相手の言葉を受け入れたふうを装ってから、拒否したり歯向かったりする ~映画「マトリックス」の場合
◆概要
【相手の言葉を受け入れたふうを装ってから、拒否したり歯向かったりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「マトリックス」
▶1
本作の主人公は、アンダーソン(男性30代。後に「ネオ」と呼ばれることになる人物)。
彼はとある企業に勤める会社員だが、じつはもう1つの顔を持っている。すなわち、裏社会ではよく知られた凄腕のハッカーであり、犯罪行為にも手を染めている。
ある日ふいに、
・Step1:アンダーソンは謎の組織に拘束されてしまった。
・Step2:どうやら相手は国の機関(FBIやCIA?)のようだ。
・Step3:アンダーソンは小部屋に連行された。やがて黒いスーツに黒いサングラスという格好の取調官がやってきて、尋問が始まった。
取調官は声を荒げることもなく、
・Step4:紳士的な態度でアンダーソンに語りかけた。曰く「私はきみの良心を信じている。だからコンピュータ犯罪のことは目をつむろう。その代わり、我々が追っているテロリストの逮捕に協力してほしい」。つまり、テロリストの逮捕に協力すれば無罪放免にしてくれるというわけだ。
・Step5:取調官の提案に、アンダーソンはうなずいた。そして「なるほど。かなりいい取引のようだな。――だがもっといいアイデアがあるんだ。つまり……」と言ってズバン!アンダーソンは中指を立てて見せた。
・Step6:取調官は顔色ひとつ変えずに「うーむ……」「きみにはがっかりしたよ」。
▶2
ご注目いただきたいのは、「なるほど。かなりいい取引のようだな。――だがもっといいアイデアがあるんだ。つまり……(中指を立てる)」というアンダーソンのセリフである。
要するに「そんな取引には応じないぜ!俺を舐めるな!」と取調官の提案を蹴ったわけだが、しかしストレートにそう言ってしまっては面白みを欠く。
そこで【相手の言葉を受け入れたふうを装ってから、拒否したり歯向かったりする】という技法の出番だ。
改めてアンダーソンのセリフをご覧いただきたい。
彼は「なるほど。かなりいい取引のようだな」とまずは相手の提案を受け入れるふりをして、油断を誘った。その上で「だがもっといいアイデアがあるんだ。つまり……(中指を立てる)」と反撃に転じた。
この結果、「そんな取引には応じないぜ!俺を舐めるな!」と単に拒否する場合と比べてインパクトが増し、一段と格好いいシーンになったといえるだろう。
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