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「類似性の高い動作・姿勢」を架け橋としてシーンをつなぐ ~「洗濯機の中でぐるぐる回る洗濯物」から「ぐるぐる回転するレコード」へ

ベイビー「僕も行くよ!」

映画「ベイビー・ドライバー」


◆概要

【「類似性の高い動作・姿勢」を架け橋としてシーンをつなぐ】は「シーンとシーンのつなぎ方」に関するアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「ベイビー・ドライバー」

▶1

本作の主人公はベイビー(男性、20代)。

彼はいま、デボラという女性といい雰囲気になっている。


ある日のこと。

・Step1:デボラが働くレストランにベイビーがやってきた。デボラが微笑む「今日の仕事はもう終わりなの。この後、洗濯しにコインランドリーに行く予定よ」。ベイビーはすぐに言った「だったら僕も行くよ!」。

・Step2:というわけで、2人はコインランドリーへ。洗濯が終わるのを待つ間、一緒に音楽を聴いたり、他愛もない会話をしたりする。デートと呼ぶにはあまりにも素っ気ないが……しかし2人は幸せだ❤

・Step3:そんな中、画面中央に洗濯機が映った。洗濯物がぐるぐる回っているのが見える。

・Step4:……と次の瞬間、場面が切り替わった。レコードが回転している。場所はベイビーの家。ベイビーが音楽に合わせて歌い、踊っているのが見える。表情に締まりがない。じつに嬉しそうだ。


▶2

ご注目いただきたいのは、Step3から4への場面転換(「洗濯機の中でぐるぐる回る洗濯物」→「ぐるぐる回転するレコード」)である。


そう、「ぐるぐる回る」という動きの類似性をかけ橋として、「コインランドリーでのデートシーン」と「デート後、ベイビーが自宅ではしゃぐシーン」がスムースにつながれているわけだ。


▶3

はて、なぜこのようにつながれているのだろうか。

単に「オシャレだから」ということではなかろう。


私が思うに、

・1:2つのシーンをスムースにつなぐことでその連続性が強調され、

・2:かくして私たち鑑賞者は「あっ。帰宅したのにまだ浮かれているよ、こいつ(笑)」と直感するのであり、

・3:その結果として「どれだけデボラのことが好きなんだよ(笑)かわいいやつだ」とベイビーに好感を抱き、

・4:そして、じつはこの後2人の仲を裂きかねない悪党が登場するのだが、その悪党に対してヘイトを抱き、「頑張れ、ベイビー!あんな悪党に負けるなよ!!」と応援したくなる

……のだろう。

つまりこの場面転換は、私たち鑑賞者が主人公を好きになったり、物語に没入したりするのを後押ししているというわけだ。


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