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ドリーズームで「恐ろしい雰囲気・不穏な雰囲気」を醸し出したり、キャラの「恐怖・不安・動揺・焦燥」を表現したりする ~映画「アポロ13」の場合

アポロ13号の船長「何かが外に漏れているようだ」

映画「アポロ13」


◆概要

【ドリーズームで「恐ろしい雰囲気・不穏な雰囲気」を醸し出したり、キャラの「恐怖・不安・動揺・焦燥」を表現したりする】は「空間演出、画面構成」に関するアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「アポロ13」

▶1

本作の主要キャラの1人・ジーン(男性、40歳頃)。

彼は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の首席管制官である。


・Step1:1970年、「アポロ13号」が発射された。打ち上げは成功。予定通り、月に向かって飛んでいった。地上ではジーンら管制官が歓声を上げた。

・Step2:1日目、2日目、アポロ13号は順調に飛行を続ける。ところが……ふいに警報が鳴り響いた。ビービービー!管制官たちは顔を見合わせる。一体何事だ!?

・Step3:最初は計器が故障したのではないかと思われた。しかし、アポロ13号は明らかに異常を来していた。すなわち、大きな揺れ!電圧の低下!酸素の減少!

・Step4:状況確認と原因究明のためにジーンら管制官は慌ただしく走り回る

・Step5:そんな中……アポロ13号の船長から通信が入った「何かが外に漏れているようだ」。直後、管制官たちは言葉を失った。ジーンも目を見開く。続いて船長が言った「何かのガスだ……あれは酸素だ」。嗚呼、酸素漏れ!まさに最悪、想像を絶する事態である。


▶2

さて、ご注目いただきたいのはStep5。「『何かが外に漏れているようだ』と船長から通信が入る」というシーンで、ドリーズームが使われているのだ。

※ドリーズームWikipediaのこの9秒間の動画をご覧いただきたい。一言で言うならば、「画面中央で動揺するジーンは不動、しかし背景だけはぐーんと近づいてくるように見える」という映像である。


では、なぜここでドリーズームなのか。

それは「背景だけが近づいてくる」という奇妙な映像によって、ジーンがいかにショックを受けているかを表現するためだろう。

そして「首席管制官のジーンが強いショックを受けている」ということで、私たち鑑賞者は「それほど深刻な事態なのか!」と理解できるのであり、かくして「アポロ13号の搭乗員はどうなってしまうんだ!?」「彼らは無事帰還できるのだろうか!?」と手に汗握って物語を楽しめるわけだ。


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