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くじら・鯨・鯨鯢|幸運のモチーフと大悪人

こんばんは、ジュウニカゲツの店主です。

今回のテーマは「クジラ」。
お店にも、鯨をデザインしたアイテムがあります。

スポンジワイプの鯨。katakataさんデザインのクジラです。

そして、【カヤ】の注染手ぬぐい「鯨退治」。歌川国芳が手掛けた「宮本武蔵の鯨退治」を手ぬぐいで表現されています。

鯨は古来から様々な国から神聖視されてきました。
日本では、漁業の神様でもある恵比寿様と同一視されています。
また、ハワイでは、ホエールテールがラッキーアイテムになっています。鯨がジャンプして海に戻るときに見える尻尾はなかなか見ることができないので、見ることができた人には幸運が訪れると言われています。

そんな鯨ですが、「大悪人」という意味もあります。

鯨鯢(げいげい)、とは鯨のことで、鯨が雄、鯢が雌です。大魚で、小魚を呑み食べることから不義の人、大悪人の例えられてきました。

平安時代の学者である菅原道真は、無実の罪で太宰府に左遷されたのは有名ですね。道真が左遷された後に改元され、元号が「延喜」となりました。その改元の際の詔書(しょうしょ:天皇の命令を伝える国家の公文書)に「鯨鯢」として大悪人道真が記されていたそうです。

この詔書を見た道真は次のような漢詩を作っています。

茫茫恩徳海  はてしない恩徳の海に、
独有鯨鯢横  独り鯨鯢が横たわっている
此魚何在此  この魚はどうして此(ここ)にいるのか
人道汝新名  人は言う お前の新しい名だと。
呑舟非我口  (鯨鯢は船を呑み込むほど口が大きいというが)
       船を飲み込むのは我が口ではない
吐波非我声  (鯨鯢は声をあげて潮波を吐くが)
       波を吐くあの声は我が声ではない。
哀哉放逐者  哀しいことだ 放逐される者は。
蹉跎喪精霊  蹉跎(つまず)いて精霊(たましい)を喪ってしまった。

道真はこの漢詩で無罪を主張しますが、「放逐されてしまった自分は、心をなくしてしまった」と歎くことしかできませんでした。
切実な道真の気持ちが伝わってきて、切なくなってしまいます。

神様・ラッキーアイテムと大悪人。正反対ですが、鯨は大きな体と神秘性で、昔からいろんな想像を掻き立てる存在だったんですね。

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最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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