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「モーテルの一室を拠点として使っているヒーロー→走行中の車の中からチラッとモーテルを見ただけで、①異変に気づき、②拠点が敵に襲撃されたと確信し、③一緒にいる仲間に的確な指示を出し、④自分も平然とした顔でモーテルの前を通りすぎる」というシーンを描く ~ドラマ「ザ・ボーイズ」の場合

ブッチャー「……皆捕まったようだ」
ヒューイ「えっ!」「なんでわかるの!?」

ブッチャー「俺たちの部屋の窓ガラスが入れ替えられて新しくなっていたし、ベランダは掃除されていた。さらに、駐車場には黒いバンが停まっていた。あのバンの中には物騒なやつらが隠れているだろうさ」

ドラマ「ザ・ボーイズ」(シーズン1の第8話)




◆概要

【「モーテルの一室を拠点として使っているヒーロー→走行中の車の中からチラッとモーテルを見ただけで、①異変に気づき、②拠点が敵に襲撃されたと確信し、③一緒にいる仲間に的確な指示を出し、④自分も平然とした顔でモーテルの前を通りすぎる」というシーンを描く】は「読者・鑑賞者に好かれるキャラ、共感されるキャラ、応援されるキャラ」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:ドラマ「ザ・ボーイズ」(シーズン1の第8話)

▶1

本作の主要キャラの1人・ブッチャー(40代頃の男性)。

彼はいま、仲間と共に悪の組織と戦っている

強大な敵に対抗すべく、ブッチャーたちはとあるモーテルの一室に身を隠し、そこを拠点として使っていた


ある日、

・Step1:ブッチャーがヒューイ(仲間の1人)と外出した時のことだ。

・Step2:しばらくして、ブッチャーの運転する車で2人はモーテルに戻ってきた。――が、ブッチャーはモーテルの駐車場には入らず、モーテルの前を素通りしてしまった。

・Step3:一体どうしたんだ?ヒューイは困惑して、ブッチャーの横顔を見つめた。

・Step4:直後、ブッチャーが鋭く叫んだ「前を見ろ!前を見ているんだ!」

・Step5:ヒューイは訳がわからないながらも、その指示に従う。


間もなく、

・Step6:ブッチャーが言った「……皆捕まったようだ」

・Step7:ヒューイは仰天する「えっ!」「なんでわかるの!?」。

・Step8:ブッチャーが説明する。曰く「俺たちの部屋の窓ガラスが入れ替えられて新しくなっていたし、ベランダは掃除されていた。さらに、駐車場には黒いバンが停まっていた。あのバンの中には物騒なやつらが隠れているだろうさ」。――ブッチャーの読みは正しい。彼の言う通り、2人が外出している間に拠点は敵の襲撃を受けた。かくして仲間は皆捕まってしまった。なお、窓ガラスが入れ替えられていたのは敵が拠点に突入する時に割ったせいだし、ベランダが掃除されていたのは敵がガラスの破片を片づけたせいである。


▶2

ご注目いただきたいのは、ブッチャーの観察眼の鋭さである。

何しろ彼は走行中の車の中からチラッとモーテルを見ただけで、

・鋭い1:「むっ!?俺たちの部屋の窓ガラスが新しくなっているようだぞ」「ベランダもきれいになっているぞ」「駐車場には怪しいバンが停まっているぞ」と気づき、

・鋭い2:敵の襲撃を受けて仲間が捕まってしまったこと、そして自分たちを捕まえるべくいまも敵がモーテルに潜んでいるであろうことを確信し、

・鋭い3:モーテル周辺を監視しているに違いない敵に怪しまれないように「前を見ろ!」とヒューイに指示を出し、

・鋭い4:自分も平然と車を走らせた

……のだから。


「おそろしい観察眼だ!」「超クールだ!」「私もこんな観察眼を身に着けたい!」などと、ブッチャーに好意を抱いた鑑賞者は少なくないだろう。


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