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息子の入試物語1『お昼ご飯はたまご雑炊』


 息子は中学を卒業してから、1年ほど自宅でのんびり過ごしていた。体調が整い、元気になると、高校へ通いたいと言うように。それで、この度、通信制高校を受験することにした。

 入試の前の晩のこと。

 息子と喧嘩になりかけた。緊張と不安から、数日前から不安定な息子。そっと、見守ろうと思うけど、息子はわたしにまとわりつく。

 息子の緊張と不安、そういう気持ちを取り除こうとは、もう思わない。どうにかしようとも、思わない。大事な経験、そう思っている。ただ、それにどうしてもわたしも影響されてしまうのだ。

 息子は、「どうにかして」というが、わたしにはどうにもできない。次第に、わたしはイライラしてくる。

 夫が帰ってきて、息子は自室へ。わたしは夫に話を聞いてもらって、落ち着いた。そうか、話を聴くだけでよかったんだ。イライラして、いつも通りができていなかった。もう一度、話を聴こうと思い、息子の部屋へ向かう。

 息子は、いつも通り、筋トレをしていた。ぷるぷるしながら、腕立て伏せをゆっくりと繰り返している…それを見たら、笑ってしまった。なんだか、大丈夫そうだ。

 どうやら、不安な気持ちを和らげるために、音楽を聞いたり、コミック読んだりしたらしい。ずいぶんと落ち着いていた。自分で、気持ちを立て直せている。

 そして、翌日。
 朝から、わたしも緊張している。
 入試は午後からだ。

 お腹の調子が悪い。ちょっと、気持ちも悪い。緊張すると、いつもこうなる。不思議だけど、体調に不調がでると、逆にわたしは落ち着く。緊張していることより、体調不良の方に神経が向かうからだろうか。

 息子は、入試に行こうとしているから、行けるといいなと思う。息子の気持ちと身体が、同じように感じていたら、行けるだろうな。無意識に、無理だと感じていたら、行かないだろうな。そんなことを思う。

 もっと、ドンと構えていたいのに、わたしは肝っ玉が小さいのだ。落ち着かない。朝から、バタバタと動き回る。ゴミ捨てに行き、洗濯ものを干し、お風呂を洗い、夕飯用にカレーを作った。やり過ぎている…

 いつも通り、いつも通りと意識して、noteの記事をいくつか読んだ。ちょっと落ち着いてきた。「大丈夫大丈夫」って、言われているような気分。安心感をもらえた。

 さて、息子が起きてきて、いつもの朝の風景。とりあえず、起きれましたな。今日は、緊張もまろやかな様子。聞くと、昨晩はよく眠れたそうで。

 娘から、息子へLINEが届く。「いつもそばにいるよ!」とのメッセージ。息子は、「だったら、答えを教えてくれ!」と返したらしい。息子らしい、切り返し。娘も画面の向こうで、笑っているだろう。

 さて、お昼ご飯を作ろう!
 息子リクエストは、消化のよいたまご雑炊だ。


続きます…


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