ばっと君

九州から中国、四国、近畿、東海、北陸など西日本を中心とした各地の不動産を鑑定評価する不…

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九州から中国、四国、近畿、東海、北陸など西日本を中心とした各地の不動産を鑑定評価する不動産鑑定士です。鑑定先に赴いた際に出会った情景や人々の営みを旅日記と称して綴っていきます。旅先での苦労話や様々なエピソードも披露させていただきます。

最近の記事

俺2号の逆襲

 ずいぶん昔の話だ。  「昨日、おまえ2号を見たぞ。相変わらずそっくりだったよ。」  よく友達にからかわれた。  「またその話か」  聞く度にうんざりした。  世の中には自分とそっくりな顔をした赤の他人がいるようだが、大半の人はその人を一生見かけることはない。  私の場合はその人が身近に居た。  その人のことを友達は「2号」と呼んでいた。その人にとっては、「そう言うお前が2号だろ」と言いたいぐらい失礼な話だ。ただ本当に私と瓜二つで、姿形はもちろん、普段のしぐさや話しぶり

    • 鹿児島でヘップバーンに出会う!

      鑑定の役所調査の帰りに美術館の前を通り過ぎた。 オードリーヘップバーン写真展の開催を告げる大きな看板に魅かれた。 今しかない。 入場料1200円は少し高いが行くしかない。 入った途端、そのためらいは消し飛んだ。 本当に来てよかった。 どんどん彼女の魅力に引き込まれていく。 彼女の足跡を数々の写真パネルや映像で辿っていくうちに その美しさに感動して自然に涙があふれ出た。 容姿だけでなく、生き方が美しすぎるのだ。 女優として、妻として、母として、ユニセフ親善大使として 様々

      • 住みやすい街 飯塚

        今回の不動産鑑定の舞台は飯塚市、筑豊3都の一つ。 本当に住みやすい街大賞2023in福岡の3位の都市だ。 総合病院、スーパー、役所等利便施設が集約されたコンパクトシティー 北九州や博多へのアクセスも便利で気候も温暖。 街の様子も落ち着いていて3位もうなづける。 こじゃれた居酒屋も点在しているため、一泊しても飽きない街だ。 市役所も駅から近く仕事がはかどる 昔の炭鉱跡地がボタ山として点在し、一部は工業団地や住宅団地 大学やオートレース場に変貌している 行政も街の活性化のた

        • 鹿児島を闊歩する!(その1)

          久しぶりの鹿児島の鑑定案件 鹿児島はいつ来ても気持ちのいい街だ。 市内には路面電車が走り、観光客の雑踏も賑わいを創出している。 幕末の志士たちにまつわる多くの名所旧跡が市内の至る所にあり、 歩いていて全く飽きない。 市役所はレトロで幻想的な雰囲気を醸し出しているのに対し 県庁は近代的・重厚な建物で両者が対照的に映るのが面白い。 新と旧とが対照的な二つの役所の建物、うまく街に溶け込んでいる。 市内は緑や公園も多く、高い建物を感じさせない開放感が 過ごしやすい街の雰囲気をう

        俺2号の逆襲

          故郷・浜松

           久しぶりに浜松市所在不動産の鑑定依頼を受けた。浜松は私の故郷だ。  故郷を車窓から見る景色で細かく描写してみたい。  まずは西から浜名湖付近の風景に注目したい。  JR東海道線「新居町駅」を東へ進み暫くすると様相が一変する。「弁天島駅」にさしかかる辺りだ。  浜名湖が見えてくる。パッと広がる開放感、とにかく空が低い。視界の広さ・明るさを肌で感じる瞬間が心地よい。前方に青い空、右手に波しぶきをあげる海、そして左手に透明感ある浜名湖を臨み、それら三者の風景が目に鮮やかに映

          故郷・浜松

          富山は私のお気に入り

          初めての富山鑑定案件、心が躍る。 市内には路面電車が走り、整然とした街並み。 何といっても食べ物が美味しい。 シラスやブラックラーメン・・・、ここは何でも美味しい。 外見上、街は平凡に見えるのだが、中身が濃いのかも・・・。 じっくり味わってみたい街だ。 市内北部の工業地は古くからそこにあるようだ。 街は活性化を図り再生に向け頑張っている。 路面電車の再生事業もその一つ。 生まれ変わり真新しくなった電車内は通勤通学客でいっぱいだ。 駅を縦断し整然と街を縦横無尽に走るその姿に頼

          富山は私のお気に入り

          直方で見たやるせなさ

           直方は福岡県北部に位置する筑豊3都(他は田川、飯塚)の一つ。  チューリップの産地としても有名だ。  大相撲元大関、魁皇関の出身地でもある。  普段なら通り過ぎてしまう街かもしれないが  縁あって鑑定評価の依頼を受けた。  小倉から在来線に乗り換えると程なく到着する。  街並みはこじんまりしていて  どこか故郷に似ている印象を受け、懐かしさを感じた。     もう少し散策して、この街を満喫してみたい。  そんな衝動にかられながら淡々と仕事をこなしていく。  突然、どこ

          直方で見たやるせなさ

          夜なのに厚狭(Asa)!って何?

          その日の鑑定は厚狭駅から始まった。 山口県は新幹線の停車駅が5つもある珍しい県 徳山、新岩国、新山口、新下関、そしてこの厚狭の5つだ。 静岡県も多くの停車駅がある。どちらも横に長い形の県だから横断するのに時間がかかるから? いや、それだけじゃない。山口県は歴代首相の多い県だからだろう。 やっぱり政治家の影響力抜きには語れないところがあるのだ。 四半世紀前の当時の駅開業時は、さぞや地元は喜んだことだろう。 でも、その反動は大きいものとなることもある。 同じ山口県の駅でも徳山

          夜なのに厚狭(Asa)!って何?

          米子・松江・出雲、それぞれの立ち位置は?

           米子から出雲に連なる複数案件の鑑定依頼を受けた。  2県に跨る複数物件の調査だ。なかなかの大仕事!  特急列車から見る山陰の風景。  真新しい病院の建物ばかりが、やけに目立つ。  朽ち廃れていく空き家も多い。  淋しい地方の光景を目の当たりにした。  その中で山々だけが悠然と息づいている。  雪を被った大山(だいせん)が見えた。  雄大な大山の凛々しさに心を奪われ、諭された。  しっかりしろ、何をそんなに落ち込んでいるのかと。  ちっぽけな自分、まだまだ未熟だな。  大山

          米子・松江・出雲、それぞれの立ち位置は?

          八ヶ岳と南アルプスに囲まれて 小淵沢

          山林の鑑定評価のため、山梨県小淵沢に出張した。 別荘が多い街だ。標高が高いので避暑地としても有名。 日本一星が綺麗な街らしく、空気が澄んでいて清々しい。 八ヶ岳や南アルプスに囲まれ、富士山も美しい姿で迎えてくれる。 野菜がおいしい。大地の栄養を十分に吸い尽くしているから。 夜が早いから早く宿に帰ろう。温かくしよう。 鑑定評価は昼間に集中し、より効率的に活動しなければならぬ。 段取りが重要だ。調査不足にならぬよう細心の注意で調査する。 役所も遠い。車がないと機動的に動けな

          八ヶ岳と南アルプスに囲まれて 小淵沢

          運命の日に日向

           宮崎県日向市、鑑定の仕事で時々この地を訪れている。  2022年11月8日、この運命の日に私は日向にいた。  運命の日とは「皆既月食」の日のことだ。  皆既月食(天王星食)を見ることができた時間帯は鑑定業務を終え宿に戻る頃だった。帰途につく頃から徐々に月が欠け始め、オレンジ色に照らされた日向の街は幻想的な雰囲気を醸し出していた。  赤黒く染まった月を宿の窓から見ていると、どこか異国情緒に浸っている気分になる。  日向といえば、クルスの海(「叶」という文字の形をした海)や

          運命の日に日向

          舞鶴に一人佇む

          舞鶴経由で天橋立を目指す。 仕事にせよ、この地を訪れることができた幸せを実感する。 車窓からの絶景を眺める。 申し分のない鮮やかな青色、空と海が繋がって見える。  車窓から人々の営みを眺めてみる。  建物の軒が低く、ミニチュアの世界を見ている錯覚に陥る。  それに引き換え山間部を縫ってえぐっていく車窓からの眺めは違うのだ。  人間の作った造形物の小ささに比べ、自然は大きすぎる。自然はやさしく語りかけてくれるが、特に猛威を振るい襲い掛かってくる。森はうっそうと茂り、人の一

          舞鶴に一人佇む

          再び鳥取、山陰はまだまだ元気だ!

           鳥取は評価依頼案件が意外と多い場所だ。東部の鳥取市から西部の米子市まで東西長い山陰の県だからか? しかし鳥取はやっぱり近いようでちょっと遠い。  倉吉に電車で向かう。上郡より智頭線を北に登っていく。  山あいを走る列車の力強いエンジン音に元気づけられ、山陰を目指して北へと上っていく。残雪が車窓から見える。今日が天気で良かったとつくづく思う。  山あいの里、宮本武蔵のふるさと・大原駅やピンクのハートをモチーフにしたモニュメントがある恋山形駅を通り、智頭駅にたどり着いた。

          再び鳥取、山陰はまだまだ元気だ!

          琵琶湖のほとりに別荘地

           滋賀県大津市、琵琶湖北西部沿岸には企業の保養所や別荘地が連なっている。時代が移り一時のブームは減退し色褪せた状況に変わりつつある中、今般別荘地の鑑定評価依頼を受けた。     昔の栄華の面影を残す周辺地域を散策した。  明智光秀を始め兵どもの栄枯盛衰をしのぶ地も残る琵琶湖沿岸には、由緒正しい寺社仏閣も多い。  そんな中、近年この地を購入しようとする人々の多くは現役を引退した富裕層。セカンドハウスとして都心からほど近いこの地を選ぶのだろうか。    寄せては返す波打ち際に立ち

          琵琶湖のほとりに別荘地

          べたな京都、されど心地よい

            べたな京都駅だが、よく行く身近な駅だ。   ここに来ると「本当に古都・京都か?」と疑ってしまうから不思議だ。   宇宙空間を連想させる近代的な駅舎。   何か魔法にでもかけられ異次元に迷い込んだ感覚に陥る。   それにしても、外国人旅行客が多い。   「ちょっといいですか?」   見知らぬ外国人が英語で写真を撮ってほしいと声をかけてきた。   私たちにとって当たり前のものが彼らにとっては特別に感じるらしい。   キティがプリントされた特急「はるか」をバックにポーズをとる

          べたな京都、されど心地よい

          和歌山も乙な街

           今回は和歌山市内の不動産の鑑定評価だ。  大阪からは意外と近い。    役所調査を終え街を散策する。  市街地中心部はどこも同じか。  いや、何か違和感を感じる。  無性に空が近く明るく感じ、太陽がどことなく温かく感じる。  太陽の光を全身で浴びる。  駅から少し歩くと、和歌山城が優しく迎えてくれた。  のどかだ。本当にのどかで穏やかな街だ。  暖かい気候と豊かな川と大地の恵みを存分に味わうことができる街。  都会と田舎がほどなく共存していい塩梅に街づくりがなされている

          和歌山も乙な街