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【宝石箱の中身】そういう愛もあるんだと思う

そのままのあなたでいてほしい
と 僕は言った

困った顔をした後で、睨みつけてきた
「あなたは勝手だ」と 一言だけ言った

それっきり会話らしい会話をしていない

でも、僕の思いに応えてくれているんだ、って いう思いが日に日に強くなっていく

丁寧に日々を暮らし、辺りを明るく照らす、あなたの姿を 
みることができることを嬉しく思う

自分は、果たして彼女が見つけてくれた自分を生きることができているんだろうか と思うと、鏡を見るのが嫌になってしまった
でも、彼女には、ずっと変わらずにいてほしいと思う
弱い姿なんて見たくない
迷っている姿なんて見せてほしくない
雑な言葉を使っているのなんて 聞きたくない
ミスをする姿さえ見たくない

あの時 思わず手伝ったのは、あなたのためなんかじゃなかった
あなたには完璧な姿でいて欲しかったからだ

ずっと理想の姿で そこにいてほしい
だから、あなたとともに生きていくなんて そんな選択肢は、僕にはないんだ

きれいなものだけを見て、僕は暮らしたい
ただ、それだけ

それぐらい、僕は、もう人間が嫌いだった

きれいなものだけを見て、僕は心を平静に保っていたい
ただそれだけ

そんな僕の 心の奥まで 入ってこようとした あなただった
僕の言葉がきれいだって 言ってくれたから 
そこで 止めておきたかった


毎日 ひとつひとつの仕事道具を丁寧に並べて 使う姿を見て
日々 落ち着きを増す、その佇まいを見て 

それが 僕への愛だと 思うことを許してほしい

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