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#0250【愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ】

こんばんは!
1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

今回を以て一旦の区切りとさせて頂きます。最後のメール配信です。

これまで様々な角度から歴史を取り上げてきました。歴史ときくと、「事実・知識を覚えること」、「昔のこと=いまと関係ない」、「時代が違う」といったイメージが生じる人も多かったと思います。

このメルマガは、歴史に通っている血流というか体温というか、熱気というものを感じて頂ければと思ってスタートさせました。

独立以後、様々なメディア・媒体にて歴史を軸にしたコンテンツを提供してきました。

その過程で改めて見えてきたことは、歴史というものは体験・経験の宝庫であり、自分が体験することのできなかったものを沢山有しているケーススタディの材料だということです。

アメリカは建国以来の歴史が浅いため、彼らは古代ローマの歴史などを遺産として使って物事を検討しています。

どう平和を構築していくのか、当時とは技術が違いますが、経済と軍事、敵対する勢力との対話方法について、ヒントを得ています。

下手に直轄地を持つよりも同盟国を増やしていくやり方などは、古代ローマを踏襲しています。

漢字という文字の壁があっても、アメリカは中国史の研究にも多くの人材を割いています。そこに歴史遺産という財産・価値を見出しているからです。

我々日本人は、そういった意味で非常に豊かな歴史遺産を有しています。過去に多くの過ち、失敗がありました。もちろん成功も。

しかし、せっかくのその歴史遺産を使い切れていないと思います。孔子は論語の中で「温故知新」という言葉を使っています。

皆さんは、温故知新をどんな意味で使われているでしょうか。多くの方は「昔のことを知って、未来を知る」という意味で理解されていると思います。

大筋はそうなのですが、慣習的な漢文の読み下しでは、
「故(ふる)きを温(たず)ねて、新しきを知る」
としています。尋ねているんです。または訪ねているともいえるかもしれませんが、過去の故事に尋ねるという行為がポイントになってきます。

問いかけが大事だということは、いろんな場面で言われていることですが、「質問力」を鍛えることによって、相手から引き出せるものが変わってきます。

歴史の故事も同様で、どう問いかけるか、取り扱う側、触れる側の意識によって見え方が変わってくることがあります。

次になぜ、「温」という字を使っているのでしょうか。それは、歴史は生のままでは食べられないからだと思っています。

昔のことを知って何になるのか、という質問への回答につながりますが、過去のことを温め直すことによって、先々のことを予見する力を養うことができるのだと思います。

愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ。

経験は個人の体験に限られてしまい、そのケースが全てとは限りません。

また、変化の激しい時代だからこそ、自分の過去の経験では引き出しに入っていないような事態に遭遇するかもしれません。

そんなときに歴史という引き出しを使うことによって想定外の事態を想定内へと変化させていけると思います。

この歴史小話を通じて、少しでも皆さんにそういった視点・きっかけをお渡しすることができたなら幸いです。

自分自身としてもこういったところに価値があると気付くのに時間がかかり、また言語化していくことにも時間がかかってしまったため、すべての配信で意識できていたわけではありません。

読者の皆さんのお力添えを頂いて、初めて成り立っていた読み物だと思っています。

2016年12月のテスト配信から本当にありがとうございました。心より厚く御礼申し上げます。

以上、歴史小話でした!

引き続き、note等で不定期に情報発信してまいりますので、ご興味ある方は是非フォロー頂ければと思います。

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発行人:李東潤(りとんゆん)
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