夏、混沌の美。
スチールスポンジが空を洗うと
あの頃の夏が見えてくる
小さな小窓から見える綿あめは
溶けてしまいそうで溶けない
シンシロシンシロと路地が濡れ
朽ち始めた木戸が息を吹き返す
毎日がきれいに積み重なって
「暦」を幾何学的につくって行くので、
夕立ちさえも時間をあわせてやってくる
軒下の
風鈴が揺れそうでゆれないかわりに
蚊取り線香の頼りない煙が風を教えてくれる
極端に短い路地では、
ゆたかなボロはみずみずしく輝き
ぴょんぴょん飛び石を奏でる
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