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美容院で頭の中をのぞかれる!

今じゃ、美容院で、雑誌を出されないことがある。重くて古そうで汚いタブレットを渡してくるのだ。わたしはデジタルネイティブ世代じゃないから、まぁ戸惑うよね(43歳)。スイッチを見つけるのに一苦労。統一してほしいものだ。「すぐに画面が消える」と騒いでしまって見苦しい。

このタブレット貸し出しシステムには、お店にとってのメリットがいっぱい。

・お客さんそれぞれの年代や、好みっぽそうな系統を察知して、何冊か出すという探りと賭けを省ける。

・チョイスを間違ってお客さんに怒られる危険がない。押しつけのハラスメントも生じない。

・お客さんの読書ペースを観察し、タイミングを見て、読まれた/ 読まれることのない 雑誌を下げ、新しい数冊とチェンジする手間もいらない。

・冊子にはまった髪の毛を捨てる作業がない。

・定期的なたくさんの紙雑誌の仕入れ・廃棄の業務がない。


美容院側は、お客さんにも喜ばれると思いこんでいるらしい。そうでもない。向こうが選んだ出版物の、わたしが普段見ない、広い世界が提示されるのはけっこうおもしろい。タブレットだとスイッチを入れたらいつもの検索ワードを入力するっきゃない。代わり映えのしない分野と方向性での情報摂取が始まる。


効率を重視する人間にはぴったし。ところがわたしは、自分の知力とパターンに飽きている。


美容師さんは、わたしの髪を扱いながら、タブレット画面に何が表示されているか、ちら見してくるじゃろ。わたしの興味関心のくだらん中身と、低い眼識と、思考の浅さを知られてしまう。ばつが悪い。こっちはお金を払ってサービスを受けにきとるんじゃがね。はずかしいったらありゃせんわ。


周りのお客さんを見ると、彼女らが手に持っているのは、タブレットと自分のスマートフォンの半々じゃろうね。スマートフォン派は、出勤前のホステスさんみたいに見えていいよね。まねしてみよっと。ちなみに本物のホステスさんは、険しい勝負顔で文字を打っており、つまり仕事モードじゃけん、ひと目でわかるよ。

ありがたいことです。目に留めてくださった あなたの心にも喜びを。