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経営の技法 #61

7-3 アームズレングスルール
 グループ会社を一体としてみると、グループ会社内の取引に何か危険があるように感じなくなるが、実際には、気が付けばグループ全体に危険が及ぶ場合もあり、その例の一つがアームズレングスルールである。

2つの会社組織論の図

1.概要
 ここでは、以下のような解説がされています。
 第1に、アームズレングスルールの意味について、特にわかりやすく例えれば「甘やかさない」「ぼったくらない」ことである、と説明しています。
 第2に、関連会社間の取引で「甘やかさない」「ぼったくらない」と言われないか、というリスクセンサーとして使える、と説明しています。
 第3に、関連会社の取引で、アームズレングスルールに関し、どのようにリスクコントロールするのかについて、説明しています。
 第4に、グループ内の取引であってもリスクが有ることについて、注意喚起しています。

2.関連会社の悪用
 関連会社の悪用は、最初から不正を狙って関連会社を作る場合よりも、当初は志高くまっとうな商売のために関連会社を作ったが、何か上手くいかないことが続いて、だんだんと関連会社を悪用するようになってしまう場合の方が多いようです。
 関連会社を使った不正にも色々なものがありますが、多くの場合、お金の動きの中にその兆候が表れます。不正に収益を上げる場合だけでなく、例えばミスや事故を隠蔽する場合にも、お金は動きます。グループ内での不自然なお金の動きを見つけるきっかけになるのが、「甘やかさない」「ぼったくらない」ツールになるのです。

3.おわりに
 もちろん、法務部はお金の専門家ではありません。
 したがって、この「甘やかさない」「ぼったくらない」のツールも、法務部が自ら使うツールというよりは、財務などの専門家を巻き込んでこのツールを使ってもらう、という視点です。
 関連会社のコントロールには、様々なツールを、様々な部門が関与して行うべきなのです。

※ 『経営の技法』に関し、書籍に書かれていないことを中心に、お話していきます。
経営の技法:久保利英明・野村修也・芦原一郎/中央経済社/2019年1月

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