。


― ― ―

①川エビ

文字どおり、川に棲むちっこいエビです。川エビ。
スジエビとも呼ばれたり、あるいは別種のテナガエビと一緒くたにして川エビと総称されることもあります。
味はふつうにエビですが、他のエビと比べて妙に味が濃い印象がありますね。身がちっこい分だけ旨味が詰まってるとかあるんでしょうか。

で、この川エビちゃんにどうやってありつくかというと、川行って銛で突く。
”ヤス”だの”金突き(かなつき)”だのと呼ばれる、生ゴムで出来た紐を竿部分にくくりつけた銛があるんですよ。
そいつをたずさえ川に潜ってですね、川エビ見つけたら生ゴムの紐をギリギリ引っ張った緊張状態のまま銛を手に持ってですね、川エビめがけてパッとゴム紐を手放す。
そしたらビューンって銛が川エビに向かって飛んでって、はい甲殻類一匹ゲット。ね、簡単でしょう?


四半世紀も昔の話になりますが、自分が小学生の頃はこれが小学生男子の嗜みでした。エビ突きなんてのは大の大人がやるもんじゃなくて、子どもの遊びとして認知されていたと思います。
まあ川エビなんてちっこいし浅瀬にもいるし、捕獲難易度も低いから妥当な評価と言えるでしょうね。小学生がそんな凶器持つことが妥当なのかについては一切議論されていませんでしたけど。


ブツ自体はふつうだけど、捕獲方法と捕獲者がアレだったという話ですね。
じゃ、次。


②イタドリの新芽

不明なオブジェクトその1。タデ科の植物の一種です。

見た目はアスパラガスに近い、うまい棒の中身(輪っか)くらいの太さの植物。中は空洞になっていて、果肉はけっこう水気を含んでシャキッとした食感です。
本来はなんやかや調理を施して食うものなんですが、そこら辺の土手に自生しているのをいいことに、学校帰りの小学生がよく摘み取ってはかじっていました。

かくいう私もその一人なんですが、こいつ特段美味いものではないんですよね。むしろ味は酸っぱい。あとちょっとエグ味あり。
ただそこら辺に生ってるから、適当に手折(たお)って皮向いて食う。片道5kmの通学路の水分補給のために食う。ただそんだけ。未開の蛮族かよ。

というか、小学生の通学路が片道5kmってのが今考えたらおかしい。
当時の移動方法ってスクールバスとか自転車とかもない、純然たる徒歩ですからね。そら子どもの体なら疲弊もするし喉も乾くわ。そらこんなわけわからんオブジェクトにも手を出すわ。HP最大値1500くらいに対して1しか回復しない程度の効能だったけど。


小学生がゴム紐付きの銛を持ち歩いてたことといい、やっぱ昔はいろいろな時代だったなあと思いますね。
じゃ、次。


③ムベの実

不明なオブジェクトその2。アケビの変種みたいなもんです。
そもそもアケビの実物を見たことないって人もいるかもしれないんで、一応そこから説明させてもらいますと。

まず、紫やブラウン色をした肉厚の外皮に覆われた果物です。
珍しいのが果肉の付き方で、びっしり密集した種の周りをうっすらと白い果肉がコーティングしています。果肉の味はクリーミーな甘さです。
で、その果肉を種ごと口にして、口内でねぶりながら種を吐き出していく。これがアケビの食べ方です。

味はともかく、果肉の見た目や食べ方はパッションフルーツあたりが近いんじゃないでしょうか。
問題は黒い種が密集してるもんで、人によってはグロく感じるかもしれないこと。いわゆる蓮コラ(ブツブツが密集してる系のグロ画像)的なグロさですね。だいたいの人は気にならないレベルの話ですが。


で、やっと本題のムベですが。
アケビの変種というだけあって、こいつもまあ似たような食いもんです。山ん中の木伝いの蔓に生ってて、そいつを高枝切りバサミとかでちょん切ってゲットします。

違うところはいくつかあって、まず水気。
アケビがそこまで水分を含んでいない、それ故にねっとりクリーミーなのに対して、このムベはそこそこ水気、というか汁気が豊富。皮を剥くときにすぐ手がベタつくのが少しムカつく。

次に味。アケビに対して明らかにムベの方が甘みが強い。
アケビが上品な甘さなのに対して、ムベはなんというか雑に甘いんですよ。言うならアケビが洋菓子のクリームで、ムベはサトウキビの丸かじり。そんなニュアンス。

最後に見た目。明らかにアケビよりグロい。
皮を剥いてお目見えするのは、黄緑色のゼリーみたいな半透明の果肉に覆われた黒い種子の集合体。それだけでもややグロいけど、ゼリーみたいな果肉の周りをシワみたいな繊維がびっしり覆っているのが輪を掛けてグロい。
そりゃ慣れればふつうに食えるけど、若干嫌がらせ感のあるビジュアルだと思いますね。


総じて、アケビに比べて洗練されていない、いろいろと雑さを感じさせる果実という印象です。美味いは美味いんですけどね。
しかし”雑”ばっか言ってる気がすんな今回は。


④猪&鹿

ジビエ界のメジャーである猪ですが、食ったことない人もそれなりにいそうなんでね。ホントは鹿だけ書こうと思ったんですけど、せっかくだし猪も入れとこうかなと。


そういうわけで、まずは猪。別名は牡丹(ぼたん)肉。
言うまでもなく豚の親戚ですが、一番の特徴は濃厚な甘みのある脂かと。メシに凝った地方の旅館なんかで、肩ロースあたりが焼肉として供されているイメージがありますね。
あと若干の臭みはありますが、仕様だと思えば全然食べられる。というか、それを野趣だと思って楽しむのがそもそものジビエの魅力なんでしょう。

ただ個人的には、子どもの頃に何度か食った、味噌煮込みの方が強く印象に残っています。
何が印象に残っているかって、味とか匂いとかじゃないんですよ。毛。
脂の表面に体毛の毛根が残ってて、そいつがまた剛毛なもんでえらいザリザリするんですよね、舌触りが。
親父の知り合いのプロの猟師から譲ってもらったとかいう触れ込みでしたが、だとしたらあの毛は何だったんだと。プロの猟師でも下処理に限界はあるってことかと。それにしては店で食う猪肉はちゃんと処理されているぞと。

高級品を食わせてもらっててバチ当たりな話ですが、やっぱり雑さは否めませんでしたね。ああまた”雑”って言った別に狙ってねえのに。


次、鹿。

こいつもジビエ界ではメジャーな部類ですが、ググって出てくるのは煮込みとか焼肉とかが多いですね。火を通す料理。
でも自分の場合、子どもの頃に刺身で食べた経験しかないんですよ。冷凍のブロック肉を薄くスライスして、それを生姜醤油で食べる。
馬刺しに近い味だと思いますけど、肉の旨味も濃ければ獣肉の臭みも全く感じなかった覚えがあります。

こいつも猪肉と同じく猟師から親父が譲り受けたブツでしたが、
極上の部位だから刺身で食いな!」
との触れ込みでいただいたとのこと。刺身で食べることの多い極上品とのことなので、おそらく背ロースあたりをもらったんじゃないかと思われます。
確かに、思い返すだに美味かった。それ以上に、匂いに敏感な子どもが一切気にしないレベルで臭みがなかったので、看板に偽りはなかったんでしょうね。

もっとも、今調べてみたらE型肝炎だとか寄生虫だとかのリスクも書かれていたんで、そこはまあ獣肉。たとえ冷凍品だろうと、生肉の実食は自己責任ということでひとつ。


⑤蜂の子

猪に鹿とくれば、そらあとは蝶と決まってますよ。三つ並んで猪鹿蝶(いのしかちょう)!!いや蜂だったわ。

さて、やっと冒頭のネタが出てきました。蜂の子。
世間じゃゲテモノの代表格みたいな扱いを受けてるように思えるんですが、自分は心底不服ですね。というか、ギャーギャーゲテモノ扱いしてる奴らのほぼ100%はエアプ(実際食ったことない)だろと。

「いやいや俺(私)食べたことあるけど無理だったよ!だって幼虫じゃん!!」だったらその先入観を捨てろ実際幼虫とかいう先入観のせいでロクに味わえてないだろアンタら。

まーね、わからんでもないですよ。実際問答無用で幼虫のビジュアルですから。
でもそれさえ気にならなければ全然イケる。というか普通に美味い。現にこうやってあーまた蜂の子食いてーなーって思う奴がいるくらいには美味い。あと昭和天皇の大好物にもなるくらいには美味い。詳しくはググってください。

で、肝心のお味ですが、一言でいうと上物の白子。水っぽさのないねっとり濃厚、クリーミーな旨み。
自分が食べたのはポピュラーなバター醤油炒めでしたが、まー美味かった。子どもの頃なんで呑めませんでしたが、大人の今なら酒の肴にしたいところです。

まあ、こんだけ言っても幼虫は幼虫ですからね。別に無理して食えとは言いませんよ。何なら白子食った方が早えし。

それはそれとして、やっぱり美味いのも事実ですし、好きこのんで食ってる人もけっこういるんでね。
そういう人間からしたら、ギャーギャーゲテモノ扱いしてネタにするのはやめてもらいたいんですよ。誰だって自分の好物がくさされたらイヤな気分になるでしょうに。



そんなことを、HIKAKINのYouTubeを視聴しながら思いました。

というか初めてHIKAKINの動画を観た。ふだんこういうの観ないしなあ。


― ― ―


さて、これで都合五頭立て、全オブジェクトの紹介を終えました。
ここまでずっとお付き合いいただきありがとうございます。なにか一つでも面白いと思ってもらえたものがあれば幸いです。





ここからは、本当に関係のない余談になるんですが。



私、普段はこんな感じの長文ネタを月一か隔月に一回くらいのペースで投稿しているんですけど、色々とワケありまして一週間限定で毎日投稿に挑戦しておりました。
そして、本日がその最終日となります。


時間とネタの捻出に追われ、苦心惨憺しながら一週間書いてみて。

そしてラストの今日、本来のスタイルである長文のネタ記事を書いてみて。

今、あらためて思うことがあります。







最初から、この記事を何回かに分けて投稿すればよかったんじゃねえかなって(白目)。



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