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「自分の意思に反すること・自分ではどうしようもないこと」を、さも自分の決定であるかのようにユーモラスに語る ~映画「最強のふたり」の場合

頸髄を損傷し首から下を動かすことができないフィリップ「(車椅子から落ちないようにシートベルトで体を固定してもらいながら)私は拘束されるのが趣味でね」

映画「最強のふたり」




◆概要

【「自分の意思に反すること・自分ではどうしようもないこと」を、さも自分の決定であるかのようにユーモラスに語る】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「最強のふたり」

▶1

本作の主人公は、フィリップ(60歳頃の男性)。


彼は、

・Step1頸髄損傷のせいで首から下を動かすことができない。考えたりしゃべったりすることは可能だが、食事や入浴、着替えなどは介護人のサポートなしには難しい

・Step2:また、車椅子に乗る時にも注意が必要だ。自分で踏ん張ったり重心を移動したりできないため、シートベルトで体を固定してやる必要があるのだ。さもないとちょっとしたことで落ちてしまう。


というわけである日、

・Step3ドリスという新しい介護人が来た時のことだ。

・Step4:先輩介護人が説明する「体をしっかり固定するまで気を抜かないようにね」。

・Step5:一方、フィリップはシートベルトで体を固定してもらいながら軽口を叩いた。曰く「私は拘束されるのが趣味でね」。


▶2

ご注目いただきたいのは、「私は拘束されるのが趣味でね」というフィリップのセリフである。

もちろんこれは事実ではない。彼がシートベルトで体を固定するのは車椅子から落ちないためだ。固定しないと落ちてしまうから仕方なくそうしているのだ。

だがフィリップは、趣味でやっているのだとボケてみせた。

要するに【「自分の意思に反すること・自分ではどうしようもないこと」を、さも自分の決定であるかのようにユーモラスに語る】という技法であり、この技法を使ったことで機知に富んだ楽しいシーンになったといえるだろう。


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