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ジャパネットの経営 東大卒2代目の僕がカリスマ社長の後を継ぎ大事にしてきたこと(読書メモ)

"後継者が成功するための考え方を学べます"

本書は、通信販売大手のジャパネット 2代目社長・ 髙田旭人氏が、カリスマ創業者・髙田明氏の退任以降も成長を続ける同社の取り組みや、自身の考え方について纏めた1冊となっています。

著者についての予備知識はゼロに近い状態で本書を読みましたが、
・創業者の時代に培った強みの活かし方
・ボトムアップ型の組織に変わるための仕組みやルール
・著者のセルフマネジメント論

などためになる内容が数多くありました。

では、いつも通り印象に残った内容をピックアップしていきます。

「磨く」を徹底的に深掘りする

製品改良だけでなく、分割金利負担や設置サービスなどの購入プロセス全てを「磨く」という徹底ぶりが、勝ち残る秘訣のように思いました。

いい商品を見つけるだけでなく、メーカーに要望を出し、いい商品をさらに改善するといった方法で、商品を磨いてきました。
修理などのアフターサービス専門の会社や、設置・配送専門の会社をつくりました。ものを買うところから、実際に使い始め、使い続けるすべてのプロセスにおいて、何がどうなったら、お客様はハッピーだろうかと常に考えています。 
今はこの「磨く」の部分が強みになっているという感触があります。
磨くというのは、商品やサービスの改善ばかりではありません。
例えば、海外で取引先のトップと交渉して、何十万個という商品を一度の商談で買いつける、ということも磨くことだと思っています。

7%に絞って尖らせる

「9割以上削減する」という意思決定したことに凄みを感じます。絞った製品の付加価値を高める取組みは参考になりました。

2016年7月、 ECサイトを「ジャパネットセンカ」として刷新するのに合わせて、取扱商品数を約 8500点から 600点程度に大きく絞り込みました。残った商品は 7%ほど。商品数を 9割以上減らしたことになります。
物流拠点で全商品の在庫を持てるようになり、お客様への配送リードタイムを短縮できました。コールセンターでの対応も 600商品に集中できるので効率的になりました。全商品の特徴をより詳細に説明できる紹介動画を用意できたのも、商品数を絞ったからです。
厳選した商品をより多くのお客様に届ける「厳選集中」というのが当社のもともとのこだわりです。せっかくサイトに来ていただいても、選りすぐった商品のみを紹介していなければお客様にそっぽを向かれてしまいます。社長になってから強化したのは、この厳選集中でした。

「買った後」の体験価値を上げる

紙媒体チャネルが占める売上比率に驚きました。UXの良さが群を抜いてるように感じました。

実は現在、当社の売り上げの主力は、テレビ通販ではありまません。ジャパネットでは、テレビに加えて、ラジオ、インターネット、紙という 4媒体で通販を手がけていますが、その中で売り上げの全体の約半分を占め、かつ一番伸びているのは紙媒体です。
これは意味あることだと、僕は考えています。
なぜなら、紙媒体の大半を占めるカタログは、ほかの媒体ですでに購入実績があるお客様に送っています。つまり、リピーターの方々に顧客を絞った販売チャネルです。そこでの売り上げが圧倒的に多いということは、リピーターの方々に確実にファンになっていただいている。商品選定やアフターサービスなどを含め、ジャパネットというブランドに対する信頼が向上している証しだと考えるからです。

先に環境を用意する

この考えにはすごく共感しました。もうエサで釣るようなモチベート方法は時代遅れですね。

自分自身が「あったらいいな」と思う制度は、 7割方うまくいくと思った時点でどんどん導入しています。
こうした制度は「社員が頑張って成果が上がったらつくる」という会社が多いと思いますが、それではなかなか前進できない気がします。ジャパネットでは会社側が社員を信じて、先にいい環境を用意しています。すると、「それに応えなければ」という社員の前向きな力が増す実感があります。

長期休暇は携帯電話を持たない

当社もなかなか属人化が解消されないので、この取り組みは試してみたいです。

携帯電話を会社に置いておく一番の理由は、仕事を忘れてほしいからです。もう1つ、その人にしかできない業務があったり、その人しか把握していない情報が多かったりする属人化を防ぐためでもあります。
みんなが心置きなく休めるようにするには、仕事を共有化しなければなりません。このおかげで、手順の見直しや効率化が進み、休んだ際の周りのフォロー体制も整いました。

言いにくいことを率直に言う

これまでの人生を振り返ってみても、厳しいフィードバックをくれた上司しか記憶に残ってないです。こういう上司はある意味で理想的。

管理職には厳しく接します。管理職は部下がいて、部署をまとめる立場。その分、報酬を得て、権限を与えられています。本来の役割を果たさず、何度も同じ誤りを繰り返すときは、「正直に言って今、信頼できなくなっているから」とはっきり伝えます。
言葉はもちろん選びますが、「この人の課題はここだな」と思ったら、言いにくいことでも遠回しにではなく、わりと率直に書きます。実際、これをきっかけに行動を改めて、いい方向に変わっていく人は大勢います。

「慣れ」と「狎れ」を区別する

たしかに過ごす期間が長くなればなるほど「慣れ」と「狎れ」が混同しがちです。「親しき仲にも礼儀あり」は肝に銘じます。

人間の強みは「慣れる」ことであり、人間の弱みは「狎れる」ことだと思います。
良くない狎れも人間の大きな特徴です。例えば、プライベートでも、親子間、夫婦間、友人間などの関係において、近くなればなるほど、あ・うんの呼吸でいろいろなことが当たり前になる場面が増えてきます。  
そのときに相手のしてくれることに対して狎れてしまうとどうなるか。気づかないうちに感謝の気持ちが薄れ、自分が相手にしてあげていることとのアンバランスを感じ、次第に不満に思うことが増えてくるのではないでしょうか。
こうならないために僕は、「ありがとう」「助かる」など感謝の気持ちを意識的に言葉に出すことを心がけています。
また、一歩引いた目線で見ることが大事だと思います。意識しないでいると、自然と「自分のほうがたくさんやってあげている」「相手は何もしてくれない」という方向に認識が偏ってしまうものです。

アウトプットにこだわる

プロ野球での例えが秀逸。これから話すときはこれ使います(笑)

プロ野球選手で、インプットで評価されたり、感動を生んだりする人はいません。「日本一練習を重ねているプロ野球選手」が認められることはほぼないでしょう。練習を重ねた結果として、日本一ホームランを打ったり、日本一の打率を出したりして、初めて評価される。つまり、アウトプット(結果、成果)が出て初めて、プロ野球選手として認められるのです。

自責の念を未来に向ける

失敗した時は反省以上に改善行動が大事ですね。向き不向きより前向き。

自責の念の「向き」がとても大切だと思います。
「自分の力不足です」の後に、「同じことを繰り返さないために何をしようか」「どうすれば改善できるか」「うまくいっている人はどうしているのか」と続く人は、「未来」に向かっています。本人の心も前に向いていますし、周囲の人も自然と応援したくなると思います。

「誰かのため」に「自分で」選択する

自分も似たような境遇ですが、「選択したのは自分自身」という考えに納得しかないです。自分で選んだからこそ、頑張れたり踏ん張れたりします。

自分が今、「誰のため」に仕事をしているかを意識するのはとても大切だと思います。
僕の場合、「世の中のため」「社員のため」「会社をつくった両親のため」という割合が多い気がします。これが実現できたと感じたときは本当にうれしいですし、もっとそういう瞬間を増やしたいなと前向きな気持ちになれます。「誰のために」は、モチベーションの源泉です。
ただ、「誰のため」とは別に、「この仕事をする」という選択をしたのはほかならぬ自分だということを忘れてはいけないと思います。世の中のため、社員のため、両親のためにジャパネットの仕事をしているけれど、ここで働く選択をしたのは自分自身だということです。

「自分の7割は、相手の5割」と心得る

経営者と社員では事あるごとにGAPも大きいですが、感じ方の差を意識することが大事と再認識できました。

僕自身も、ジャパネットで働く人々のために社内の環境をよくしたい、成長のきっかけをつくりたいと思って、経営者としてさまざまな決断を下し、実行しています。けれど、会社側の僕らが「社員に 7割くらい歩み寄っている」という感覚でいるとき、社員は「会社は 5割譲った」くらいにしか思っていないものです。このあたりの感じ方の差には、いつも気をつけるようにしています。

大義と欲を組み合わせる

大義と欲をセットにすることは、大勢の人を巻き込んで仕事するときの鉄則ですね。

ジャパネットは今、「地域創生のために、スポーツで感動を生み、長崎を盛り上げる」という大きなチャレンジに取り組んでいます。大義はありますが、大義だけを訴えてもきっとうまくいかない。地元の人たちにとって、自分たちのお店のお客が増えるとか、スポーツでの打ち震えるような感動が味わえるとか、何らかの欲が満たされないと、なかなか「一緒に頑張ろう」という気にはなれないものでしょう。
大義と欲をしっかりセットにできたとき、みんなが本当の意味で大義についてきてくれるのだと思っています。

「捨てる」ことから始めて、迷わない

ECRSという考え方は初めて知りました。たしかにSから始めがちなので、セオリーを意識して取り組みたいです。

ECRSを知っていますか。業務改善の4原則で、次の4つの言葉の頭文字です。
・Eliminate(エリミネート) =なくす
・Combine(コンバイン) =まとめる
・Rearrange(リアレンジ) =順番を変える
・Simplify(シンプリファイ) =簡単にする  
そして、業務改善は「 E → C → R → S」の順番でやるのがセオリーです。
ところが、実際には、 Sから取り組み始める人が多いですよね。会議を短くする方法はあれこれ考えて、そもそも「この会議をやめてしまえばいいのではないか( E)」とか「あの会議とこの会議を1つにまとめてしまえばいい( C)」という解決策に気づけない。そもそもやめていい会議なら、会議の時間を短くする議論なんて、するのももったいないですよね。

相手に選択肢を与える

要はいかに納得を得られるかですね。説得してやってもらうのと、納得してやってもらうのでは、その後の成果が大きく違います。

上司であれ部下であれ、人に気持ちよく動いてもらうためには、「無理矢理」が一番いけません。「この仕事をやらされた」と思わせてしまっては本人のやる気も出ないし、プロジェクトもうまくいきません。〝選択肢で頼む〟のは、「この仕事は自分で選んだ」と相手に思ってもらうための、最も簡単な工夫だと思います。
上司であれ部下であれ、人に気持ちよく動いてもらうためには、「無理矢理」が一番いけません。「この仕事をやらされた」と思わせてしまっては本人のやる気も出ないし、プロジェクトもうまくいきません。〝選択肢で頼む〟のは、「この仕事は自分で選んだ」と相手に思ってもらうための、最も簡単な工夫だと思います。

まとめ

著者はカリスマ創業者の息子として想像を絶するプレッシャーや葛藤があったと思います。

ただこれ以上に、将来継ぐことを前提としたキャリア形成や正しいことをやり抜くという信念に、強い覚悟を感じました

また同時に、このぐらい会社と社員にコミットしなければ後継者として周囲の信頼は得られないことを痛感しました

後継者にはもちろんですが経営観も勉強になるため、経営者層にもおすすめです。

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