【短編小説】水
男は、その年の夏のあまりの暑さに熱中症を起こした。
男の仕事は外仕事で、一日中、道路に立って、車の交通整理をすることだった。
男は、ふらふらしながら病院に行った。
「もっと水を飲みなさい。水だけじゃなくて時々は、経口補水液を飲みなさい。」
医者からそう言われて、男は意識して水を多めに取るようにした。
すると、食事をちゃんと摂るよりも、水を飲んでいる方が楽なことに男は気づいた。
「そうだ。何にも食べずに、水だけ飲んでいたら良いんじゃないか。水を飲 むだけでも、結構お腹は膨れる。」
男はそう思って、水しか口にしなくなった。
男はただでさえ痩せていたのに、さらにどんどん痩せていき、体中の筋肉が無くなった。
男はある晩、亡くなったが、どうしてこうなったのか、最期は思い出せなくなってしまっていた。
結論:「過ぎたるは及ばざるが如し」
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