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これはおおむねフィクションです

下瞼がぴくぴくする。
ずーっと少しだけ故障しているような感じがする。
私はいつからこうなんだろう。

今日は朝から大泣きした後みたいな疲れに覆われている。
今すぐ寝室に行って10時間くらい眠りたいのに、今すぐ椅子を蹴倒してこの場を去る胆力は私にはない。
年々感情の一番豊かな部分がすり減って、フワフワした何かだけが体内に浮かんでいるような感覚。

いつも目の前にはレースのカーテンがある。
今すぐにでもカーテンを開けたいのに、開けられそうなのに、何故か開けられない。
夢の中で何かを掴もうとしても掴めないみたいに。

夢と言えば、最近は現実よりも夢の方が刺激的で、眠るのが怖かったはずなのに今では楽しみになっている。
一見良い傾向なのだろうが、いつか夢の中に閉じこもって永遠に出て来られなくなるような気もしている。

この前の夢では、大勢の人々と何かの始まりを祝っていた。
まるでいつかテレビで観たNYのタイムズスクエアの年越しみたいで、私は泣きたくなるような高揚感と多幸感に包まれていた。
またある夢では、巨大な猫の瞳を見つめているうちに吸い込まれ、気づけば宇宙空間に浮かんでいた。
猫の瞳の奥に広がるその宇宙の美しさに私は泣いていた。
夢が欲望を映す鏡だというのなら、現実の私は何かに泣きたいのだろうか。

また少し手が痺れてきたけれど薬の量を増やしたくはないので、きっと次に診察する時も「まあまあ、ぼちぼち、悪くないです」と主治医に言うのだろうとぼんやり思っている。
いつか分かると思っていた普遍的な幸せの形が、きっと一生分からないのだろうとぼんやり悟り始めている。

下瞼がぴくぴくする。
ずーっと少しだけ故障しているような感じがする。
私はいつからこうなんだろう。


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眠れない夜に

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